アライグマ
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?アライグマ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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アライグマ Procyon lotor |
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Procyon lotor (Linnaeus, 1758) |
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和名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
アライグマ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Common raccoon |
アライグマ(洗熊、浣熊、Procyon lotor)は、哺乳綱食肉目アライグマ科アライグマ属に分類される哺乳類。アライグマ属の模式種。特定外来生物。
目次 |
[編集] 分布
[編集] 形態
体長約55cm、体重約5-8kg、灰褐色の体毛をもち、目のまわりから頬にかけて黒い斑紋がある。長いふさふさとした尾には黒い横縞がある。クマなどと同じく、かかとをつける蹠行性(しょこうせい)の歩き方をする。
[編集] 生態
水辺近くの森林に生息する。夜行性で、昼間は他の動物が地中に掘った巣穴、木の洞、時には農家の納屋や物置等で休む。寒い地方に棲むアライグマは冬に冬ごもりを行うが、真の冬眠をするわけではない。
前足を器用に使うことができ、木登りや泳ぎが得意である。
雑食性で、両生類、爬虫類、鳥類の卵、昆虫類、甲殻類、果実、さらに畑にあるトウモロコシ等の農作物も食べる。 視覚があまりよくないため前足を水中に突っ込んで獲物を探る姿が手を洗っているように見えることから、その名がついた。「食べ物を洗ってから食べると言う習性から、アライグマと言う和名が付けられた」という説が一般化しており、実際に飼育下ではそのような行動が見られる。このため、当初この行動は本能によるものとされてきた。だが近年の研究では、野生のアライグマは食べ物を洗ってから食べるようなことは一切しない事が明らかになっている。
繁殖形態は胎生で、春には4-6頭の子供を生む。
[編集] Status
LEAST CONCERN(IUCN Red List Ver.3.1(2001))
[編集] 人間との関係
ペットとして飼育されることもある。日本でも以前はペットとして飼育されていたが、後述の理由により現在は無許可での飼育・譲渡・販売は禁止されている。
[編集] 日本での野生化と害獣化
アライグマは北米原産であり、日本には生息していなかった。しかし、近年ペットとして飼われたアライグマが遺棄もしくは逃亡したものが野生化するようになった。国内で初めての野外繁殖は、1962年に岐阜県可児市で確認された(愛知県の動物園からの逃亡個体)。
野生化アライグマは天敵(ピューマなどの肉食獣)が日本にいないため、急速に生息域を広げ、40を超える都道府県で生息確認され北海道・東京都・千葉県・神奈川県・埼玉県・石川県・岐阜県・愛知県・京都府・和歌山県で繁殖が確認された。特に神奈川県三浦半島は、生息密度が高いことで知られる。また、野生のアライグマはタヌキと誤解されることがある。
個体数が増加するに従い、農作物被害や野生在来種への脅威が増大している。アライグマは知能が高いため、被害を受ける農家での防御手段は防除以外は存在しないと言ってよく、また捕食者の地位にあって食欲旺盛・繁殖力大・天敵不在のアライグマは、生態系に致命的な打撃効果を与える力をもつ。加えて狂犬病の媒介者となることも懸念されている。
アライグマのほか、タイワンリスやタイワンザル等外来種(外来動物・外来植物)の問題は生態系保護の観点から急務となっていたが、その解決を目的として「外来生物法」が制定された。同法では人的被害や環境影響から守るため、これらの外来種を防除できるとする。しかし、防除対策の実行主体である地方自治体へは一部の動物愛護団体とその賛同者が、アライグマの防除を殺戮であると主張して反対し圧力をかけつづけている。逆に自治体の外来生物種対策は不十分であるとの意見もあり、推進派と反対派の対立がみられる。
[編集] 参考文献
- 『日経サイエンス 2004年11月号』 P18~20「外来動物ミニ図鑑 野に放たれたラスカルたち」
[編集] アライグマの仲間
アライグマ属 ( Procyon ) には全6種が属している。
- アライグマ Procyon lotor
- トレマリアアライグマ Procyon insularis
- バルバドスアライグマ Procyon gloveraleni
- カニクイアライグマ Procyon cancrivorus
- コズメルアライグマ Procyon pygmaeus
- グアドルーアライグマ Procyon minor
[編集] 関連項目