セサミストリート
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『セサミストリート』(SESAME STREET)は、アメリカの非営利番組プロダクション「セサミ・ワークショップ(Sesame Workshop)」が制作するマペットキャラクターを使った子供向け教育番組、及び同番組の舞台となる架空の通りの名前である。
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[編集] あらまし
元々はスラムなどに住むプエルトリカン、黒人などの子供たちが小学校就学時に、少なくともアルファベットや10までの数を数えられるように、合わせて学力の底上げを狙った番組。番組の舞台も音楽もすべて、そうした子供たちに親近感を持ってもらえるような工夫がされている。
アメリカでは、そうした子供たちの基礎学力はこの番組で明らかに向上したが、白人中流家庭でこの番組を視聴した子供たちの学力の伸びはそれ以上で、学力格差の解消までにはつながらなかった。
『セサミストリート』の由来は、アラビアンナイト(千夜一夜物語)の『アリババと40人の盗賊』の中に出てくる呪文「開けゴマ(open sesame)」からきており、「宝物が隠されている洞窟が『開けゴマ』の呪文によって開いたように、この番組によって子供たちに新しい世界や知識の扉をひらいてほしい」という願いが込められている。
現在、日本における『セサミストリート』の権利の管理などは、セサミストリート・パートナーズ・ジャパン(Sesame Street Partners Japan、通称:SSPJ)によって行われている。
『セサミストリート』は現在、180もの国々で放送されている。
[編集] マペット
親近感を持ってもらえるような工夫の1つに、番組のシンボルキャラクターであるビッグバードを始め、多くのマペット(操り人形)及びマペットキャラクターが登場しているのが挙げられる。この番組から生まれたマペットは、個性豊かなキャラクターで世界中の多くの子供達に愛されている。番組に登場するマペットは、おもに人間型・動物型・モンスター型とがある。マペットの操演者(マペティア)は同時に声も担当し、ときにはアドリブも繰り出す事がある。
マペットのデザインはジム・ヘンソンが手がけていた。なおマペットとは、「マリオネット」と「パペット」を組み合わせたヘンソンの造語である。マペットには2人以上の操演によって滑らかな動きをしているものがあるが、これはヘンソンが来日した際に鑑賞した文楽がヒントになっている。ヘンソンは生前、番組内でアーニー、カーミットなどの操演・声を担当していた。
その他、マペットが出演するテレビ番組にマペット放送局があり、劇場版もある。ヘンソンの作り出したマペット第一号であるカーミットは、どちらにも出演している。
[編集] 主な出演キャラクター
[編集] 主な出演マペット
太線は日本版にも登場するマペット。(☆印は2006年4月2日放送回以後からの登場。)
- エルモ(ELMO)(声優:落合弘治(NHK版)、松本健太(テレビ東京版) )
- ビッグバード(BIG BIRD)(声優:真殿光昭(NHK版)、鶴岡聡(テレビ東京版))
- クッキーモンスター(COOKIE MONSTER)(声優:大川透(NHK版)、菊地慧(テレビ東京版))
- カウント伯爵(COUNT VON COUNT)(10月9日生まれ) (声優:大川透)
- オスカー(OSCAR THE GROUCH) ☆(声優:大川透)
- テリー(TELLY MONSTER) (声優:玄田哲章(NHK版))
- ベビー・ベア(BABY BEAR)☆(声優:落合弘治)
- ロジータ(ROSITA)(声優:滝沢ロコ)
- ゾーイ(ZOE)☆(声優:玉川紗己子(NHK版))
- ベビー・ナターシャ(BABY NATASHA)(声優:落合弘治)
- バークレー(BARKLEY)(声優:大川透)
- フーツ(HOOTS THE OWL)
- プレーリー・ドーン(PRAIRIE DAWN)(声優:玉川紗己子)
- アリス(ALICE SNUFFLEUPAGUS)
- スナッフィー(ALOYSIUS SNUFFLEUPAGUS)☆(声優:大川透)
- カーミット(KERMIT THE FROG)(声優:真殿光昭(NHK版))
- ホンカー(HONKERS)
- ルル(LULU)
- エリザベス(ELIZABETH)
- スティンキー(STINKY)
[編集] 日本版オリジナルマペット
- ティーナ(TEENA)(声優:水城レナ)
- モジャボ(MOJABO)(声優:田中英樹)
- ピエール(PIERRE)(声優:水城レナ)
