くすぐり
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くすぐり(擽り)とは、人の皮膚表面を刺激して「くすぐったい」感覚を与え「笑わせる」こと。
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[編集] くすぐったいメカニズム
くすぐったいと感じる場所は、一般に耳の周辺、首筋、脇の下、手の甲、もものつけね、膝の裏、足の甲や裏など、動脈が皮膚に近いところを通っている部位である。こうした部分は万一怪我をすると多量の出血を伴いかねない「危険部位」で、そのため付近には自律神経も集まって、外部からの刺激に対しては特に敏感になっている。この自律神経と密接な関係にある小脳では、こうした危険部位への刺激に対する予測と、それに対する感覚の制御を行っている。したがって自分でそうした部位をくすぐってみても、その刺激は小脳の予測どおりなので、小脳が感覚を制御するため違和感が生じない。ところが他人にくすぐられると小脳はこれを予測することができないので、感覚の制御は不能として脳は混乱状態に陥る。その不快な感覚が「くすぐったい」という感覚であり、そうした「生命にとっての危機かもしれない」と錯覚された状態から逃れようとする自律神経の過剰反応が「笑い」にあたる。
[編集] 性的なくすぐり
このように「危険部位」を他人に触れさないようにするのは人の本能に拠るものだが、逆にそれをあえて許すことは厚い信頼や愛情の証となる。したがって許諾の上でのくすぐりは、時に性的快楽になる場合がある。
- → 詳細は「くすぐりフェティシズム」を参照。
[編集] くすぐりのいろいろ
[編集] 伝統芸能のくすぐり
伝統芸能では、演者が本筋とは直接関係がないや駄洒落や内輪ネタでことさらに観客の笑いを取ることを「くすぐり」という。特に歌舞伎や古典落語では、本来の台詞にあるさして重要ではない語句を、関連性のある現代の「時の人」や「時の話題」に差し替えて、思わず観客をニヤリとさせる場面が時折見られる。林家三平のような例外もあるが、基本的に多用されることはなく、一幕・一席にあるかないかのもので、しかも通常は観客が予想もしないところでこれが出るため、くすぐりは演目に重要なアクセントを与える手法となる。
[編集] 関連項目
- 歌舞伎『白波五人男』: 有名な「くすぐり」がある弁天小僧菊之助の台詞。