アセテート繊維
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アセテート繊維(アセテートせんい、acetate fiber)は、アセチルセルロース(酢酸セルロース)から作られる繊維質の素材である。
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[編集] 概要
アセテート繊維は、木材パルプ(セルロース)を原料に、酢酸を反応させたアセチルセルロースより作られる繊維質である。付加するアセチル基の数で呼び名が異なり、2つ付いたものをジアセテート、3つが付いたものをトリアセテートと呼ぶ。
[編集] 歴史
自然素材を原料に作られる半合成繊維として1920年代より生産がはじまっている。開発は1921年だが、ブリティッシュ・セラニーズ社が1924年に工業生産にこぎ付けたとされている。日本では1948年より生産がはじまっている。
タバコのフィルターでは1931年に米国で紙製フィルター付きの物が登場していたが、1950年代にこのアセテート繊維を使ったフィルターへと置き換わるようになっていった。日本では煙草向けのものは日本たばこ産業子会社の日本フィルター工業が1958年より製造するようになったようである。
[編集] 特徴及び性質
詳細はアセチルセルロースを参照
生産量ではジアセテートの方が合成が容易であることから多く生産されている。トリアセテートは特に耐熱性に優れるという特徴をもつが、ジアセテートに比べトリアセテートは吸湿性にやや難がある。煙草のフィルターには、主にジアセテートが用いられている。なおシンナーなどの有機溶剤に溶ける性質がある。
アセチルセルロースは若干の生分解性を持つが、一般にセルロース系プラスチックの物性は比較的安定しており、微生物に消費されやすく短期間で分解されることを前提とした澱粉系の生分解性プラスチックと異なる[1]。
[編集] 製造及び用途
アセテート繊維の原料となるセルロースは木材由来、アセチル基となるエステルは石油などからの化学合成による。アセチルセルロースをアセトンに溶解させ、これを細い穴から噴射、熱風を用いて乾燥させる事で繊維に整形する。アセチルセルロースを溶解する溶剤や可塑剤等の添加剤には人体に有害な物質もあるので、各物質の製品安全データシート(MSDS)に従い、注意して取り扱う必要がある。
アセテート繊維は寄り合わせて糸にする事で、適度な吸湿性を持ち、また美しい光沢があるなど絹に似た風合いを出す事ができる。またやわらかい素材感が得られる事から、衣服の素材としても利用されているが、伸張や摩擦に対する耐久性がそれほど高くなく、高級ファッションの一部に利用される。
煙草のフィルターとしては、同繊維の生産が容易な性質に関係するようだが、特に熱を加えても嫌な臭いを出さないという性質もあって、今日でも煙草の味を変えない素材として利用されている。原料であるアセチルセルロースが難燃性を持つことから、他の素材と組み合わせて防火カーテンなどにも利用されている。