カーシェアリング
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カーシェアリングとは、あらかじめ登録した会員の間で自動車を共同使用することをいう。
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[編集] 概要
レンタカーのように不特定多数が利用するシステムではなく、予め登録した会員だけが利用できる自動車を貸し出しするシステム。半日、一日単位で利用するのではなく、短時間の利用を目的としている。
一般的に家庭において、自家用車が使用されているのは、1日平均で1~2時間ぐらいといわれる。車とは非常に稼働率が低い耐久消費財である。そのため、所有コストは割高となりがちである。
カーシェアリングにおいては、車を財産として所有するのではなく経費としてとらえている。そのため利用のつど、鉄道、バス、タクシー等とのコスト比較意識が働き、過剰な自動車の利用を抑制するはたらきがあるといわれている。
[編集] 利用
会員だけが利用する形態のため、係員が常駐した営業所があるわけではなく、駐車場で無人管理される。ネットや電話で予約をしたあと、会員証(カード)により本人の認証を行い、使用する。
レンタカーの場合利用時間はある程度長時間(最低でも6時間など)であるが、カーシェアリングの場合、15分単位で利用できるところもある。
短時間で比較した場合はレンタカーより割安であるが、半日、一日のレベルではレンタカーのほうが割安である。
[編集] 発祥
カーシェアリングの考え方や仕組みはもともとスイスが発祥といわれている。1970年代に大量の車両が都心に流入した結果、商店街などの荒廃が進んだことから、行政主導で大規模な車両の流入規制(トランジットモール)が実施された。また都市にはLRT(路面電車)やバスなどの公共交通機関を充実し市民の足が確保された。一方、住民らは都心に車がもてない為に、郊外に共同で車を所有しはじめた。これがカーシェアリングの始まりとなる。
この頃からスイス国内には小さなカーシェアリングの組織がいくつもできあがり、同時に事故の責任問題やサービスの多様化への対応など、運営の問題点なども徐々に露見してゆくこととなる。その後国内ではM&Aが行われ3つのカーシェアリング会社にまで統合されることとなる。
1997年スイスは3つのカーシェアリング会社を統合し、モビリティ社を設立する。 現在、スイス国営鉄道との相互乗り入れを行うレールリンク社を設立するなどスイスは国家主導でカーシェアリングと公共交通の利用促進を計っている。
近年日本でも導入されている。しかし、まだ導入されたばかりであまり広く知られているわけではないのが現状である。
[編集] 主な運営会社
オリックスはオリックス自動車が運営している。 こちらは、名古屋のりんくるカーシェアリングを買収し、最低採算ラインである会員1000人を超えたといわれている。 ※2007年4月1日に旧シーイーブイシェアリング(株)はオリックス自動車(株)に統合された。
スズキはカーシェアリング専用の車両を2004年から販売している。2006年4月にはICカード認証装置や事業者センターとの通信機能を持った車両も設定、販売している。そのため、オリックスはワゴンRを含めてスズキの車両を使用している。
ウインド・カー株式会社は北海道札幌市に本部を置きカーシェアリングを事業運営しており、2006年7月に国内では初となるカーシェアリングの全国組織「日本カーシェアリングネットワーク」有限責任事業組合の設立に参画。 全国12社、12都市でカーシェアリング事業を展開している。
マツダレンタカーは広島でサービス名称「カーシェア24」で2005年2月から事業を始めている。
株式会社エブリカは大阪市内を中心にサービス名称エブリカとして個人、法人向けに2007年8月より事業を始めている。2008年1月よりマンションオーナー・駐車場オーナーなどカーシェアリング事業者向けASPサービスの展開を行っている。 携帯電話のみでの利用を他社に先駆けて開発、導入した。
[編集] 特殊な運営形態
最近、マンションの管理組合が運営をしている例がある。利用者はマンションの居住者に限られているので、ある程度の融通が利くうえ、常に顔を合わせている者同士が利用しているといった安心感もある。また、営利目的でない場合が多いため企業が運営しているケースより、利用料金が比較的安いのが一般的である。