期待値
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確率論において、確率変数の期待値(きたいち)とは確率と確率変数を掛けた総和を取ったものである。
例えば、ギャンブルでは、掛け金に対して戻ってくる「見込み」の金額をあらわしたものである。ただし、期待値ぴったりに掛け金が戻ることを意味するのではなく、況して各試行で期待値に等しい掛け金が戻る訳ではない。
類義語に平均がある。期待値と同義で使われることもあるが、算術平均を意味する場合もあり、混同せぬよう注意すべきである。
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[編集] 定義
1. 離散型
確率空間を (Ω, F, P) としたとき、 高々可算個の値 {x1, x2, …} に対しては、
と書く。
2. 連続型
確率空間を (Ω, F, P) としたとき、確率変数 X が可積分であるとは
を満たすことであり、期待値は可積分な確率変数 X にたいして
事象 A F にたいして、
と書いて期待値をとる範囲を A に制限する。
[編集] 性質
期待値は積分によって定義されるので、積分のもつ性質をすべてもっている。
- 線形性
- 単調性
- イェンセンの不等式: 凸関数 φ にたいして
- チェビシェフの不等式: (0, ∞) 上定義された正値単調増加関数 φ と任意の正の数 ε にたいして
さらに、二つの可積分確率変数 X と Y が独立の場合は
が成立する。
[編集] 計算法
期待値は抽象的なルベーグ積分で定義されているので、計算するときには積分の変数変換をおこなって確率変数の分布で積分するのが普通である。確率変数 X の分布を PX とすると、任意の可測関数 f にたいして
となり、さらに PX が確率密度関数 p を持つときは
により、ルベーグ測度で計算できるようになる。
[編集] 例題
[編集] サイコロの期待値
6面体のサイコロを1回振るものとして、その時に出る目の期待値を考える。出る目の確率はすべてとする。
となり、サイコロの出る目の期待値は3.5だということがわかる。
[編集] くじ引きの期待値
次のようなゲームを考える。
- 100円支払えば1回、6面サイコロを振ることができる。
- サイコロの目に応じて、次の金額を貰える。
- 1 : 20円
- 2 : 50円
- 3 : 100円
- 4 : 100円
- 5 : 150円
- 6 : 150円
このとき、貰える金額の期待値を求めると、
E = 20×(1/6) + 50×(1/6) + 100×(1/6) + 100×(1/6) + 150×(1/6) + 150×(1/6) = 95
である。得られる金額の期待値95円が参加費100円を下回ることから、このゲームは参加者が得をする可能性もあるものの平均的には損をするということが分かる。特に回数を多く行なえば行なうほど、行なった回数×5円の損をした状態に限りなく近づく。
[編集] 関連項目
- モーメント - 分散
- 特性関数
- 条件付期待値
- 聖ペテルスブルグのパラドックス - 期待値が求められない例