エクソシスト (映画)
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エクソシスト The Exorcist |
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監督 | ウィリアム・フリードキン |
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製作総指揮 | ノエル・マーシャル |
製作 | ウィリアム・ピーター・ブラッティ |
脚本 | ウィリアム・ピーター・ブラッティ |
出演者 | リンダ・ブレア |
音楽 | マイク・オールドフィールド ジャック・ニッチェ |
撮影 | オーウェン・ロイズマン |
編集 | ノーマン・ガイ エヴァン・A・ロットマン バド・S・スミス |
配給 | ワーナーブラザーズ |
公開 | 1973年12月26日 1974年7月13日 |
上映時間 | 122分 |
製作国 | アメリカ |
言語 | 英語 |
制作費 | $12,000,000 |
興行収入 | $193,000,000 |
次作 | エクソシスト2 |
allcinema | |
Variety Japan | |
allmovie | |
IMDb | |
『エクソシスト』(The Exorcist)は、1973年のアメリカ映画。ホラー映画。
アカデミー脚本賞を受賞。エクソシストとは、英語で、"悪魔払いの祈祷師"という意味。
ウィリアム・ピーター・ブラッディの同名小説を原作とし、作者本人が脚色を行っている。少女に取り憑いた悪魔とキリスト教の神父との壮絶な戦いを描いたオカルト映画の傑作。リアルに描かれたショックシーンが話題を呼び、世界中で大ヒットした。
マックス・フォン・シドーやリー・J・コッブなど格の高い出演陣、「フレンチ・コネクション」でアカデミー監督賞を受賞したウィリアム・フリードキンの確かな演出によって、これまでの恐怖映画とは一線を画す完成度の高い作品となっており、公開から四半世紀以上を経過した現在でも高く評価されている。最初は日本語吹き替え版を出すことさえも困難とされた。英音楽・書籍小売り大手HMVがハロウィーンにちなんで実施した調査で、これまでで最も怖い映画にエクソシストが選ばれた。 参考までに、2位には俳優ジャック・ニコルソンが出演する「シャイニング」、ジョン・カーペンター監督の「ハロウィン」が3位にランクインした。4位は「エルム街の悪夢」だった。
目次 |
[編集] ストーリー
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
イラクでの遺跡発掘を調査していたメリン神父は、悪霊パズズの像を発見する。それは、十年前にアフリカで死闘を交えた悪霊であった。メリン神父は、この邪悪な宿敵と再戦する日が近い、と予感する。パズズのターゲットは、アメリカ合衆国であった。女優のクリスは、映画の撮影のためワシントンに滞在していたが、一人娘であるリーガンの異変に気付く。声は、邪悪な響きを帯び、怪異な形相に豹変し、日を追って激しくなり、医者からも見放される。娘が悪霊に取り憑かれたと知ったクリスは、カラス神父に悪魔払いを依頼する。悪魔憑きに否定的であったカラス神父であったが、調査を進めていくうちに、リーガンからの救済のメッセージを発見する。カラス神父は、悪魔払いの儀式を決意し、大司教に許可を依頼する。主任には、悪魔払いの経験があるメリン神父が選ばれた。そして、二人の神父は、少女リーガンから悪霊を追い払う為、壮絶な戦いに挑む。
[編集] キャスト
- リーガン・マクニール:リンダ・ブレア
- クリス・マクニール:エレン・バースティン
- ダミアン・カラス神父:ジェイソン・ミラー
- ランカスター・メリン神父:マックス・フォン・シドー
- キンダーマン警部:リー・J・コッブ
- ジョー・ダイアー神父:イエズス会ウィリアム・オマリー神父
- シャロン:キティ・ウィン
- バーク・デニングス:ジャック・マッゴーラン
- カラス神父の母:バシリキ・マリアロス
[編集] スタッフ
- 監督: ウィリアム・フリードキン
- 原作・脚本・製作: ウィリアム・ピーター・ブラッディ
- 製作補: デイヴィッド・サルヴェン
- 製作総指揮: ノエル・マーシャル
- テーマ曲: "Tubular Bells"(マイク・オールドフィールド)
- 追加音楽: ジャック・ニッチェ
- 撮影: オーウェン・ロイズマン、ビリー・ウィリアムズ(イラク担当)