- アーサー(ARTHUR)(声優:竹田佳央里)
- グローリー(声優:竹田佳央里)
- メグ(声優:井口綾子)
[編集] 主な出演人物
- ボブ・マグラス (Bob)
- ゴードン(Gordon)
- スーザン (Susan)
- ルイス (Luis)
- マリア (Maria)
- (故)フーパー (Mr. Hooper)
- フーパー氏を演じた俳優ウィル・リーの死去に際し、「セサミ・ストリート」製作者はこれを同時に「フーパー氏の死」として捉えることにより、「人の死」を考えさせる機会にしようと試みた。このエピソードは教育的かつ感動的なものとなったが、日本国内では放映休止中であったため、ほとんど知られていない。
- (故)デービド (David)
[編集] 評価
アメリカ本土での評価は高く、単なる子供向けの教育番組にとどまらず、有名ミュージシャンが手がけた良質な音楽や、古い映画・テレビ番組のパロディなどもあるため、大人のファンも多い。また出演者の妊娠・出産・死去などについても、教育の一環としてドラマに取り入れ視聴者へ伝えていた。
1971年に、NHKが制定した教育番組の賞である第7回日本賞グランプリを受賞し、一気に世界的評価を得た。デイタイム・エミー賞も91個受賞している。また「最も人気のある子供向け教育番組」としてギネスブックにも登録されている。日本の子供番組『ひらけ!ポンキッキ』は、当番組をモデルに制作された。
[編集] NHKでのテレビ放送
日本では日本賞受賞を契機に、賞を設けたNHKが教育テレビで英語教育番組として英語オリジナル版(以下、オリジナル版と記す)を1971年の夏休みと冬休みに放送し、1972年4月9日からオリジナル版でレギュラー放送が開始された。(途中、「10年を経過し一定の役割を果たした」として一旦打ち切られ、1982年4月~1986年12月中断。また1987年1月から1988年3月まではNHKBS-2での放送であった。)
英語の台詞を理解できる様に長らく、台詞を翻訳したテキストがNHK出版から発行されていたが、1998年より二か国語放送となり、ビッグバード等の登場キャラクターの声が日本語でも聞けるようになった(声はテレビ東京で放送されている日本版とは異なっている)。テキストについては二か国語放送化に合わせて休刊されている。
しかし、制作プロダクションであるSesame Workshopが幼児向け教育番組としての日本版の共同制作を要望したことに対し、NHK側は英語教育番組としてのオリジナル版の放送を継続したいということで折り合いがつかなくなり、2004年4月3日をもってNHKでの放送を終了。NHKとグループのサイトに開設された関連ホームページも程なく削除された。このため、現在、NHK時代のセサミストリートについて調べることは、困難となっている。
Sesame Workshopはもともと、「文化の多様性」を許容する立場で、米国政府からも睨まれるほどであったが、それにもめげず、海外放送局との共同制作による“現地化”を積極的に進めてきた。日本でも、そうした“現地化”を早くから目指していたが、日本賞プレゼンターのNHKは本家の番組そのものの良さにこだわり続けた。これが、NHKでの放送が終わることになった主な原因とみられている。
[編集] 吹き替えを行った声優
太字はマペットキャラクターを演じた声優
[編集] テレビ東京での放送
NHK版の終了から半年後、テレビ東京系列で日米共同制作による日本版セサミストリートが2004年10月10日(午前9:00~)より放送が開始された(視聴率の低迷で半年で終了した『それいけ!ズッコケ三人組』の後番組)。BSジャパン(3日遅れ)・アニマックスでも時差放送されていた。日本で製作されたマペット劇が中心で、オリジナル版のように「今日の文字」や「今日の数字」などはなく、「心、自我、感情表現」や「自然、環境」をメインに取り扱っている。日本のセサミストリートにはコンビニがあり、さらに、ストリート以外でも「セサミの森」という場所が登場する。また、アメリカなどで制作されたライブラリ映像を放送したり、「イングリッシュ on ストリート」という英語を教えるコーナーも登場している。この番組内では日本だけのオリジナルキャラクターが登場している。
2005年10月3日~2005年12月23日にかけて、平日帯番組として、早朝6:40~6:45に5分間番組の『プチプチ!セサミストリート』も放送された(2006年1月9日~2006年3月31日までは再放送)。
