シャイニング (映画)
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シャイニング The Shining |
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監督 | スタンリー・キューブリック |
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製作総指揮 | ヤン・ハーラン |
製作 | スタンリー・キューブリック |
脚本 | スタンリー・キューブリック ダイアン・ジョンソン |
出演者 | ジャック・ニコルソン |
音楽 | バルトーク・ベーラ クシシュトフ・ペンデレツキ ジェルジ・リゲティ ウェンディ・カーロス アル・ボウリー |
撮影 | ジョン・オルコット |
編集 | レイ・ラヴジョイ |
配給 | ワーナー・ブラザーズ |
公開 | 1980年5月23日 1980年12月13日 |
上映時間 | 143分(通常公開版) 119分(国際版) 備考(本公開に先立つプレミア上映のみ 146分) |
製作国 | イギリス・アメリカ |
言語 | 英語 |
allcinema | |
Variety Japan | |
allmovie | |
IMDb | |
『シャイニング』(The Shining)は1980年に制作されたホラー映画。スティーヴン・キング原作の同名小説をスタンリー・キューブリックが映画化した。
目次 |
[編集] ストーリー
コロラド州のロッキー山上にあるオーバールック・ホテル。雪深く冬期には閉鎖されるこのホテルに、管理人としての職を求めに来た小説家志望のジャック・トランス。実はこのホテルは以前の管理人であるチャールズ・グレイディが孤独に心を蝕まれたあげく、家族を斧で惨殺し、自分も自殺したいわく付きの物件だということを支配人のスチュアートは語るが、全く気にしないジャック。そして妻のウェンディ、一人息子のダニーがやってきてホテルでの生活が始まる。ダニーは不思議な能力「かがやき」(Shining)を持つ少年だった。ダニーはホテルの中で様々なものを見る。双子の少女、エレベーターから吹き出す血の洪水。ホテル閉鎖の日、料理主任であるハロランはダニーとウエンディを伴ってホテルの中を案内する。ハロランはダニーが自分と同じく「かがやき」を持っていることに気付き、何者かがこのホテルに存在することをダニーに語って聞かせる。そして猛吹雪により外界と隔離されたオーバールック・ホテルで、3人だけの生活が始まる……。
[編集] キャスト
- ジャック・トランス:ジャック・ニコルソン
- ウェンディ・トランス:シェリー・デュヴァル
- ダニー・トランス:ダニー・ロイド
- ディック・ハローラン(料理長):スキャットマン・クローザース
- スチュアート・アルマン(支配人):バリー・ネルソン
- デルバート・グレイディ(バトラー):フィリップ・ストーン
- ロイド(バーテンダー):ジョー・タークル
日本語吹替
[編集] 原作との違い
この映画と原作とでは、原作の著者であるキングがこの作品に不満を持ち、後に自ら再映像化するほどシナリオが異なる。猛吹雪に閉ざされたホテルで狂気にとらわれた男が家族を惨殺しようとする、という大まかな流れはほぼ原作通りである。一方、原作では邪悪な意志をもつ巨大な存在であるホテル自体が、過去のできごとなども含めて圧倒的な存在感をもって描かれているのに対して、映画ではそれが薄い。更に、原作ではホテルの邪悪な意志がジャックを狂気へと導くのに対して、映画では孤独に耐え切れず自ら発狂したともとれる曖昧な描写がなされている。しかし、ホテルがグレィディを遣ってジャックを邪悪に導く描写は存在する。これらは作品の非常に重要な部分であるため、原作と映画の印象を決定的に異なるものにしている。原作ではウェンディもダニーもジャックの発狂はホテルのせいだということを理解しているが、映画版では不明である。原作では大きな役割を果たすダニーの「シャイニング」という能力や、同じ能力を持つ料理人ハロランも影が薄い。
[編集] エンディング
- 原作のラストでは、ジャックとともにオーバールックホテルそのものがボイラーの爆発で木っ端微塵に吹き飛んでしまうが、映画のラストではホテルは破壊されず、ジャックは迷路で凍死する。
- 原作ではウェンディがジャックに斧で切りつけられて重傷を負い、ハロランの助けにより何とかホテルを脱出するが、映画ではハロランは何もしないうちにジャックに切り殺され、ダニーとウェンディはハロランが乗ってきた雪上車で脱出する。
[編集] その他
- キューブリック作品は57年『突撃』など早くから移動撮影に定評があったが、本作では開発されたばかりの「ステディカム」を導入。用法は効果的で、この撮影装置の知名度を飛躍的に高めた。
- ロンドン王立大学の研究チームによると、数学的計算による世界最高のホラー映画であるという。
- ちなみにキューブリックの元にはこの「シャイニング」と共に「エクソシスト2」の制作の依頼も来ており、最終的にキューブリックは「シャイニング」の制作を選んだ。
- 本公開に先立つプレミア上映では146分の映画として公開された。これには逃げ延びたウェンディとダニーが病院でホテルの管理人アルマンと再会するエピソードがあった。管理人はダニーに黄色のボールを投げる。そのボールはダニーがホテルの廊下で遊んでいる時に、どこからともなく転がってきたボールと同じだった…というエピソードである(黄色のボールはこの2つのシーンでしか使われていない)。このラストはすぐに削除され、143分となった。さらに再編集した119分のコンチネンタル版と3バージョン存在する。しかし146分版はもう存在しない。
[編集] 音楽
当初『時計じかけのオレンジ』のウェンディ・カーロスに作曲依頼をしていたが、完成版では既成曲を多数採用しカーロスの曲は冒頭の「ロッキー・マウンテンズ(グレゴリオ聖歌「怒りの日」の編曲)」のみとなっている。
- 弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽 第3楽章(バルトーク)
- ロンターノ (リゲティ)
- ヤコブの目覚め/ポリモルフィア/ウトレニヤ/デ・ナトゥーラ・ソノリス 第1番,第2番/52弦とテープのためのカノン(以上ペンデレツキ)
※曲名にある「ヤコブ」の英語名はjacob = Jack
- 仮面舞踏会(演奏:ジャック・ヒルトン楽団)
- ホーム(演奏:ヘンリー・ホールとグレン・イーグルス・ホテル・バンド)
- 真夜中、星々と君/もうすべて忘れて(演奏:アル・ボウリーとレイ・ノーブル楽団)
※「真夜中~」の作曲はH.M.ウッズ、R.コネリーとJ.キャンベル。『博士の異常な愛情』冒頭の「もう少し優しく(Try a little tenderness)」も編曲こそされているが、同じ3名による曲である。
[編集] 関連事項
- シャイニング:スティーヴン・キング監修のテレビシリーズ
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