グルカ兵
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グルカ兵(Gurkha)とは、ネパールのグルカ族(ネパール国王の出身部族)出身者で構成される山岳戦・白兵戦に非常に長けた戦闘集団である。
[編集] 概要
イギリス陸軍に属しており、非常に勇猛なことで知られ、フォークランド紛争など、イギリスが関わる戦争や紛争地域への派兵で先遣隊として派遣されることが多い。太平洋戦争においては、日本軍とも交戦した。グルカナイフ(ククリ)と呼ばれる内側に湾曲する独特のナイフを使用することがトレードマークとなっている。実際にイギリス陸軍グルカ・ライフル連隊では部隊章に使用されている。
19世紀、イギリスとの3度に渡る戦争(グルカ戦争)でネパールとイギリスが停戦条約を締結後に、彼らグルカ族の高い士気と白兵戦能力、仏教徒であること(ヒンドゥー教徒・イスラム教徒は宗教的タブーが多く兵士として扱いづらかった)に目をつけたイギリス・インドの両国に傭兵として従軍することになった。2004年、イギリスのブレア首相によって、完全なイギリスの市民権を付与された。2005年現在、イギリス軍に従軍しているグルカ兵は約3,600人であり、イギリス本国やブルネイに駐屯している。またシンガポール警察やインド国軍にも雇用されている。1997年以前は香港にも駐屯していた。ヒマラヤの山岳ガイドは元グルカ兵という経歴の者が多くエベレストに関連する小説にも時折、元グルカ兵といった登場人物の描写が見られる。一方、勇猛さとは裏腹に、グルカ兵は体格が比較的小柄の者が多い。
[編集] 就職・退職
グルカ兵になる道は非常に厳しく、小学生程度の子供のころから格闘技・英語などの基礎能力を教える専門学校もネパール国内に存在する。また、グルカ兵は徴兵でも、志願制でもなく、OBたちが山村を巡り素質のある若者をスカウトしてくる方式を取っている。
退職したグルカ兵は、その後ネパールに帰り悠々自適な年金生活を送る者や、更なる現金収入を求めて民間軍事会社と契約してイラクなどの紛争地域に出稼ぎに出る者もいる。