- 特殊メイク: ディック・スミス
- 特殊効果: マルセル・ヴェルコテレ
- タイトル・デザイン: ダン・ペリ
- 字幕翻訳:高瀬鎮夫
[編集] 映画の反響
- 映画の話題作りのため、フリードキンが撮影中の事故を誇張してマスコミに語ったため、噂が一人歩きする結果となった。
- 公開当初、リーガン役はリンダ・ブレアが一人で演じたとされ、スタントのアイリーン・ディーツ、悪魔憑き状態の声を吹き替えたメルセデス・マッケンブリッジらの名前がクレジットされなかった。このため、ディーツはクレジットを求めて訴訟を起こした(現在流通するソフト版にはクレジットが入っている)。
- 初公開時に、テレビ伝道師により「悪魔が映画のフィルムを形作っている」とされた。
- 当初アメリカではR指定(17歳未満は保護者同伴)で公開されたが、世論に押される形で規制を強化。18歳未満は鑑賞できなくなった。
- イギリスではX指定(成人映画扱い)で公開され、1999年までエクソシストのテレビ放映ならびにビデオ販売が許可されなかった。
- 西ドイツ(当時)やイギリスでは、上映後に発生した事件と映画との関連が取りざたされた。
- ブラッティらの意に反して「悪魔の勝利を描いた映画」とする見方が広まったため、数度にわたってエンディングの変更が検討された。しかし、予算の関係から内容の変更は25周年記念版までもちこされた(当初撮影されていた、キンダーマン刑事とダイアー神父のその後の交流を感じさせるような、暖かみのあるエンディングが復活。なおこの2人の友情はブラッティ自身がメガホンを取った完結編『エクソシスト3』に引き継がれている)。
[編集] 関連作品
[編集] 小説
- エクソシスト
- ブラッティが著した小説。1949年
[編集] 映画
- エクソシスト2(Exorcist II: The Heretic 1977年)
- フリードキンが製作したエクソシストの続編。監督はジョン・ブアマン。リーガンのその後を映画オリジナルで描いた作品。前作の事件を調査するラモント神父(リチャード・バートン)は、リーガン(リンダ・ブレア)にまだ悪魔が憑いていることを突き止める。ホラーというよりはSFに近い作りで、今なお賛否両論分かれる作品。
- エクソシスト3(The Exorcist III 1990年)
- ブラッティの小説Legionを原作とした作品。原作者のブラッティが前作の「エクソシスト2」の出来に怒り3作目を制作した。当初ブラッティ自身は「エクソシストの続編」としての公開を嫌がったが、自らが製作・脚本・監督の主要3職を兼任することで合意。ブラッティの目が行き届いた「エクソシストの正当な完結編」として制作された。第1作の脇役キンダーマン刑事を主人公に、悪魔によって連続殺人鬼の魂を体に押し込まれたまま蘇生していたカラス神父との最後の戦いを描く。作風が、当時珍しかったサイコスリラーの体裁をとっており、このジャンルのはしりとなった。キンダーマンにジョージ・C・スコット。カラスは第1作と同じくジェイソン・ミラー。日本の映画監督、黒沢清が非常に影響を受けた作品として絶賛している。
- エクソシスト ディレクターズカット版(The Exorcist:The Version You've Never Seen 2000年)
- エクソシスト公開25周年を記念して、公開時にラッシュ版からカットされた15分ほどのシーンを追加した作品。リーガンがブリッジ姿勢で歩く蜘蛛歩きのシーンが一部復活し、話題を呼んだ。
- エクソシスト ビギニング(Exorcist: The Beginning 2004年)
- エクソシストに登場したメリン神父を主人公にした作品。
- エクソシストの謎(La Casa 4:Witchcraft 1988年)
- リンダ・ブレア出演のホラーだが、シリーズとは無関係の作品。
- エクソシスト・トゥルーストーリー
- メリーランド悪魔憑依事件を基にした作品だが、シリーズとは別の作品。
[編集] パロディ
- 『ヤッターマン』第39話「エカコシストだコロン」(1977年9月24日放送)
- 『菅井君と家族石』第6話(サブタイトルなし)
- 父ちゃんがだしたビデオは名作「エクソシスト」と書かれたビデオである。婆ちゃんに取りつかれた母ちゃんはエクソシストのものまねをしていた。
[編集] 関連事項
- エクソシスト(悪魔祓い)
- メリーランド悪魔憑依事件
- 14歳の少年が自称霊媒師の叔母の死をきっかけに悪魔に取り憑かれた事件。異常な行動やポルターガイスト現象が確認され、イエズス会士の神父によって悪魔祓いが執り行われた。