シュヴァルツヴァルト
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シュヴァルツヴァルト(Schwarzwald)は、ドイツ・バーデン=ヴュルテンベルク州に位置する森・山地。総面積は約5180平方キロ。「シュヴァルツヴァルト」とは、ドイツ語で「黒い森」を意味する。森の多くは植林されたモミの木であり、「黒い森(シュヴァルツヴァルト)」という名称も、密集して生えるモミの木によって、暗く(黒く)見えることがその由来である。その他、低地においてはオークやブナも生育している。
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[編集] 概要
[編集] 地勢
シュヴァルツヴァルトの西をライン川が流れている。南はスイスとの国境。南北で約160キロに広がる。一番高い箇所は、フェルトベルク(Feldberg)の頂で、海抜1493メートルである。ドナウ川、ネッカー川など多くの川が、シュヴァルツヴァルトに水源を有している。
シュヴァルツヴァルト西部の代表的な都市としては温泉保養地として知られるバーデン・バーデン、大学都市フライブルクなどが挙げられる。シュヴァルツヴァルト北部のカルフは、ヘルマン・ヘッセの出身地として知られる。カルフは、ヘッセの博物館があるほか、『車輪の下』などの彼の代表作の中でも描かれている。ライン川沿いのオッフェンブルクから、シュヴァルツヴァルトに入り、フィリンゲン、ドナウエッシンゲンを経由して、スイス国境沿いのコンスタンツまで鉄道が走っている。
[編集] 産業
林業・観光業が発展している。シュヴァルツヴァルトのいくつかの町では、春を祈願した古ゲルマンの祭典である「愚者のパレード」が行われ、多くの観光客を集める。カッコー時計、おもちゃの製造などの精密産業でも知られる。そもそもは、厳しい冬の降雪期をしのぐために発展していったと考えられ、フルトヴァンゲンにあるドイツ時計博物館では、時計産業と時計職人の歴史が紹介されている。
[編集] 環境問題と「黒い森」
第二次世界大戦後、酸性雨の被害によって、多くのシュヴァルツヴァルトの木々が枯死した。こうした状況を受けて、バーデン=ヴュルテンベルク州や、同州に属するフライブルクやカールスルーエなどの都市で、環境問題への本格的な取り組みが進んでいった。1980年代以降、緑の党と称される環境政党が台頭したこともこの動きを促進した。
[編集] 主要な山
- フェルトベルク(Feldberg 1,493 m)
- ゼーブック(Seebuck 1,448 m)
- ヘルツォーゲンホルン(Herzogenhorn 1,415 m)
- ベルヒェン(Belchen 1,414 m)
- トターマン(Toter Mann 1,321 m)
- シュピースホルン(Spießhorn 1,349 m)
- ベアハルデ(Bärhalde 1,317 m)
- ブレースリンク(Blößling 1,309 m)
- シャオインスラント(Schauinsland 1,284 m)
- ハプスベルク(Habsberg 1,274 m)
- ヴィースヴァルトコップ(Wieswaldkopf 1,270 m)
- ホッホコップ(Hochkopf 1,263 m)
[編集] 外部リンク
- シュヴァルツヴァルト・ホームページ(ドイツ語)
- シュヴァルツヴァルト・ネット(ドイツ語)
- シュヴァルツヴァルト鉄道(ドイツ語)
- ドイツ時計博物館(ドイツ語、英語、フランス語、アラビア語)
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現象 | 酸性雨 - 立ち枯れ - 黒い森 - 黒い三角地帯 - アシッドショック | |
原因物質 | 窒素酸化物 - 硫黄酸化物 - 亜硫酸 | |
条約法規等 | 長距離越境大気汚染条約 - 欧州監視評価計画議定書 - EMEP議定書 - ヘルシンキ議定書 - ソフィア議定書 - オスロ議定書 - 国別排出上限指令(EU) - 大気浄化法(米) - 自動車NOx・PM法(日) | |
モニタリング | EANET(東アジア) - EMEP(ヨーロッパ) - CANSAP(カナダ) - NAPAP(米国) |