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ディッピングソナー - Wikipedia

ディッピングソナー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

SH-3D シーキングから吊されるAQS-13 ディッピングソナー
SH-3D シーキングから吊されるAQS-13 ディッピングソナー
ディッピングソナーを展開するSH-60F
ディッピングソナーを展開するSH-60F

ディッピングソナー (dipping sonar) は哨戒ヘリコプターに搭載されている吊下式ソナー

目次

[編集] 運用概要

アメリカ海軍の艦載ヘリ多目的運用構想LAMPSでは潜水艦追尾位置極限の主力捜索器材となる。潜水艦の魚雷の射程距離は約10海里であり、この射程距離内での水上部隊対潜水艦では、もっとも有効な潜水艦捜索器材といわれる。すなわち艦隊の対潜水艦近接防御を担うインナーゾーンプロテクトでは、艦隊から30海里以内は艦艇の発する雑音のため、パッシブ戦術は不適であり、ディッピングソナー装備機3機による包囲戦術がもっとも効果的な対潜水艦戦術といわれる。ディッピングソナーは、小型軽量であるため、実用探知距離は約1.5海里以内と比較的小さいが、ヘリコプターの機動性はその短所をカバーすることができ、さらに海中のLD(海中の温度境界層)内部も捜索できるため、精度の高い捜索追尾能力を持つ。ディンピングソナー使用の第一義は、ヘリコプターの機動力を生かして次々に捜索エリアを拡大していき、音波の直接伝搬域(ダイレクトパス)内部の潜水艦捜索をすることである。浅深度では海況により、サーフェースダクト(海面反射伝搬)を利用して、艦艇襲撃を伺う潜水艦に潜望鏡深度への浮上を断念させることができる。また哨戒ヘリコプターは、ソナー捜索中にレーダー、赤外線探知機、目視捜索を併用して海面制圧を実施し、潜望鏡の使用を封殺している。敵潜水艦らしい目標を捕捉したならば、直ちに短魚雷Mk46または音響警告弾を投下する。この攻撃により、敵潜水艦は、回避行動や欺瞞行動をとらねばならず、これにより実目標であるか虚探であるかを区別することができる。敵潜水艦掃討時には、ソナー吊下深度を深く下げ、深深度潜航により逃れようとする潜水艦を探知して撃滅する。ちなみに包囲された潜水艦は、深深度静粛潜航で離隔すると同時に、ディッピングソナーの発振間隔を計測し、被探知距離を逆算している。潜水艦はソナーに対しもっとも音響反射面積の小さい艦尾をむけて(つまり背中をみせて)逃走する。

[編集] 目標類別

目標の識別には2段階ある。まず水中物体からの反響音(エコー)に含まれるドップラー効果を認識し、その反響音が安定した航跡を描いていれば水中移動物体(潜水艦、魚群、クジラ、水塊)と判断する。次に、この目標の航跡を監視すると同時に、水中移動物体に対して数種類のパルス幅の探信音を当ててその特徴を分析し、潜水艦か他の水中物体であるかを判定する。AQS-13Fソナーの場合、発信パルスには、距離分解能5m、50m、150mの3種類がプリセットされており、ソナー員は発信パルスを適宜変更し、探知中の目標が潜水艦のデータと一致すれば、目標を潜水艦と判断する。このパルス幅による目標識別には、耳でエコー聞き分けると同時に、AYK-14戦術コンピューターを介して得られた画像情報によって行なう「目標画像累積識別:探信履歴」も重要な目標判定要素となる。

[編集] 音響的特徴

ソナーの使用深度は水深15m以深でなければならず、15mより浅いと自機の騒音により探知能力が著しく低下する。水深50m以深になると自機の騒音の影響はほぼ完全に消滅する。ただし機内ではソナー員が激しい機内騒音と戦いながら、ソナー捜索を行なっている。現用のディッピングソナーは1970年代にアメリカで開発されたAQS-13Fが主流で、アメリカ海軍のSH-60F艦載ヘリコプターに搭載されている。捜索については、探信音を発信するアクティブモードと聴音のみのパッシブモードがある。ディッピングソナーの聴音機能は、10KHzの高周波仕様であるため探知距離が短く、周波数分解能も低いため、聴音探知、聴音識別はあまり期待できない。浅深度で発信する場合、送受波器の外周に気泡(キャビテーション)が生じるため、水深40m以深から最大出力発信が可能になる。送受波器内部はひまし油で満たされており、これにより発振素子となるセラミックと海水との音響的接続を良好にしている。艦艇用ソナーは低周波であるため、より粘性の低い加圧した真水で海水との音響的接続を図っている。ソナー表面については、常に清浄な状態に保つ必要がある。これは、部分的な汚れがホットスポットと呼ばれる部分的キャビテーションの原因となるからである。ディッピングソナーの吊下速度については、吊下中も良好な探知を得るため、吊下速度が10Kt:ノット(時速18km)を越えない範囲が保たれる。これはソナーと海水との摩擦が10ktを越えるとソナー表面の海水の乱流により音響的な境界層が発生し、急激に海水との音響的接続が低下するからである。戦争映画等では爆発音を聴知した場合、強烈な音圧により聴覚を奪われるシーンが見られるが、実際はAGC Automatic Gain control:自動利得調整機能により、一定以上の音圧は減衰させてスピーカーに伝達するので、オペレーターの聴覚が奪われることはない。また、潜水艦が350ヤード以内の近距離に存在する場合は、TVG Time Variable Gain:近距離反射低減機能により、探知できないこともある。

