モンブラン (ケーキ)
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モンブランとは、栗をふんだんに使ったケーキである。山の形に似せて作ったことからこう呼ばれる。名前の由来は、アルプスのモンブランであり、フランス語で「白い山」を意味する。フランス語ではケーキはモン・ブラン・オ・マロン(Mont Blanc aux marrons、栗のモンブランの意)と呼ばれる。尚、上に降りかけられる白い粉砂糖は雪を表している。山名と同様にイタリアではモンテ・ビアンコ(Monte Bianco)と呼ばれる。
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[編集] 概要
典型的には、カップケーキ型のスポンジ生地やメレンゲ、タルト生地などで作った土台の上に生クリームをホイップし、それを螺旋状に包むように絞り出された栗のクリームをあしらう(絞り袋を使わずに、パテで円錐状に仕上げられることもある)。栗のケーキであることを示すために、その上に半分に切った甘露煮の栗が一片載せられることもある。形状や大きさ、土台となる生地部分には様々なバリエーションがあるが、栗を用いたクリーム(またはそれに味を似せたもの)を山状にデコレーションされたものが多くのものに共通する。
なお、最近は日本でも栗そのものの色を生かした薄茶色のモンブラン(上に白い粉砂糖で化粧される場合が多い)が増えてはきているが、かつてはモンブランといえば黄色のケーキであった。これは、原材料におせち料理等に添えられる料理である栗の甘露煮(栗をクチナシで黄色く着色し、シロップで甘く煮含めたもの)が使われていたからで、モンブランが黄色いのは日本だけである。
モンブランは、栗を菓子によく使うフランスと日本ではポピュラーなケーキであるが、その他の国ではそれほど見られない。但し、やはり栗をよく食べる中国人(特に生クリームを使った洋菓子も食べる香港人や上海人)の口にも合うようである。他に栗を使った菓子の代表例としては、フランスでは、マロングラッセ、ガトーマロン(栗の焼き菓子)、マロンシャンテリー(栗のクリームと生クリームを使用した生菓子)などがあり、日本では、栗蒸し羊羹、栗きんとんなどがある。
[編集] 由来
このケーキの誕生については、主として、モンブランを看板メニューとするパリの老舗カフェ「アンジェリーナ」でとする説と、東京・自由が丘の「モンブラン」でとする説がある。
前者は、このカフェの創業が1907年である事を根拠とするが、モンブランがメニューに加えられた時期が定かでない。対して後者は、初代の店主が1933年にフランス・シャモニーを旅した際に見たモンブラン山の美しさを、帰国後にケーキで表現した事を根拠とするが、モンブラン山の麓のカフェで供されていた「モンブラン」という菓子を参考にしたともされている。また、日本独特の黄色いモンブランをフランスが逆輸入しフランス流にアレンジするのも不自然であり、こちらも本物の元祖であるのかは定かでない。
[編集] モンブランのバリエーション
現在の日本では栗の代わりに使用される食材として、紫芋(内部が赤紫色のサツマイモの一種)や南瓜などがある。
また、栗のクリームに抹茶を混ぜ込んだ抹茶のモンブランやココアを混ぜ込んだチョコレートモンブランなどもある。
栗は使用せずに、生クリームに果汁等を混ぜ込こんで風味付けをしたモンブランもある。例えば、「銀座コージーコーナー」や「千疋屋」では、マンゴーモンブランやいちごのモンブランも発売されている。
「アンジェリーナ」は日本で「マンスリーモンブラン」と称し、定番のモンブランの他に月代わりで季節感のある様々なフレーバーのモンブランを販売している(2月はチョコレートモンブラン、10月はパンプキンモンブランなど)。デパ地下やプランタン銀座のアンジェリーナショップやカフェで買うことができる。