コンプトン効果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
コンプトン効果(コンプトンこうか)は光(電磁波)の粒子性を示す現象のひとつである。1923年にアーサー・コンプトンによって確かめられた。
短波長のX線を物質にあてたとき、散乱してでてくる2次X線の波長が入射X線より大きくなるという現象である。 入射X線の波長と2次X線の関係は次のようになる。
すでにアインシュタインによる光量子仮説(1905年)から、光はhν(ν=c/λ)のエネルギーを持つ粒子(光子)としての性質を示すことが明らかになっていた。アインシュタインはさらに、光子はhν/cの運動量を持つと予想していたが、コンプトン効果の実験により、この予想を裏付ける結果が得られた。すなわち、コンプトン効果とはX線と電子との衝突により、X線のエネルギーの一部を電子に与えて、波長が変化する現象なのである。このようなターゲット(当たる対象)とのエネルギーのやり取りがある散乱のことをコンプトン散乱と呼ぶ。すなわち、非弾性散乱の一種である。