[編集] 対欺瞞対処

潜水艦は、被探知を逃れるため、さまざまな韜晦行為を為す。しかし、いかなる韜晦であっても、こちらが即魚雷発射をすれば、潜水艦はデコイ(おとり用の雑音発生器)を使用するしかなく、欺瞞行為を看破しえるであろう。

  • ホバリング

潜水艦が水中で完全停止する状態である。これにより、潮目、水塊、魚群に反響音的な欺瞞が可能である。 有事であれば、即魚雷攻撃を加えることで、ホバリングによる欺瞞行動を看破することができるであろう。また、水中発音弾での警告も有効である。磁気探知機による類別精度の向上も有効であろう。

  • バブルおよび気泡缶発射

潜水艦の気泡による欺瞞である。これも潮目、水塊、魚群に反響音的な欺瞞が可能である。気泡放出が考えられる場合、もっとも容易な看破手段は、目視による海面捜索である。アクティブソナーの気泡と思われるエコーと、海面に現れた気泡が同じ場所であるならば、間違いなく潜水艦の放出した気泡であろう。これは、夜間であっても、赤外線探知機を用いることで確認可能である。また、音響的にも気泡は浮上するのみであるためほぼドップラー効果を生み出す要因がなく、比較的潜水艦との類別は容易である。気泡の残留時間は、放出した深度にもよるが、常識的に10分以上存在することは考えにくい。気泡は短魚雷をも欺瞞するため、魚雷発射による威力偵察は、ギャンブル性が高くなる。

  • ナックル

潜水艦が急変針することによる、撹乱水流の出現である。 典型的なパターンとしては、潜水艦の行く手を阻むようにソーナーを吊下した場合、潜水艦が急反転して逃走をすることによって生じる。音響的には水流も潜水艦もドプラー効果を生じるため純粋に音響のみの類別は極めて困難であるが、潜水艦の進路を継続的に探知していれば、自機から逃げていくドプラー効果の低い目標が潜水艦である。高速航行中の潜水艦がナックルを次々と発生させると、探知が撹乱されてしまう。このため、高速潜水艦の追跡は、前程で進路妨害を行ってはならず、後方からの追尾のみにするべきである。またできるならば失探知を装いアクティブソーナーの発振間隔を遠距離捜索モードにするのもよい。通常動力の潜水艦であれば10ノット以上での航行は20分を超えることはないであろう。

  • 深深度潜航

潜水艦に深深度潜航をさせてはならない。しかし、被探知を意識した潜水艦は、間違いなく性能限界まで潜航し、逃走を企図するはずである。深深度では、熱動力の短魚雷の航走能力は著しく低下するため、有効射程圏内であっても必中を期し難い。ただし、戦術状況によっては、哨戒機は海面付近のみを制圧し、潜水艦の行動を深海に封殺することも有効な戦術である。潜水艦の攻撃は、海面付近のみでしかなし得ないため、味方の損害を皆無にすることのみが目的であれば、海面制圧による行動封殺は大きな戦術的意義を持つ。

  • デコイ

潜水艦が、雑音発生器を発射した場合、探知が妨害されるようであれば、探知位置を変更することがもっとも賢明な選択であろう。また、雑音発生器が攻撃軸線上にないのであれば、即魚雷攻撃するべきである。

