モゲラ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
モゲラ(Moguera)とは、1957年に東宝が製作した特撮映画、『地球防衛軍』に登場した架空のロボットの通称。作品内では「モゲラ」の呼称は登場しない。映画『ゴジラvsスペースゴジラ』(1994年)ではリメイクされた「MOGERA」が登場した。
名前はモグラの学名(誤ってMogeraと登録された)に由来する。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
目次 |
[編集] 登場作品
公開順。
[編集] 『地球防衛軍』のモゲラ
怪遊星人ミステリアンが土木作業用に開発したロボットだが、地球征服のための攻撃用として使用された。全身が黄金のキャタピラに覆われ、口にあたる部分にもドリルを装備。各種目的に応じて装備の付け替え可能な尾部を持つ。目からは殺人光線を照射する(確認しにくいが透明な顎がある。透明で目立たないため、玩具でも省略される事が多かった)。
1号機は防衛隊の兵器による攻撃(ポンポン砲、無反動砲、迫撃砲など、歩兵火器程度)をものともせずに街を破壊したが、鉄橋爆破作戦で倒される。2号機は肘から腕のドリルを回転させて地中から侵攻したが、倒れてきた攻撃兵器マーカライトファープの下敷きとなり、作戦続行不可能となってしまった。
ミステリアンのUFOやドームからの怪光線攻撃に対して、防衛軍は前述のマーカライトファープや空中戦艦α号、β号を駆使して戦うスピーディーなSFアクションが展開される中、劇中におけるモゲラ登場シーンは少々ほのぼのとした雰囲気が漂っている。マスコット的造形に特撮ファンの間での人気も高い。
- 全長:50メートル
- 重量:5万トン
スーツアクターは中島春雄、手塚勝巳。
[編集] 『ゴジラvsスペースゴジラ』のモゲラ (MOGERA)
1994年に公開されたゴジラシリーズ第21作『ゴジラvsスペースゴジラ』に登場。
Gフォースが建造した対ゴジラ兵器。正式名称は Mobile Operation Godzilla Expert Robot Aero-type (対ゴジラ作戦用飛行型機動ロボット)[1]。ミステリアンのモゲラと直接の関係はないが、デザインは似通っている(非公式だが『ゴジラVSスペースゴジラ超全集』に国連のモゲラの資料を参考に建造されたという記述と、旧来のメカゴジラに使用されていたスペースチタニウムが記載された資料の写真が掲載されている)。足の裏に車輪(ローラーシステム)が装備されている。理由としては重力バランスの悪いロボット形態は、メカゴジラのようにホバーシステムは使用できず、新たな移動方法が開発され、足の下部のサブエンジンで自重を相殺し、大型キャタピラーで地上をすべるように移動することが多いが、場合によっては脚部関節を働かせ、二足歩行することも可能。このシステムを利用した戦法がドリルアタックである。背中の鋸状の背鰭はこの機体ではレドームソナーとされており、MECM(マグネティック&エレクトロニック・カウンター・メイジャーの略)というジャミングシステムが装備されている。
国連G対策センターが、マミーロフ博士の指揮のもと完成させた新たな対G兵器。元々はメカゴジラを越える対ゴジラ兵器として開発されたものだが、スペースゴジラの襲来によってゴジラと共にスペースゴジラと戦うこととなる。普段は二つの機体がドッキングモードにより合体しているもので、機体上部が地中沈降可能の戦車ランドモゲラー、機体下部が高機動が可能な戦闘機スターファルコンに変形、セパレーションモードにより分離して敵を攻撃できる機動性を誇る。装甲等の基本は、メカゴジラと同じ。腹部に開閉ハッチがある機体構造上、腹部の装甲が脆弱なのが弱点。
対ゴジラ用兵器のため、当初は大気圏外のフル準備運用は考えられていなかったが、アステロイドベルトにおけるスペースゴジラの襲来に際し、推進システムを換装し宇宙に迎撃に出撃しているところを見る限り、空間戦闘にも対応することができるらしい。しかし、スペースゴジラの強大な戦闘力には及ばず中破。かろうじて地球へ帰還後に修理され、スパイラルグレネードミサイル装備とスペースゴジラの発する強力な電磁波に対抗するMECM、複合センサーシステム装備などの強化改修(II-SRFという形式番号がつくが劇中未使用)が行われている。MOGERAはスペースゴジラの両肩の結晶剣と、エネルギーを集めるのに利用していた福岡タワーを破壊して大ダメージを与え、結果的にゴジラと共闘した。MOGERAはその後スペースゴジラによって前述の弱点をテールスマッシャーで攻撃され中破。沈黙するが、結城のでたらめな操作によって再起動。捨て身の体当たりをスペースゴジラに喰らわせ、そのままビルに突っ込み大破。この戦闘の最後にゴジラの熱線でMOGERAはスペースゴジラを巻きこんで大破炎上して失われている。乗員は3名。
