ドルニエ 228
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ドルニエ 228 (Dornier 228) は、ドイツのドルニエ社により開発された短距離離着陸性能に優れた双発ターボプロップ旅客機である。
現在はインドのヒンドスタン・エアロノーティクス社 (HAL) がインド軍向けにライセンス生産しており、型式証明はドイツにRUAG エアロスペース社が保有している。
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[編集] 経緯
1970年代にドルニエ社は新しい形状の層流翼(TNT翼)を開発。そしてドルニエ Do 28を改造してこの新しい翼を試験した(これは後にDo 128となる)。
次にドルニエ社はTNT翼のための新しい機体、15人乗りのE-1と19人乗りのE-2の2機を開発した。E-1は1981年3月21日、E-2は1981年5月9日に初飛行を行い、E-1はドルニエ 228-100、E-2はドルニエ 228-200と名を改めて生産が開始された。1982年2月にドルニエ 228が初めての航空路に就役した。
1983年、HAL社がライセンス権を購入。ドルニエ社だけでなくHAL社でも生産されることになった。1996年にはドルニエが合併し、フェアチャイルド・ドルニエとなったため、フェアチャイルド・ドルニエが販売と生産を引き継いだが、より優れたドルニエ 328に生産ラインを譲るためドルニエ 228の生産は1998年に終了した。
なお、ドルニエ 228は民間機の他にも軍用機としてヨーロッパやアフリカの軍に採用されている。
[編集] 日本での運行歴
- 1983年 日本エアコミューターにて導入、日本初飛行。計3機を導入して奄美群島での運用に活躍。
- 1988年 航空宇宙技術研究所(現宇宙航空研究開発機構(JAXA))が、実証実験機(インフライト・シミュレーター)として1機を導入。MuPAL-αと命名。
- 1995年 日本エアコミューターでの運用より引退。
- 1997年 航空宇宙技術研究所の機体が、ナホトカ号重油流出事故に際して重油湧出点の確定を行う。
- 1999年 新中央航空が一機を新規に導入(JA31CA)。2000年3月に調布―新島、神津島線に投入。
- 2001年 壱岐国際航空が元日本エアコミュータで運用された機体(JA8835)にて、11/22に福岡-壱岐線を運行開始。
- 2002年 壱岐国際航空、福岡-壱岐線を運行休止(1/16)。新中央航空、2機目を購入(JA32CA)。
- 2005年 元日本エアコミュータの機材(JA8835,JA8836,JA8866)が全て登録抹消(国外への売却による)。
- 2006年 新中央航空、3機目を購入(JA33CA)。これで新中央航空の定期便が全てDo 228での運行になった。
このほか、格安航空会社のエアァシェンペクスが、元日本エアコミュータのJA8835,JA8866を運用したが、資金不足により、実際に就航することはなかった。後身であるエアトランセは、与圧キャビンを備えるビーチクラフト1900Dへ使用機材を変更したため、これらの機材は海外へ売却されている。
[編集] 諸元 (Do 228-212)
- 乗員:2名
- 乗客:19名
- 機体長:16.56 m
- 翼幅:16.97 m
- 機体高:4.86 m
- 翼面積:32.00 m²
- 乾燥重量:3,258 kg
- 最大離陸時重量:6,400 kg
- エンジン:ハネウェル製TPE331-10GP-511D型, 560 kW (776 馬力) × 2
- 最高速度:434 km/h
- 航続距離:1,037 km
- 実用上昇限度:7,534 m (25,000 ft)
- 上昇率:570 m/min (1,870 ft/min)