[編集] 航空技術的特徴

ディッピングソナーは、ソナーケーブルを常に垂直に吊下する必要があるため、自動操縦装置とソナーケーブルの角度センサーを同調させている。この自動操縦技術の開発にアメリカは大きな時間を費やした。ソビエトではホバリング精度向上のため、二重反転ローターのKa-27シリーズを開発した。ソナーケーブルを垂直に保てない場合は、ヘリがソナーを牽引した状態に陥り、ソナーは海面で波に激しく叩かれることになる。この場合は、巻き上げウィンチを使用せず、機体そのものを垂直上昇させ、空中でソナーケーブルの振れが収まったのちにソナーを巻き上げる。これをフリーストリームリカバリーという。

[編集] 将来の展望

湾岸戦争でアメリカ海軍は、イラク軍の機雷により、タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦強襲揚陸艦を各1隻大破という大損害を出した。このため対機雷戦への脅威が問題視されてきており、ディッピングソナーの高周波、高精度化によって、機雷の探知及び、沈座中の潜水艦の精密解析が研究されている。現用のサイドスキャンソナーは沈没船の位置局限に威力を発揮しているが、ヘリコプターでの曳航によりさらに広域を高速掃海できるようアメリカ海軍を中心として開発が進んでいる。

[編集] 各国のディッピングソナー搭載ヘリコプター

  • SH-60(シーホーク) アメリカ 日本 台湾
  • エアロスパシアルパンテール フランス 中国
  • ウェストランドリンクス イギリス ドイツ
  • EH101(マーリン) イギリス イタリア ポルトガル デンマーク
  • Ka-27(ヘリックス) ロシア ウクライナ
  • NH90 ドイツ イタリア フランス オランダ ノルウェー スウェーデン

[編集] アメリカ海軍歴代ディッピングソナー

  • HRS-2ヘリ 1953年 AQS-4ディッピングソーナーを初搭載
  • HSS-1ヘリ 1955年 AQS-4A/C 21KHz 出力200W 吊下ケーブル30m サーフェースダクト(海面反射伝搬)探知専用 探知距離約1海里
  • HSS-1Nヘリ AQS-4D 21KHz 出力300W AQS-5 吊下ケーブル約60m 吊下ケーブル追従式自動ホバリング機能追加
  • HSS-2ヘリ AQS-10 10KHz 吊下ケーブル70m 最大探知距離2~4海里
  • SH-3Aヘリ 1960年 AQS-13 10KHz 出力5KW 吊下ケーブル180m 最大探知距離約10海里 有効探知距離2海里
    • 1964年 AQS-13A
  • SH-3Dヘリ AQS-13B/C 吊下ケーブル160m
  • SH-60F(オーシャンホーク) 1981年 AQS-13E 高速フーリエ変換による移動目標の画像強調表示機能を追加

[編集] AQS-13F:(SH-60搭載)性能要目

  • 設計条件:Mk46魚雷の射程をすべて捜索し得るディッピングソナー。旧ソ連攻撃型原潜アクラ級に対し3機編隊で継続追尾可能な性能を要求されている。また最大水深450mにソナーを吊下し、深深度サウンドチャンネルを利用することによって、正横態勢で有効反射面積が最大限の状態にあるオスカー級原子力潜水艦の反響音を20キロヤードの遠距離で捕捉可能な性能を持っている。
  • 使用周波数:約10KHz
  • 最大吊下深度:1500ft(約500m
  • 最大吊下揚収所要時間:270以内
  • 重量:約200lb(90kg
  • 最大有効探知距離:4nm以内
  • 最大捜索半径10海里(北大西洋のCZ発現距離が約10海里であるため)
  • 自動ホバリング機能あり。ホバリング精度はケーブル傾斜2°以内
  • MTI移動目標表示機能あり
  • 潜水艦との接触時(スナッグ)の自動巻き出し機能あり。油圧回路内が高圧になるためバイパス回路が作動する。このため通常の吊下揚収操作は無効となる。
  • BT垂直温度分布計測機能あり(距離補正用兼温度境界層確認用)
  • Mk46魚雷との音響的干渉防止機能あり
  • バイノーラルにより方位認知可能。反響音によりオペレーターが、目標が左右どちらにいるか判定可能。
  • 音紋解析の機能なし。パッシブモードでの音紋解析はできない。
  • 近接時の失探距離により目標深度算出可能。
  • 付属で録音装置も備える。
  • 海上自衛隊使用のHQS-103ディッピングソナーは米軍の規格公開により同程度の性能である。

[編集] 関連書籍

  • 海洋音響の基礎と応用 海洋音響学会
  • 水中音響の原理 R.J.ユーリック著
  • 海洋音響用語事典 海洋音響学会
  • 音で海を見る 古澤昌彦
  • アメリカ海軍機ハンドブック
  • エアワールド アメリカ海軍機


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