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バリー・リンドン - Wikipedia

バリー・リンドン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

バリー・リンドン
Barry Lyndon
監督 スタンリー・キューブリック
製作総指揮 ヤン・ハーラン
製作 スタンリー・キューブリック
脚本 スタンリー・キューブリック
出演者 ライアン・オニール
マリサ・ベレンソン
音楽 レナード・ローゼンマン
撮影 ジョン・オルコット
編集 トニー・ローソン
配給 ワーナー・ブラザーズ
公開 1975年12月18日 アメリカ合衆国の旗
1976年7月3日 日本の旗
上映時間 185分
製作国 イギリス
言語 英語・ドイツ語・フランス語
制作費 $11,000,000
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バリー・リンドン』(Barry Lyndon, 1975年アメリカ)は、スタンリー・キューブリック監督が、18世紀のヨーロッパを舞台に撮り上げた映画である。時代考証はもちろんだが、ライティング、美術、衣装に至るまで、完璧主義者であるキューブリックは見事に18世紀を再現してみせている。また、この時代のムードを忠実に再現するため、ロウソクの光だけで撮影するため、NASAのために開発されたレンズを探し出しこの映画のために使用したのは有名な話である。原作はウィリアム・メイクピース・サッカレーの小説。アカデミー賞撮影賞歌曲賞美術賞衣裳デザイン賞を受賞した。

目次

[編集] キャスト

[編集] ストーリー


注意以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。


18世紀半ば、アイルランドの農家に生まれたレドモンド・バリーは、初恋相手の従姉の婚約者のイギリス将校を決闘の末に銃殺してしまったと思いこみ(実際にはバリーの銃には麻弾が装填されていたため、致命傷にはならなかった)、警察の追求をかわすために村を出る。

ダブリンへと向かう道で追いはぎにあい一文無しになったバリーは、英軍の兵員補充に志願して大陸に渡り、七年戦争に参加する。兵隊の中で頭角をあらわすバリーだが、親友の死をまのあたりにして脱走を決意。将校の服・身分証・馬を奪って同盟国のプロイセンに渡るが、プロイセンの将校ポツドルフ大尉に偽装を見抜かれてしまい、プロイセンの軍隊で兵卒となることに。

戦地でポツドルフ大尉を救出した功績により、今度は身分を隠してプロイセン警察でスパイとして働くことになった。バリーの任務の対象となったのが、スパイ嫌疑をかけられていたギャンブラーのシュバリエ・ド・バリバリであった。

シュバリエの召使いとして潜入しようとしたバリーだが、シュバリエが同郷人だと知ったバリーはプロイセン警察を裏切り、シュバリエの相棒として二重スパイをこなすようになる。やがてシュバリエが国外追放になると、バリーはシュバリエと同行し、ヨーロッパ各国の社交界でイカサマによって荒稼ぎする。

そんな中、バリーは病弱なチャールズ・リンドン卿の若い妻レディー・リンドン(ファーストネーム:ホノリア、爵位:リンドン「女」伯爵、兼イングランドのバリンドン「女」子爵、兼アイルランド王国のキャスル・リンドン「女」男爵。リンドン卿の従妹)に出会い、彼女を籠絡する。バリーの企み通りチャールズ・リンドン卿はまもなく病死し、バリーはレディー・リンドンと結婚してバリー・リンドンを名乗るようになる。

一年後、バリーとレディー・リンドンの間に子供が生まれる。バリーは、ブライアンと名付けられたその子供を溺愛するが、家庭をまったく顧みない放蕩な生活に、レディー・リンドンと前夫リンドン卿との子であるバリンドン子爵との間に亀裂が入りはじめていた。

やがて、バリンドンの挑発に乗ったバリーが公衆の面前でバリンドンを殴りつけるという事件が起こり、バリーの社交界での評判は地に落ち、爵位を授かる望みも断たれてしまう。追い打ちをかけるようにブライアンが馬の事故で亡くなり、絶望したバリーは酒におぼれ、レディー・リンドンは精神を病んでしまう。その惨状に対し、バリンドンはみずから家を建て直す決心をし、バリーに決闘を申し込む。

決闘の結果、バリーは足を切断する大怪我を負ってイギリスから追放されることになる。その後、彼の生涯を知る者はない。

注:「女」伯爵:countess, 「女」子爵」viscountess, 「女」男爵:baroness

[編集] 音楽

など

民謡とオリジナル音楽以外の音楽は、ほとんどがこの作品の設定と同時代である18世紀に作曲されたバロック音楽古典派音楽のものだが、唯一の例外が19世紀に作曲されたシューベルトの作品である。

[編集] 豆知識

[編集] レンズのエピソード

映画撮影の歴史で最も明るいとされるカール・ツァイス製「プラナーF0.7」を手に入れたまでは良かったが、キューブリックが前作『時計じかけのオレンジ』で使用したアリフレックス35BLには取付けられず、キューブリックはレンズマウント(取付け部)の口径が一番近かったミッチェルBNCカメラを調達した。

レンズの改造はシネマ・プロダクツ社長のエドマンド・M・ディジュリオに依頼された。改造が必要な箇所はレンズマウントの加工にとどまらず、フォーカス機構もそのままでは使えずカメラ本体の絞りも改造が必要だった。また50mm相当だった画角を36.5mm相当まで広げるためkollmorgen製のアダプターが使われた。これは70mm映画の映写用に造られたものである。

レンズ絞りを開放にするとピントが外れ易くなるが、ミッチェルBNCはレフレックス(レンズに入った映像がファインダーから見られる)では無かったため、被写体までの距離を正確に追うため被写体を真横からテレビカメラで写し、フォーカス・プラー(ピントを合わせるオペレーター)が映像をモニターで監視しながらレンズのピント送りを行った。さらに視差を最小限にとどめるため、テクニカラー・カメラのファインダーを流用。このような改造とテストに3ヶ月が費やされた。

当時のフィルムもASA100程度の低感度で、特別に明るいレンズを駆使してなお増感現像を行いASA200相当で使われた。80年代に入ると高感度フィルムが開発され、蝋燭照明の下でもより良い画質で簡便に撮影出来るようになった、とオルコットは後年語っている。

[編集] 外部リンク



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