バダフシャーン州
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バダフシャーン州 (Badakhshān Velāyat、パシュトー語:د بدخشان ولايت、ダリー語表記:استان بدخشان) は、アフガニスタン北東部の州である。ヒンドゥークシュ山脈とアムダリヤ川に囲まれており、タジキスタンとアフガニスタンにまたがるバダフシャーン地域の一部を成している。
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[編集] 地理
バダフシャーン州は北側と東側でおもにタジキスタンと国境を接している。パキスタン北部のチトラールの北に伸びるワハーン回廊は、パミール高原を東西に貫き、僅かながら中国と国境を接している。面積は44,059km² (北海道の約60%)で、ほとんどの地域はヒンドゥークシュ山脈とパミール高原の山地である。
ワハーン回廊は、旧ソビエト連邦のアフガニスタン侵攻時より占領状態が続いていた[要出典]。
[編集] 歴史
古にはシルクロードの中継地点であった。
バダフシャーン州はターリバーンに支配されなかった唯一の州であった。ブルハーヌッディーン・ラッバーニーはバダフシャーンの出身であり、ラッバーニー率いる北部同盟の軍事司令官アフマド・シャー・マスードは、反ターリバーンの最後の生き残りで、本地域を最後の根拠地としていた。米軍の軍事支援と空軍力によって北部同盟が国内の支配権を取り戻したのは、まさにバダフシャーンがターリバーンによって陥落させられる寸前の時であった。
2007年現在の知事はアブドゥル・マジドである。
中国はターリバーン政権の崩壊後から道路と社会資本の再建を援助するなどしており、おそらく本地域の鉱物資源に関心を持って、バダフシャーンに熱い視線を注いでいる。
[編集] 主要都市
バダフシャーンは州都のファイザバード市、ワハーン回廊の位置するワハーン県など1市27県を擁している。
州都はコクチャ川沿いにあるファイザバード (Faizabad ダリー語表記:فيضآباد) で、人口は57,400人 (2006年の公式推計[1])。ファイザバードは北東アフガニスタンとパミール高原地帯の商業と行政の中心地で、稲作と製粉も行なわれている。冬期には深い雪によって孤立することがある。
1979年には、ムジャーヒディーンと侵攻したソ連軍の交戦の中心となった。1980年、ファイザバードはソ連軍によって攻略され、以降ソ連の主要な防衛拠点となった。
[編集] 経済
莫大な鉱物資源の埋蔵量を誇る。それにも関わらず、バダフシャーンは世界で最も開発の遅れた地域となっている。
近年の鉱物開発のほとんどはラピスラズリで、ラピスラズリによる収益は北部同盟、またかつては反ソ連のムジャーヒディーンの資金源であった。近年の地理学的調査によって、ルビーとエメラルドの鉱脈も発見されている[2]。これら鉱物資源の開発は、アフガニスタンの将来の繁栄を左右するかもしれない[3]。
[編集] 住民
住民はタジク人が多数を占め、ウズベク人と少数のキルギス人も生活している。人口は823,000人 (2006年の公式推計[4])。主な言語はダリー語。
スンナ派が多数のアフガニスタンの他地域とは異なり、本州の住民の多くはシーア派系のイスマーイール派を信仰している。このような民族的かつ宗教的な特異さのために、本州の住民はターリバーンの支配に激しく抵抗した。
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