ふぁみこんむかし話 遊遊記
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ジャンル | アドベンチャーゲーム |
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対応機種 | ファミリーコンピュータ ディスクシステム |
開発元 | パックスソフトニカ 任天堂 |
発売元 | 任天堂 |
人数 | 1人 |
メディア | 前編・後編とも ディスクカード両面 |
発売日 | 前編パッケージ版:1989年10月14日 前編ディスク書き換え:1989年10月30日 後編パッケージ版:1989年11月14日 後編ディスク書き換え:1989年12月1日 |
価格 | 前編・後編とも パッケージ版:各2,600円(税込) ディスク書き換え:各500円(税込) |
その他 | 後編を使用するには前編のディスクが必要。 |
『ふぁみこんむかし話 遊遊記』(ふぁみこんむかしばなし ゆーゆーき)は、パックスソフトニカと任天堂が共同開発し、1989年に任天堂が日本で発売したファミリーコンピュータ ディスクシステム用のアドベンチャーゲームである。前編と後編に分けられ、パッケージ版の前編は1989年10月14日に、後編は同年11月14日に発売された。通称遊遊記。
目次 |
[編集] 作品解説
『ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島』に続くふぁみこんむかし話シリーズの第2作。新・鬼ヶ島のゲームシステムを流用し、登場人物と物語、BGMを一新した。プロデューサーは宮本茂。原作は照井啓司、島田満ほか。脚本は照井啓司ほか。音楽は岡素世。キャラクターデザインは小田部羊一ほか。プログラムは橋下友茂ほか。菱田達也は監督だけでなく、原作、脚本、キャラクターデザインを兼任した。
本作はテレビCMが放映された最後のディスクシステム用ソフトとなった。内容は「天竺ツアー」と題し悟空やサングラスをかけた三蔵たちが飛行機で世界各地を巡る派手な実写映像に、物語の登場人物を紹介した歌を乗せたものである。
遊遊記のディスクカード書き換えによる供給は店頭書き換えサービス終了後、2002年10月まで任天堂本社・営業所により継続された。この終了時期は書き換えサービスの打ち切りより1年ほど早い。新・鬼ヶ島はスーパーファミコンやファミコンミニ、バーチャルコンソールによる再供給が繰り返されたが、遊遊記はこれらへの再供給は行われていない。
[編集] ゲーム内容
画面に複数表示されたコマンドから適切なコマンドを選択し、全11章の物語を読み進めるコマンド選択式アドベンチャーゲームである。本作は西遊記を物語の題材とし、主人公「悟空」とその一行によるお経取りと世界支配を企む妖怪「牛魔王」の退治の旅を軸に、悟空の精神的成長とヒロインとの恋愛物語を、ギャグや笑いを織り込みながら描いた。
画面構成や「ひとかえる」コマンド、前編・後編のディスクカード2枚によるソフトウェアの供給は新・鬼ヶ島と共通するが、ゲームシステムにはいくつかの改良が加えられた。章の途中で進行状況を一時記録する「いったいさん」コマンドを新たに設け、ゲームオーバー後の再挑戦を容易にした。さらにコマンドとメッセージが表示される巻物の開閉アニメーションを速くさせ、コマンド選択の待ち時間を短縮した。「ひとかえる」コマンドでは最大5人の登場人物を選択できる。ただし5人全員を自由に切り替える場面は少なく、主に悟空または彼と同行している仲間が選択対象となる。選択した人物によりコマンド選択後の文章やセリフが変化し、場面と状況に適した人物や行動を選択しないと物語を進めることはできない。
遊遊記では新・鬼ヶ島に見られた難しい謎解きは減り、ゲームの難度は引き下げられた。新たな要素としてクイズや簡単なアクションゲームによるミニゲーム、コマンド選択に代わり単語や文章をプレイヤーに入力させる場面も用意された。物語中へミニゲームを挿入する手法は後継作の『タイムツイスト 歴史のかたすみで…』にも取り入れられた。
[編集] 物語
昔々、今の中国に当たる東勝神州という大陸のある村に、ちゃおという少女が住んでいた。ある夜、ちゃおの家の近くに隕石が落ち、中から一匹の猿が飛び出してきた。ちゃおは、猿に悟空と名づけて連れ帰り、世話をする。しかし、平和な日々もつかの間、悟空はかつて犯した罪によっておしゃか様に連れ去られ、幽閉されてしまう。両親を亡くし天涯孤独の身のちゃおは、やっとできた、たった一人の家族である悟空を救うため、「ひかりのこづち」と呼ばれる宝を求めて旅に出る。
