クレジット・デフォルト・スワップ
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クレジット・デフォルト・スワップ (Credit default swap) とは、クレジットデリバティブの一種で最も取引が盛んなもののひとつ。頭文字をとって CDS と呼ばれることが多い。銀行の自己資本比率を高める対策の一環として利用されるケースも多い。
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[編集] 仕組み
2者間(買い手と売り手)の間で結ばれたの次のような契約である。買い手が企業A(参照企業という)への貸付債権や社債を持っている場合などを想定するとわかりやすい。
企業Aに対して貸付債権などを持っている銀行がCDSを購入することにより、貸倒れのリスクをヘッジすることが可能となる。
[編集] 価格の設定(プライシング)
プレミアムの決定には金融工学的手法が利用される。それは単に買い手が、両者の期待値を一致させる価格を支払えばよいのではなく、売り手が引き受けるリスクに対する対価(リスクプレミアム)をも支払う必要があるからである。リスクプレミアムは通常、同じ参照企業Aが発行する社債などに織り込まれたものを使う。
CDSの売り手がデフォルトしないという仮定の下ではプレミアムの算出は容易である。しかし、売り手もデフォルトする場合には買い手のリスクが増大する。さらに参照企業Aと売り手のデフォルトに相関がある場合には、プライシングは容易ではない。
[編集] マーケット
日本では、主に日本の主要金融機関(みずほ証券など)と外資系証券会社(Goldman Sachsなど)の合計20社程度がマーケットにて値づけを行い、数社のブローカー(東短,GFIなど)を経由して取引を行なっている。ISDAが提供しているCredit Derivative Master Confirmation Agreementを相対で事前に締結することで、フロント間の契約書のやり取りをなくすことができる。 各個別企業の信用リスクを取引する通常のCDS、インデックスCDSとして、流動性が高い主要企業50社の信用リスクを参照としたiTraxx Japan 50(アイフルやソニーなど),プレミアムが高い企業を参照としたiTraxx Hivol(Softbank やJapan Airlineなど)がある。 インデックスのライセンスはMarkit Groupがライセンスを保有し、6ヶ月ごとにインデックスの見直しをおこなっている。 通常、シングルのCDSについては期間が5年で5億円単位、インデックスについては5年10億円単位で取引されている。 また、日本では取引されていないが、レバレッジローンを参照にしたLCDXや、ABSを参照にしたABXなどが海外マーケットには存在し、日本マーケットにおいてもリスクヘッジ手法として今後の発展が見込まれる。
[編集] CDSを使った商品
CDSを使い、FTD(First to Default),Nth to Default, Synthetic CDOなどの金融商品をつくることができる。時価評価されないFTDリンクローンは仕組みが非常に分かりやすいものであり、投資家側(プレミアムの支払いを受ける側)にとっては管理が非常に楽であるため、CDSスプレッドが急激に上昇した時などは好まれる傾向にある。
[編集] 関連項目
- クレジットデリバティブ
- 金融工学
- BIS規制
- CMCDS