2006年4月2日より番組がリニューアルされ、グローリーとメグが日本だけのオリジナルキャラクターとして新たに加わった。また、出演者にコミュニティーセンターのおじさんとして、戸田ダリオがヒューマンキャラクター(出演者)として加わった。さらに、英語コンテンツの充実が図られた。また、同年10月より国際性をはぐくむをテーマにリニューアルを行ったことに伴い、マペットが一般家庭にお邪魔したりなどのコーナーが追加された。また、エルモズワールドを、一部日本で撮影されたものを加えるなど、再構成したものを放送するようになった。
2007年9月30日を以てテレビ東京系列での放送を終了した。裏番組(一部地域では異なる)の『ゲゲゲの鬼太郎』が高視聴率を挙げ、その影響で視聴率が低迷したことが主な原因。その後は「アニマックス」での放送が継続されており、CS衛星放送とケーブルテレビでしか見ることができなくなっている。
[編集] 日本版マペティア
- エルモ 松本健太
- ティーナ 水城レナ
- ピエール 水城レナ
- ビッグバード 鶴岡聡
- クッキーモンスター 菊地慧
- モジャボ 田中英樹
- アーサー 竹田佳央里
- グローリー 竹田佳央里
- メグ 井口綾子
- ライトハンド&サポート Linda、浅野孝彦、井口綾子
[編集] 日本版出演者
他多数
かつて出演していた出演者
- 太田在
- 山田宏太郎
- 森沢早苗
- 小泉奈々
[編集] 日本版スタッフ
- プロデューサー 紅谷佳和→青木俊志(テレビ東京)・高橋知子・近藤孝子・亀山泰夫
- アシスタントプロデューサー 佐藤将之
- 監督 岡田倫太郎・植田泰史
- チーフライター 武田浩
- 脚本 龍田力・吉田裕一・安田美弥・山下直美
日本版の制作にあたっては、「セサミストリートアドバイザーボード」が組織され、日本の子供たちの直面する諸問題をリアルタイムに把握し、番組のカリキュラム作りに反映している。アドバイザーには、『ひらけ!ポンキッキ』のアドバイザーでもあった放送大学教授永野重史、国際幼児教育学会会長で筑波大学名誉教授の松原達哉、文部科学省幹部、『パラッパラッパー』の松浦季里、筑波大学付属小学校元副校長の清水尭などが名を連ねる。
[編集] 放送事故
2006年3月19日放送分で数字を英語で教えるアニメーションコーナーで1つの数字につき1秒間に12回の光の点滅(通称パカパカ)を使い、「アニメーション等の映像手法に関するガイドライン」の「光の点滅は1秒間に3回を超えて使用しては成らない」との規定に抵触していたことが発覚した(セサミ騒動)。
報道によると、現在のところ同番組を視聴して体調不良になった視聴者は出ていない。テレビ東京は同番組を録画したビデオ・DVDの視聴を避けるようにと注意を呼びかけている。ただし、実際には体調不良となった視聴者が若干名ではあるものの、確認されている模様である。
[編集] テレビ以外の日本でのメディア展開
[編集] インターネットコンテンツ
2003年11月よりインターネット・サービス・プロバイダのDIONでは、教育コンテンツとして「セサミBB」を提供していたが、2006年9月30日にサービスが終了となった。
[編集] テーマパーク
東京都あきる野市に「東京セサミプレイス」という、セサミストリートをテーマにしたテーマパークがあった(東京サマーランドに隣接)が2006年12月31日に閉園した。また、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)では「セサミストリート 4-D ムービーマジック」がある。
[編集] 外部リンク
- Sesame Workshop(英語)
- 日本版セサミストリート オフィシャルホームページ
- エルモズワールド 無料動画GyaO 動画配信
- SESAME STREET(テレビ東京ホームページ内)
- テレビ東京
- セサミえいごワールド
- ロシア版セサミストリートの紹介(ロシアンぴろしき)
テレビ東京系 日曜9:00枠 | ||
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前番組 | 番組名 | 次番組 |
セサミストリート(日本版)
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BSジャパン 水曜18:00枠 | ||
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セサミストリート(日本版)
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テレビ東京系 月~金曜朝6:40~45 | ||
プチプチ!セサミストリート
プチプチ!セサミストリート(再放送) |
アニ☆研
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