クリーター
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クリーター Kreator |
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基本情報 | |
出身地 | ドイツ・エッセン |
ジャンル | スラッシュメタル |
活動期間 | 1982 - 現在 |
レーベル | ノイズ・レコード エピック・レコード SPV/Steamhammer |
公式サイト | www.kreator-terrorzone.de |
メンバー | |
ミレ・ペトロッツア ユルゲン・ヴェンター・レイル クリスチャン・スピーシー・ギースラー サミ・ウリ・シルニヨ |
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旧メンバー | |
マイケル・ウルフ イェルク・トリッツェ フランク・ゴトツィック トミー・ヴェッターリ ロブ・フィオレッティ アンドレアス・ハーツ ジョー・カンゲロッシ |
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クリーター(KREATOR)はドイツ、エッセン出身のスラッシュメタルバンドである。
日本語表記は「クリーター」「クリエイター」とあるが現在の日本の所属レコード会社の表記に沿って以後「クリーター」と表記する。(詳細は備考で説明)
1982年の結成当初はトーメンター(TORMENTOR)と名乗っていたが、レコード・デビューを機にクリーターに改名した。バンド名はいわゆるクリエイターとドイツ神話の悪魔の名前に由来している。
ドイツを代表するスラッシュメタルバンドであり、日本ではしばしばソドム、デストラクションと並んで『ジャーマンスラッシュ三羽ガラス』と称されることが多い。
目次 |
[編集] 音楽的特徴
- 初期の彼らの楽曲は、ミレ・ペトロッツァのヒステリックなボーカルに、演奏力が追いつかない程の高速なリズムで展開していく猪突猛進なスラッシュスタイルで、2ndアルバム『Pleasure To Kill』では、あのスレイヤー以上に高速なサウンドを見せ付けていた。その後3rdアルバム『Terrible Certainty』、4thアルバム『Extreme Aggression』では若干スピードが押さえめになったが、アルバムごとに演奏力や楽曲構成は確実に向上し、独特のリフ展開とあいまって世界中で人気を得ることになった。続く5th『Coma Of Soul』では、新加入したフランク・ブラックファイヤーによるメロディアスなギタープレイもフィーチャーされ、曲もバラエティ豊かになった。現在でも、この頃のクリーターを支持するファンは多い。
- しかし、その後の彼らは1990年代初頭のメタリカのブラックアルバムの大ヒットやパンテラの出現、そしてグランジブームなどの影響で、メガデス、アンスラックス、エクソダスらがこぞってスピード主体の曲からグルーブ主体の曲に変わっていったように、クリーターもスピード主体の曲からインダストリアル要素やゴシック要素を取り入れたり、ギター・ソロを排したりと試行錯誤を繰り返した。またミレも叫ぶのを止め、メロディを歌う唄法に移行してしまい、ファンの間では賛否両論が巻き起こった。ゴシック路線では新たなファンを獲得したものの、初期のファンの多くからは失望をもって迎えられてしまい、世界的にヘヴィメタルが下火になっていった事も相まって、活動規模も縮小されることになった。後にミレ自身は、この頃を「アイデンティティの危機に陥った」と評している。
- しかし、2000年頃からアンスラックス、エクソダス、テスタメントらによる初期スタイルへの回帰ブームに合わせる形で、2001年の『Violent Revolution』からは、再びスピーディな曲に乗せミレがヒステリックに叫ぶスラッシュ路線へ回帰し、往年のファンからも歓迎され再び人気を得ることに成功した。だが、単に初期の頃のようなスピーディーな部分だけでなく、中期に実験を重ねたメロディアスな部分もバランスよく曲に盛り込まれ、決して中期の作品が無駄でなかった事を証明している。続く2005年の『Enemy Of God』でもその路線をアップデートさせることに成功している。
[編集] 略歴
- 1982年に旧西ドイツのエッセンで前身バンド、トーメンター(TORMENTOR)が結成される。オリジナルラインアップはミレ・ペトロッツア(Vo,G)、ユルゲン・ヴェンター・レイル(Ds)、ロブ・フィオレッティ(B)。トーメンターとして2本のデモテープを作り、アンダーグラウンド・シーンで話題になる。ちなみに、デモ音源のうち4曲は、現在『Endless Pain』の再発盤(輸入盤のみ)にボーナストラックとして収録されている。
- 1985年にドイツのヘヴィメタル専門レーベルノイズ・レコードと契約を結び、バンド名をクリーター(KREATOR)に改名しデビューアルバム『Endless Pain』をリリース。このときミレ・ペトロッツァは弱冠17歳であった。その後、ギタリストに元ソドムのマイケル・ウルフ(G)を迎えるが、技術不足を理由にたった1回のギグだけでクビになる。
- 1986年、2ndアルバム『Pleasure to Kill』、シングル『Flag Of Hate』をリリース。その後、ギタリストにイェルク・トリッツェを迎える。
- 1987年に3rdアルバム『Terrible Certainty』をリリースし、続いてミニアルバム『Out of the Dark... Into the Light』をリリース。
- 1988年に、メジャー・レーベルのエピック・レコードと契約する。
- 1989年、4thアルバム『Extreme Aggression』をリリース。その後、イェルクが脱退し後任に元ソドムのフランク・ブラックファイヤーを迎え、アメリカへ進出。ヨーロッパだけでなく世界中のファンを獲得することになった。
- 1990年、5thアルバム『Coma of Soul』をリリース。
- 1992年、6thアルバム『Renewal』をリリース。デスメタルで有名なアメリカフロリダ州タンパの「モリサウンド・スタジオ」でレコーディングされた(プロデューサーはトム・モリス)このアルバムではスラッシュ色が後退し、インダストリアル的アプローチをみせがファンの間で賛否両論が起こる。
- 1993年、アルバムリリースにおけるツアーの一環として4月に初めての日本公演を行い大盛況を迎えるが、秋にベースのロブ・フィオレッティが脱退し、後任にアンドレアス・ハーツが加入する。