漫画版『ゴジラvsデストロイア』では新型MOGERA(飛行形態で脚部がなく、背中にロケットエンジンのバックパックらしきものがある。なお、武装は映画版と同じと思われる。II(映画版同様全体は白色)・III(全体は黒色)と呼称されていた事より量産型と見られる)が2種類確認されているが、香港に出現したゴジラに全砲門での同時総攻撃をかける直前、ゴジラからの熱線の体内放射を受けてすぐに破壊された。
当時の書籍『ゴジラvsGフォース』においては、ロシアの意向で建造された可能性が指摘されている。関連は不明だが、実際に劇中に登場したマミーロフ博士はロシア人である。
本来のパイロットは鈴木勇造・大野秀樹・上原誠の3名[2]であったが、福岡での決戦時にはGフォースの麻生司令官の独断で結城晃・新城功二・佐藤清志らに変更された。
スーツアクターは福田亘。
- 全高:120メートル
- 重量:16万トン
[編集] 武装
- プラズマレーザーキャノン
- 機体頭部の目のような位置から発射される。片目に3基ずつ搭載されており、連射性が高いレーザー。冷却と発射を繰り返すため、長時間の速射ができる。
- 自動追尾式レーザー
- 機体腕部(バスタードリル)の先端から発射される追尾レーザー。貫通力が高く、頭部レーダーで追尾した敵にアームの自由度を利用して正確に放つことが可能。スペースゴジラとの宇宙での戦闘で使用。ランドモゲラーの主力武器でもある。
- クラッシャードリル
- 接近戦用の武装。ドリルアタックはローラーシステムで敵に突進し、機体頭部の口部の位置にあるクラッシャードリルを回転させて攻撃する戦法のことである。
- プラズマメーサーキャノン
- MOGERA最強の武器。機体腹部からメーサー砲を出して発射する。92式メーサー戦車の5倍の威力。その構造上、外部装甲が弱くなっている。
- スパイラルグレネードミサイル
- 機体腕部のバスタードリルが上下に開き、中からミサイルを発射する。先端がドリルのように回転しながら目標に突き刺さって、内蔵コンピューターの判断で爆発する。スペースゴジラの両肩にあるクリスタルジェネレーターを破壊した。両腕部内の弾倉に各12発収められている。
[編集] ランドモゲラー
MOGERAの上半身を構成する戦車。正面に装備したドリルと両脇(両腕のバスタードリル)のレーザー砲によって地中を掘り進むことができる。福岡での決戦時では、スペースゴジラのエネルギー供給源となっていた福岡タワーを倒壊させた。乗員は2名で、合体時はランドモゲラーのコクピットがMOGERAのメインコクピットとなる。最終決戦時には新城と佐藤が操縦。
- 全長:85メートル
- 全幅:40メートル
- 重量:9万トン
- 速度:時速120キロ(地上)/時速60キロ(地中)
- 武装:自動追尾式レーザー砲2門、地対空レーザーキャノン1門
[編集] スターファルコン
MOGERAの下半身を構成する戦闘機(一部資料では高速爆撃機となっている)。宇宙空間での飛行や超高高度からの爆撃なども可能とされている。コクピット部分は宇宙空間でのメインコクピットやMOGERAの脱出装置としても機能する。乗員は1名。武装はMOGERAの腰部分に装備された省電力メーサーバルカン砲2門だが、MOGERAの状態では格納されて使うことができない。最終決戦時、結城が単独操縦。ランドモゲラーとゴジラによる福岡タワー破壊までの牽制とゴジラの援護を行った。
- 全長:80メートル
- 全幅:67メートル
- 重量:7万トン
- 飛行速度:秒速850メートル(大気圏内)/秒速12キロ(大気圏外)
- 武装:省電力メーサーバルカン砲2門
[編集] 『ゴジラアイランド』のモゲラ
『ゴジラアイランド』には、上述の両方がそれぞれ別々に登場している。1957年版のものはプロトモゲラ、1994年版のものはゴジラアイランドに配備された兵器モゲラとして登場した。
[編集] Gガードのモゲラ
Gガードに配備された兵器。オートマチックで動くことができるが劇中の登場人物が操縦することもある。造形物はバンダイの1994年版モゲラのソフビ人形。
[編集] プロトモゲラ
上記のモゲラのプロトタイプとなったGガードのロボット。土木作業用として使用されていたがザグレスに強奪された。造形物はバンダイの1957年版モゲラのソフビ人形(オリジナルと違いアンテナと下アゴがない)。
[編集] その他
ゲーム「ゴジラ・ジェネレーションズ・マキシマムインパクト」にモゲラII(正式名称は、対G拠点防衛用ロボット戦車MGR-IInd)が登場。
[編集] 脚注
- ^ 映画公開時、ゴジラ関係の製品の中でMOGERAの正式名称がMobile Operation Godzilla Expert Land Animal(対ゴジラ作戦用地上動物)と誤って表記されているものがある。これは製品化の段階で誤って情報が伝わったものと考えられる(地面を意味する英語はLandで頭文字はLであり、MOGERAという略称に当てはまらない。カタカナ表記の『モゲラ』から、RとLを取り違えたという説が有力である)。
- ^ フルネームは野村宏平編『ゴジラ大辞典』ISBN 4-7730-0292-1より
[編集] 関連項目
- 東宝特撮映画の登場兵器
- 『幻星神ジャスティライザー』『 超星艦隊セイザーX』 - 初代モゲラに似たメカ怪獣メガリオンが登場する。