エクソシスト
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祓魔師(ふつまし)と訳されるエクソシストはかつてカトリック教会に存在した下級聖品の名称。トリエント公会議で定められた三つの下級聖品の一つで「守門」の次の位階である。「悪魔を祓う」という意味の祓魔師は名称として存在しても、実際の職務は洗礼時に行われる悪霊の追放の儀式を執り行うことに限定されていた。時代が下ると、その権能も拡大していったが、20世紀に入るころには「悪魔祓い」の儀式を行うことなどない名称だけの位階となっていた。祓魔師になるとスルプリ(コッタとも、スータンやアルバの上に羽織る白い上衣)を身につけることができた。「悪魔祓い」(エクソシスム)は秘蹟ではないが、特別な権能が必要であると考えられた。その権能は司祭にも必要であるということで、司祭職の前に「祓魔師」という位階がおかれたのである。
形骸化していた祓魔師という位階は第2バチカン公会議後の教会制度の見直しにあたって廃止された。その後、もうけられた「教会奉仕者」という職務が「守門」や「祓魔師」といった下級叙階の機能を引き継いでいるという見方もあるが、現行の教会法では叙階および位階に関して「司教、司祭、助祭の位階がある」と述べているに過ぎない。
1973年に映画『エクソシスト』が公開されると、当時の人々の間に「悪魔憑き」や「悪魔祓い」に対する再認識が起こった。そのためか、以降世界各地で悪魔祓いを求める声が起こるようになった。これに対応するため、ある教区において司教が特別に悪魔祓いの職務を行う司祭を任命することも行われた。このような職務を受けた司祭を「エクソシスト」と呼ぶことがある(教会法の規定により司教は裁治権下の特に秀でた霊性と知性を持つ司祭に対し、祓魔式を命じることができる)。
教皇ヨハネ・パウロ2世やベネディクト16世は悪魔祓いの持つ意味を評価しているといわれ、ローマ司教区には特別に任命されたエクソシストがいる。任命を受けたエクソシストたちのチーフを勤めるガブリエル・アモースは国際エクソシスト協会の創設者でもある。2008年現在、慢性的な人材不足だが、ベネディクト16世は各教区にエクソシストを配置する意向を示しており、エクソシズムを学べる機関が設置されている。受講料を支払えば、一般人も受講することができる。