そして数年後。世界は牛の化け物、牛魔王の魔の手に脅かされていた……。
[編集] 登場人物
プレイヤーは主人公の猿「悟空」とヒロインの女の子「ちゃお」へ好みの名前を付けることができる。通常ひとかえるで選択できる人物は悟空から悟浄の5人。
- 悟空(ごくう)
- 主人公の猿。暴れん坊でひねくれ者。かつて牛魔王とともに天界侵略を企てたが失敗し、おしゃか様により隕石に閉じ込められ「この世の果て」に追放された。ちゃおとの出会い、三蔵らとの旅を通じ、優しさと素直な心の大切さを学んでいく。
- ちゃお(おんなのこ)
- ヒロインの女の子。誰にでも優しく、けなげで一途な心の持ち主。恋愛小説を読むことが好きで、甘い恋愛を夢見ている。幼いころに両親が他界したため一人暮らしをしていたが、悟空を保護し家族として生活する。おしゃか様から悟空と暮らすには彼の性格を正す「ひかりのこづち」を手に入れる必要があることを聞かされ、一人旅に出る。
- 三蔵(さんぞう)
- 長安の僧侶。しかし女好きでスケベ、さらにとぼけた性格の生臭坊主。「一生楽して暮らす法」のお経を求め、スクーターの「りゅうきち」にまたがり、天竺を目指して旅をする。語尾に「-なんだな」と付ける口癖をもつ。
- 八戒(はっかい)
- 豚の妖怪。姿を変える化け術や遠くを見通す千里眼の特技を持ち、関西弁で話す。貪欲で金に目がない性格。ある村を支配し悪事を働いていたが悟空に懲らしめられる。その後、お経を手に入れようと目論み一行の旅に加わる。
- 悟浄(ごじょう)
- 河童。人の心を読む特技を持つ。普段は真面目で争いを好まない温和な性格だが酒癖は悪い。田舎なまりのある話し方をする。女性だらけの「おんな村」で銭湯の番頭をしていたが、女嫌いだったため村での生活に嫌気がさし、悟空一行の旅に加わる。人生に対して諦観めいたものの見方を抱いており、自分の本当の居場所を求めている。
- りゅうきち
- 感情を持つスクーター。元は三蔵が飼っていた龍だったが、おしゃか様がいたずらの罰として姿をスクーターに変えた。
- おしゃか様(おしゃかさま)
- 天界の統治者。悟空を正しい方向へ導き牛魔王を退治させるため、ちゃおや三蔵にたびたびお告げを与える。
- 牛魔王(ぎゅうまおう)
- 牛の妖怪。冷酷で情け容赦ない。悟空とともに天界侵略を試みるが失敗し追放された。しかし地上へ戻り、妖怪たちを率いて地上世界の征服を開始する。
- 羅刹女(らせつじょ)
- 牛魔王の妻。美人と称えられているが、実際は大きな顔に手足がそのまま付いた体形で、想像を絶するほどブサイク。芭蕉扇を操る。
- 紅孩児(こうがいじ)
- 牛魔王と羅刹女の息子。生意気な性格で口はでかいがケンカはからっきし。泣き虫で甘えん坊。わがまま。
- 金角・銀角(きんかく・ぎんかく)
- 牛魔王の手下。巨大な顔を持つクイズ好きの兄弟妖怪。おんな村を襲撃して女性をさらい、助けにきた者をクイズ大会「ザ・チャンスデスマッチ」に誘い込む。
- いったい
- 前作に引き続き登場する語り部。ゲーム開始直後ヒロインの女の子とともに登場し、女の子へ名前を付けるようプレイヤーへ依頼する。
[編集] 他作品への出演
遊遊記の悟空とちゃおは世界観の異なる星のカービィシリーズにゲスト出演した。
- 『星のカービィ2』の日本版にはちゃおが登場する。中ボスを倒した後に開封される袋にはリック、クー、カイン、グーイなどが入れられているが、まれにちゃおが出る場合がある。このゲームでは達成率がメニュー画面にパーセント表示され、ちゃおを救出しない限り達成率を100パーセントにすることはできない。さらにサウンドテスト画面では遊遊記の4章に登場する場面のパロディ画像が表示される。
- 『星のカービィ3』には悟空とちゃおが登場する。あるステージでは悟空を探し出してゴールにいるちゃおに会うと重要アイテム「ハートスター」を1つもらうことができる。ハートスターを全て集めないと真のボスと戦うことはできない。
[編集] 参考文献
- 『ふぁみこんむかし話 遊遊記 前編 取扱説明書』 任天堂、1989年。
- 『ふぁみこんむかし話 遊遊記 後編 取扱説明書』 任天堂、1989年。
[編集] 関連項目
- ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島 - ふぁみこんむかし話シリーズの1作目。
- タイムツイスト 歴史のかたすみで… - ふぁみこんむかし話シリーズの後継作品。
- ファミコン文庫 はじまりの森 - 同一開発元のアドベンチャーゲーム。