アルストム
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アルストム(ALSTOM、アルストームとも)は、1928年設立のフランスの重電メーカー。
各種の発電プラントやTGVをはじめとした高速鉄道や、LRVなどの鉄道車両で知られる。1990年代に英・ゼネラル・エレクトリック・カンパニーや伊・フィアットの鉄道車両製造部門を吸収するなど、事業は拡大したが、その後経営危機に陥り、フランス政府からの公的資金による救済措置で生き残っている。現在は公的資金は完済している。1997年に民営化され、GECとアルカテルが大株主だったが、その後両社とも保有株式を売却している。フランス共和国政府の原子力産業政策の転換によって、2004年にエネルギー部門の一部をアレヴァ社に譲渡している。
総合鉄道関連メーカーとしては、シーメンス・ボンバルディアと並ぶ「ビッグ3」の一つで、世界の鉄道車両製造では約2割強のシェアを有する(他の2社もほぼ同程度、日本企業は主要6社を合わせて約1割)。2007年4月に車輪走行の世界記録を達成している。
中国にSATCO(サトコ)という子会社を有する。
[編集] アルストムリンク式台車
同社が開発した台車の軸箱支持方式は、アルストムリンク式として有名である。
この軸箱支持方式は、従来のペデスタル式台車の欠点である軸箱守りと軸箱との摺動を防ぐため、軸箱を台車枠から2本のリンクによって支持するものである。同社の開発した方式では、軸距の変化と軸箱の動きを妨げないようにするため、各々のリンクを段違いに配置したワッツリンクとなっているのが特徴である。
日本では一部の大手私鉄(小田急電鉄、東武鉄道、旧営団、阪急電鉄など)で1960年ごろの一時期採用されたことがあり、小田急電鉄の車両では近年(1000形車両)まで継続的に採用されていた。