わだつみ
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わだつみとは、小松左京の小説『物体O』及び小説・映画・テレビドラマ『日本沈没』に登場する架空の潜水艇の名称である。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
[編集] 『物体O』に登場するわだつみ
突如巨大なリング状の物体によってリングの内外の連絡が遮断された日本列島の連絡用に作られた。
[編集] 『日本沈没』に登場するわだつみ
海洋開発株式会社が保有する深海調査潜水艇。調査海域までは母船「へらくれす」で輸送される。乗員は3名(乗組員2名+学者などの同乗者1名)で、深海用の照明弾発射装置や記録用のVTR録画装置を装備する。学術調査のほかにも、海底油田の調査用にも運用されている。
モデルは当時最新鋭の有人潜水艇だった「しんかい」だが、実際の限界潜水深度が600mであるしんかいとは異なり、わだつみは1万m(理論上では10万m)まで潜れるという設定である。ただし、運用時間に制限があり、原作とドラマ版では運用時間の長いフランス製の潜水艇ゲルマティックも運用されている(こちらの理論上限界震度は6万m)。
なお2008年現在、実際に1万メートルの深海で作業できる有人潜水調査艇は存在しない。実際に1万mの潜行が可能だった潜水艇としては、フランスが開発したバチスカーフがあり、その1隻である「トリエステ」はマリアナ海溝で現在まで唯一の有人1万m潜行を達成している。ただしバチスカーフはわだつみと違い、垂直方向には動けるもののそれ以外の方向には動く機能はついていなかった。
ドラマ版と映画版でわだつみは別のデザインであり(映画版のわだつみの模型はドラマ版のゲルマティックに流用されている)、ドラマ版のミニチュアが『ゴジラvsキングギドラ』に流用された。
2006年公開の映画『日本沈没』では、設定を大幅に改編した「わだつみ6500」「わだつみ2000」が登場する。これは、海洋研究開発機構所属の有人潜水調査艇「しんかい6500」「しんかい2000」をモデルにしている。