ヘルマン・ティルケ
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ヘルマン・ティルケ(Hermann Tilke、1954年12月31日 - )はドイツ人建築家であり、F1サーキットのデザイナーとして知られる。
ノルトライン=ヴェストファーレン州オルペ郡オルペ出身。
1984年、建築、土木工学、電子工学の三者を併用し、モータースポーツやその他の種々のプロジェクトに最適なソリューションを提供するため、ティルケエンジニアリングを設立した。
1990年代以降、F1サーキットはそのステータスを保つため、毎年おびただしい数の変更と安全のための改良を必要としたが、ティルケはそれらの契約をことごとく勝ち取ることに成功した。
それに際し、以下の新設のサーキットの設計を手がけた。
- 1998年 セパン・インターナショナル・サーキット、マレーシア
- 2004年 バーレーン・インターナショナル・サーキット、バーレーン
- 2004年 上海・インターナショナル・サーキット、中国
- 2005年 イスタンブール・レーシング・サーキット、トルコ
大規模な改修を手がけたサーキットとしては、A1リンクサーキット(オーストリア)、ホッケンハイムリンク(ドイツ)、最近では富士スピードウェイ(日本)、カタロニアサーキット(スペイン)のグランドスタンドなどがある。
ティルケエンジニアリング社は、今後、モンツァサーキット、ニュルブルクリンク、そしてシルバーストンサーキットについても、改修を手がける予定となっている。
[編集] 評価
ティルケのデザインの特徴は長いストレートとそれに続くきついヘアピンコーナーの組み合わせ、および長いストレート直前にトリッキーなコーナーを配置することである。これはコース上でのオーバーテイク(追い抜き)の増大を狙ったものであるが、実際にはレーシングカー(特にF1)の空力などの問題もあってテクニカルセクションでの追い抜きが難しくなり、オーバーテイクポイント(追い抜きのできる場所)が限定されやすいコースとなっているのが現状である。そのため観戦する者からは、彼の設計するサーキットは退屈だと糾弾している者が少なくないことは事実である。一方で、安全が何より最優先される時代にあって、サーキットの安全性と提供するスペクタクルの両立という難しい仕事を抱えていることもまた事実であり、その困難な仕事に対して巧みな手腕を発揮していることには一定の評価ができる。
一方で、イスタンブールサーキットでは、F1にて幾多のオーバーテイクが行われており、このサーキットに対する評価は高い。