アクセンチュア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アクセンチュア(Accenture)は、バミューダ諸島ハミルトンに登記上の本拠を置く総合コンサルティング会社。
目次 |
[編集] 概要
アクセンチュアは、IT/システム系設計・開発・運用だけでなく戦略部門を持っていることが特徴でもあり、また世界的なシステムインテグレーション企業のアウトソーシング化の流れに先立ち、アウトソーシングにも注力している。
従業員数は世界で約17万人。シカゴとクアラルンプールにEducation Centreを置き、社員研修を世界合同で行っている。
社内組織はマトリックス状に業界グループとサービスライン(技術)があり、それぞれ一つずつ所属し、2つの重なった部分が個人(コンサルタント)の専門分野となる。業界グループは、官庁、製造業、通信ハイテク業、資源エネルギー業、金融業で、サービスラインは戦略、SCM、CRM を初めとして多々あるが、社会状況によって区分は変えている。社員はプロジェクト制で主に、国内・海外のクライアント企業に駐在して仕事をする。そのため、管理部門以外は個人の机を社内に持たない。
企業のコンセプトは、”high performance delivered”であり、クライアントがハイパフォーマンス企業としてより強くなるためのお手伝いをするという意味である。
[編集] 歴史
アクセンチュアは、米国のトップ監査法人だったアーサー・アンダーセン(AA)に由来を持つ。1989年に分社化されてアンダーセン・コンサルティングとなった。この分社化により、AAは会計監査業務を、アンダーセン・コンサルティングはコンサルティング業務を担当するという業態棲み分けが行われた。
分社化に際し、AAはコンサルティング業務を行わないこと、アンダーセン・コンサルティングはAAに対し毎年一定金額を関係協力維持費として支払うことで合意したが、分社後しばらくしてアーサー・アンダーセンが合意を破ってコンサルティング事業を行なう「アーサー・アンダーセン・ビジネスコンサルティング」を設立、これがきっかけとなって両社の関係が悪化した。
アンダーセン・コンサルティングは収益高では1995年に、従業員数では1997年に母体のAAを上回っており、AAとの関係を維持するメリットを見出せなくなったアンダーセン・コンサルティングは1997年、国際商工会議所に調停を申し立て、2000年8月、アンダーセン・コンサルティングの完全独立という実質勝利で幕を閉じた。
この調停により、AAがアンダーセン・コンサルティングに要求していた1.2億ドル(約150億円)の支払い、関係協力維持費および技術情報開示の却下が認められ、その一方でアンダーセン・コンサルティングは「アンダーセン」の看板(ブランド)を2000年12月31日を以て手放すことが決定した。これにより両社の関係が清算され、以後別会社として歩むことになった。
アンダーセン・コンサルティングは社内公募で新社名を募集、最終的に“accent”と“future”(accent on future)の造語であるaccentureを選定した。社名変更は2001年1月1日に行われ、アンダーセン・コンサルティングの社名は20世紀と共に消滅した。
2001年10月17日、ウォールストリート・ジャーナルがエンロン社の不正会計疑惑を報じ、エンロン社のメイン会計監査を担当していたAAが会計粉飾やその証拠隠蔽に関与していたことが発覚した。この事件でAAの信用は失墜し、他の顧客も次々と離れ、アメリカ5大監査法人の1つと言われた名門のAAは2002年に解散へと追い込まれた。
この当時、アクセンチュアは新社名が定着しつつあり、エンロン事件と関係のなかったアクセンチュアがAAに巻き込まれて企業イメージ低下を招かずに済んだことは、(結果論ではあるが)"アンダーセン"ブランドと決別して正解だったと言える。
[編集] 日本法人
- 商号: アクセンチュア株式会社(Accenture Japan Ltd)
- 沿革
- 代表者: 代表取締役社長 程近智
- 本社所在地: 東京都港区赤坂1-11-44 赤坂インターシティ
- 関連会社: アクセンチュア・テクノロジー・ソリューションズ株式会社(社屋は本社と同じ)
世界市場で最大規模を誇る同社だが、日本市場でも最大規模を誇るコンサルティング・ファームである。アンダーセンの一部であった同社は、会計系コンサルティング会社という印象が強いが、日本ではITコンサルティングをメインとしており、実態はコンサルティング・ファームというよりシステム・インテグレータに近い。IT企業家を多く輩出しているのはその為で、中途採用ではIT業界からの転職者を最も多く受け入れている。
日本では、外資系企業の多くが日本企業同様に年功序列・終身雇用を適用しているが、同社では米国本社の社風をそのまま取り入れている。そのため、社内での競争が激しく、約半数の社員が入社して5年以内に退職する[要出典]。日本企業では一般的に高離職率はマイナスとされるが、アクセンチュアでは成果主義が正当に機能している為、離職率の高さは問題とされない。しかし、社員増を中期経営計画に盛り込むも思惑を外れて社員数が増加しなかったこと[要出典]や、長時間労働が慢性化していること[要出典]など、必ずしも成果主義の成功事例とは言えないようである。
2007年に社会問題化した社会保険庁のシステム開発には、日立、富士通らとともに参加しており、基盤ソフトウエアの設計を担っている他、検察情報システムや登記情報システムの導入にも関与している。
また、出入国管理業務の業務・システム開発を受注しているが、この際10万円に満たない金額で大規模な開発を受注した事実が明るみに出、国会や一部のマスコミからも批判を受けた。実際には入国管理局へのコンサルティングとゲートシステムの実験を発注前に行う際、既に1億円近い金額で競争入札を通さずこれを受注しており、事実上、システム開発委託に関する一般競争入札逃れ(自己指名)だったといわれている。
なお、アクセンチュアが提供した入国管理システムは、先にアメリカ合衆国が導入したUS-VISITシステムのクローンであり、2007年11月20日から運用を開始した。
[編集] 出身有名人
[編集] 経済界
[編集] 政財界[編集] 外部リンク
|