ウェスティングハウス・エレクトリック
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ウェスティングハウス・エレクトリック(ウェスチングハウス・エレクトリック、Westinghouse Electric Corporation )は、アメリカ合衆国の総合電機メーカーである。
19世紀後半、エジソンと同時代の発明家、ジョージ・ウェスティングハウスがその発明を事業化したのが始まり。創業期においてウイリアム・スタンレー、ニコラ・テスラら天才的な技術者を多数擁し、交流発送電による電力事業を開拓、その技術を確立した。また主要な陸上交通であった鉄道の動力装置や、自動空気ブレーキシステム等、基礎となる安全技術の発展に貢献した。放送の黎明期においても、主要都市にラジオ・テレビ局を次々と開局。CBSを買収した当時、ウェスティングハウスが保有していたテレビ局が5局あったが、CBSの加盟局でなかった3つの都市のテレビ局はネットチェンジが行われた末、CBSの直営局となっている。[1]また、自らテレビ番組の製作部門も持っていた。
以来、電気、機械関係を中心に軍事用・民生用の双方で多岐に渡る事業を展開。1950年代以降は加圧水型原子炉(PWR)の開発・製造で独占的地位を占めたが、1998年に主力の原子力部門がイギリス・BNFL社に買収され、さらに2006年には日本・東芝へ売却されている。
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[編集] 沿革
- 1886年 発明家のジョージ・ウェスティングハウスにより創業する。
- 1893年 シカゴで開催された博覧会で二相交流発電機を展示。送電方法に関するゼネラル・エレクトリック社との争いに勝利。
- 1909年 初のタングステン・フィラメント電球を発売。
- 1920年 世界初の民間ラジオ放送局「KDKA」をピッツバーグ(ペンシルベニア州)に開局する。
- 1928年 テレビジョン撮像管「アイコノスコープ」の元となったものを発売(⇒ウラジミール・ツヴォルキン)。
- 1923年 三菱電機と提携する。(1941年に太平洋戦争が勃発したため、解消する。)
- 1941年 グランド・クーリーダムで同社製水力発電機が稼働開始。
- 1948年 1925年からNatal Co.Ltdとともに鉄道の駆動タイプ、WN平行カルダン駆動方式開発。その採用第一号がニューヨーク市地下鉄となる(ただしカルダン駆動方式自体は、異方式ではあるものの、既に同国の他社が開発したものが他の鉄道事業者によってそれより以前に採用している)。
- 1953年 建造中の米海軍原子力潜水艦「ノーチラス」の原子炉を納入(1955年就役)
- 1961年 ヤンキーロー発電所が運転を開始(商業用初の加圧水型原子炉)
- 1989年 スイスのアセア・ブラウン・ボベリ社が変電・送配電部門を買収。昇降機部門をシンドラーに売却。
- 1995年 放送会社(局)「CBS」を買収する。
- 1998年 英国原子燃料会社(BNFL)が商業用原子力部門を買収。以後BNFLの傘下に入る。ブランド名を管理する子会社「Westinghouse Electric Corporation」を新たに設立。
- 1999年 放送事業等をバイアコムに売却。
- 2006年 BNFLがウェスティングハウス株を東芝に売却。
[編集] 関連項目
[編集] 脚注
- ^ 当時、保有していたテレビ局があった都市は、ボストン(WBZ)、フィラデルフィア(KYW)、ボルティモア(WJZ)、ピッツバーグ(KDKA)、サンフランシスコ(KPIX)の五都市。ピッツバーグとサンフランシスコはCBSの加盟局だった一方、ボストンとフィラデルフィアはNBC、ボルチモアはABCの加盟局であった。