きらり (人工衛星)
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きらり(OICETS) | |
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所属 | JAXA |
公式ページ | 光衛星間通信実験衛星「きらり(OICETS)」 |
国際標識番号 | 2005-031A |
状態 | 運用中 |
目的 | 光衛星間通信実験衛星 |
打上げ機 | ドニエプルロケット |
打上げ日時 | 2005年8月24日 |
物理的特長 | |
本体寸法 | 約0.78m×1.1m×1.5m |
質量 | 約550kg |
発生電力 | 1220W以上 |
姿勢制御方式 | 三軸姿勢制御 |
軌道要素 | |
軌道 | 円軌道 |
高度 (h) | 約500〜610km |
軌道傾斜角 (i) | 約35度 |
搭載機器 | |
LUCE | 光衛星間通信機器 |
きらり(Optical Inter-orbit Communications Engineering Test Satellite : OICETS)は、宇宙航空研究開発機構によって打ち上げられた、レーザー光による通信実験を行う日本の光衛星間通信実験衛星である。
目次 |
[編集] 概要
「きらり」は、数万キロメートルを隔てた衛星と衛星の間で、レーザー光による通信実験を行うための技術試験衛星である。ESAの先端型データ中継技術衛星「ARTEMIS」との間で、実証実験を行うことを目的として、2005年(平成17)8月24日午前6時10分(日本時間)にカザフスタン共和国バイコヌール宇宙基地より打ち上げられた。
光通信の特徴は、「第三者に傍受されにくい」「レーザー光を細く絞って使用するので、電磁誘導ノイズの影響を受けにくく、安定して大容量のデータを送受信できる」などであるが、衛星間の距離は最大で4万キロメートル以上で、さらにそれぞれが別の軌道を高速で周っているため、光通信を衛星間で行うためには高度な技術が必要とされていた。「きらり」は、それらの実証実験を行うことを目的として打ち上げられた。
[編集] 経緯
J-Iロケットで2002年(平成14)の打ち上げを予定していたが、J-I計画が凍結されたことや光通信の相手方となるARTEMISの寿命が限られているため、ウクライナのドニエプルロケットを使用することとなった。ロケットの打ち上げ重量に余裕があるため、小型技術実証衛星1号機「れいめい」をピギーバック衛星として共に打ち上げることとなった。
[編集] 結果
平成17年12月9日、ARTEMISとのレーザー光による双方向の光衛星間通信実験に成功した。また、平成18年3月31日、同衛星と光地上局との間での光通信実験に成功した。(いずれも世界初である)
これらの実績が評価され、OICETSプロジェクトチームは「平成18年度情報通信月間推進協議会会長表彰情報通信功績賞」を、「きらり」は「2007年度 計測自動制御学会 学会賞(技術賞)」を受賞した。
そして2006年10月16日、きらりの定常運用が終了した。これにより後期利用段階に移行し、今後はバス機器(ホイール等)および一部のミッション機器の寿命評価のためのデータ取得をする予定。