アレックス・ノース
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アレックス・ノース(Alex North、1910年12月4日 - 1991年9月8日)は、アメリカ合衆国の作曲家。
本名イサドア・ソイファー(Isadore Soifer)。ペンシルバニア州チェスター出身。フィラデルフィアのカーティス音楽学校でピアノをジョージ・ボイルに学び、20歳の時にジュリアード音楽院に移った。1933年から1934年までモスクワ音楽院に留学。帰国後はエルンスト・トッホとアーロン・コープランドに師事。
1930年代から1940年代にかけてドキュメンタリー映画の音楽を手がけた。1946年にはベニー・グッドマンのために『クラリネットとオーケストラのためのレビュー』を作曲した。1949年、アーサー・ミラー脚本・エリア・カザン演出の『セールスマンの死』の舞台音楽を手がけ、1951年に映画化された時にもノースのスコアが使われた。カザンとの友情は彼をハリウッドへと導き、『欲望という名の電車』の音楽を作曲した。他の作品として『スパルタカス』(1960年)、『荒馬と女』(1961年)、『クレオパトラ』(1963年)、『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない?』(1966年)、『女と男の名誉』(1985年)などがある。作風はジャズの要素や現代音楽の要素を取り入れたものとなっている。アカデミー作曲賞には15回ノミネートされたが、結局受賞はできなかった。
『2001年宇宙の旅』(1968年)には当初アレックス・ノースの作曲した音楽が用いられる予定で、録音も進んでいたが、監督スタンリー・キューブリックによって全て没にされ、結局クラシック音楽の既成曲が用いられた。なお彼が「2001年~」用に作曲した音楽はジェリー・ゴールドスミスによって録音され、「2001年宇宙の旅 デストロイド・バージョン」というCDで聞くことができる。