- 1994年に、ユルゲン・レイルが脱退。後任に元ウィップラッシュのジョー・カンゲロッシが加入。
- 1995年、アンドレアス・ハーツが脱退し、後任にクリスチャン・ギースラーが加入。同年、Epicとの契約が切られバンドはGUN Recordsと契約し7thアルバム『Cause for Conflict』をリリース。
- 1996年、フランク・ブラックファイヤーとジョー・カンゲロッシが脱退。後任に元コロナーのトミー・ヴェッターリが加入し、ユルゲン・レイルがバンドに復帰。
- 1997年、8thアルバム『Outcast』をリリース
- 1999年、9thアルバム『Endorama』をリリース。アルバムからは『Chosen Few』がシングルカットされる。
- 2001年、ギタリストがワルタリのサミ・ウリ・シルニヨに交代し、アンディ・スニープのプロデュースによる10thアルバム『Violent Revolurion』をリリース。再びスラッシュ路線に戻りファンを喜ばせる事になった。
- 2003年、6月にライブアルバム『Live Kreation』及び同内容のDVDをリリース。
- 2004年、6月より再びアンディ・スニープをプロデューサーに迎えアルバムのレコーディングを行う。
- 2005年、1月に11thアルバム『Enemy of God』をリリース。ドイツのチャートで19位にランクイン。同年9月に日本で行われた「THRASH DOMINATION 05」では、テスタメント、デストラクション、ラーズ・ロキットと共に2度目の来日公演を行った。
[編集] 備考
- バンド名の日本語表記について:EPIC・ソニーより初めて日本盤がリリースされた4thアルバム『Extreme Aggression』では「クリーター」と表記されていたが、ビクターJVCよりリリースされた6thアルバム『Renewal』以降は表記が「クリエイター」に変更になり、日本クラウンからリリースされた10thアルバム『Violent Revolution』以降は再び「クリーター」に表記が変更された。
- 11thアルバム『Enemy of God』の「Murder Fantasies」ではアーク・エネミーのマイケル・アモットがゲストで参加してギター・ソロを弾いている。これはプロデューサーのアンディ・スニープの縁によるものと思われる。
- そのアンディ・スニープだが、かつて彼が在籍していたイギリスのスラッシュメタルバンドサバトとはライブで共演したことがあり、そのライブの様子が『V.A. / Doomsday News Ⅲ-Thrashing East Live-』としてCDとVHSでリリースされている。また、後にギタリストとして加入するトミー・ヴェッターリも、当時在籍していたスイスのスラッシュメタルバンドコロナーのメンバー(トミー・T・バロンの名で活動していた)として共演している。
- ミレ・ペトロッツァはエドガイの『Hellfire Club』の「Mysteria」でボーカルでゲスト参加した。
[編集] メンバー
[編集] 現在のメンバー
- ミレ・ペトロッツア Mille Petrozza - (G,Vo) (1982- )
- ユルゲン・ヴェンター・レイル Jürgen "Ventor" Reil - (Ds) (1982-1994,1996- )
- クリスチャン・スピーシィ・ギースラー Christian "Speesy" Giesler - (B) (1994- )
- サミ・ウリ・シルニヨ Sami Yli-Siriniö - (G) (2000- )
[編集] 元メンバー
- マイケル・ウルフ Michael Wulf - (G) (1986)
- 元ソドム(デストラクターの名で活動)で、1986年のツアーにのみ参加。1993年に事故死。
- イェルク・トリッツェ Jörg "Tritze" Trzebiatowski - (G) (1986–1989)
- フランク・ゴトツィック Frank Gosdzik - (G) (1989-1996)
- 元ソドム(フランク・ブラックファイアーの名で活動)で、『Agent Orange』レコーディング後に脱退し、移籍という形でクリーターに加入。
- トミー・ヴェッターリ Tommy Vetterli - (G) (1996–2000)
- ロブ・フィオレッティ Rob Fioretti - (B) (1982–1992)
- アンドレアス・ハーツ Andreas Herz - (B) (1992–1995)
- ジョー・カンゲロッシ Joe Cangelosi - (Ds) (1994–1996)
- アメリカのスラッシュメタルバンド、ウィップラッシュの元ドラマー。
[編集] ディスコグラフィー
[編集] アルバム
- 1985年 Endless Pain
- 1986年 Pleasure to Kill
- 1987年 Terrible Certainty
- 1989年 Extreme Aggression
- 1990年 Coma of Souls
- 1992年 Renewal
- 1995年 Cause for Conflict
- 1997年 Outcast
- 1999年 Endorama
- 2001年 Violent Revolution
- 2005年 Enemy of God
[編集] シングル・ミニアルバム
- 1986年 Flag of Hate
- 1988年 Out of the Dark... Into the Light
- 1989年 Behind the Mirror
- 1999年 Chosen Few
[編集] ライブ
- 2003年 Live Kreation
[編集] ベスト
- 1996年 Scenarios Of Violence
- 1999年 Voices Of Transgression
- 2000年 Past Life Trauma
[編集] コンピレーション
- 1990年 V.A. / Doomsday News Ⅲ -Thrashing East Live-
- (1990年3月4日に東ベルリンで行われたライブ音源を収めたオムニバス。クリーターはFlag Of HateとRiot Of Violenceが収録されている。)
[編集] ビデオ・DVD
- 1992年 Hallucanative Comas
- 1990年 Extreme Aggression Tour 1989-1990 Live In East-Berlin
- 2003年 Live Kreation - Revisioned Glory(DVD)
[編集] 外部リンク
- 公式サイト(英語)