うみねこのなく頃に
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うみねこのなく頃に When They Cry 3 |
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ジャンル | ミステリー、サスペンス、ホラー |
ゲーム | |
ゲームジャンル | サウンドノベル |
対応機種 | Windows 95/98/Me/XP (NEC PC-98シリーズ除く) |
推奨環境 | CPU:Pentium II 400MHz 以上 メモリ:128MB 以上 HDD空き容量:1GB以上 DirectX 8.0a 以降 |
ゲームエンジン | NScripter |
開発元 | 07th Expansion |
発売元 | 07th Expansion |
監督 | 竜騎士07 |
キャラクターデザイン | 竜騎士07 |
メディア | DVD-ROM 1枚 |
プレイ人数 | 1人 |
発売日 | 2007年8月17日 |
販売価格 | 1575円(税込) |
売上本数 | 不明 |
レイティング | 未審査 |
画面サイズ | 640×480 |
キャラクターボイス | なし |
メッセージスキップ | あり |
オートモード | あり |
漫画 | |
原作・原案など | 竜騎士07 |
作画 | EP1夏海ケイ・EP2鈴木次郎 |
出版社 | スクウェア・エニックス |
発表期間 | EP1 2007年Vol.10 - 連載中 |
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『うみねこのなく頃に』(うみねこのなくころに)とは、同人サークルである07th Expansionが製作している同人ゲームである。2007年夏のコミックマーケット72で第一作、冬のコミックマーケット73で第二作が頒布され、以降もまた半年ごとに作品が発表されていく予定である。
タイトルは『うみねこのなく頃に』と、「な」を赤文字で表記する。
目次 |
[編集] 概要
同サークルの第一作目である『ひぐらしのなく頃に』の血脈を受け継ぎつつ、全く別の世界観の作品になっている。「嵐の孤島」「遺産を巡る争い」「洋館」「連続殺人」「予告状」「解読文」「謎の怪人物」「不可解な怪現象」…など、典型的なクローズド・サークルになっているが、ミステリ作品としてフェアな展開になるのかは不明である。
竜騎士07は今作が公式に発表される以前から、『ひぐらしのなく頃に』に続く次回作について「同じ舞台を何回も巻きもどして繰り返していく、それらを重ねて見る事で一本のシナリオでは見えないものが見えてくる」という“多層世界”ものとすることを早くから明言しているため[1]、今作も『ひぐらしのなく頃に』と同様に、多編に渡って同じ世界を繰り返す内容になると思われる。
なお、今作では「推理をしても解かせる気など全くない。それでも魔女の仕業だと認めずに立ち向かう、あなたを屈服させるために用意した」とあらかじめ断りを入れており、難易度の上昇を図っている。
前作と同じく、キャラクターデザインは竜騎士07が行っているが、前作と異なり萌え要素の少ない個性的なキャラクターデザインと、奇抜なネーミングが特徴。
07th Expansionとしては今回初めて、オープニングムービーを導入している。テーマソングは志方あきこ。また、漫画「びんちょうタン」などで有名な江草天仁が、肖像画デザインとして外注で参加している。
[編集] 推理について
- 推理の方向性
- 本シリーズ作では、いくつかの殺人事件が起こり、次々と登場人物が殺されていく。公式サイトの作品紹介によると、六軒島で起こった事件の謎が人間のトリックとして説明できるか、それとも魔女の仕業としか説明できない超常現象であるかが焦点となる。さらに作品紹介は読者に是非人間のトリックという立場から謎に挑んで欲しい、できなくなった時点で魔女に屈したという結末を迎えるとしている。単純に「魔女の魔法説」で推理を完結させるのか、「人間犯人説」を追求するのか、作者の「叙述トリック」を疑うのかで、推理の方向性は大きく変わってくる(全てが魔法で完結してしまうと、推理作品としてはアンフェアになる)。
- さらに、本作の推理をする上では、まず最初に「魔女をどのように捉えるか」が非常に重要となる。実存するのか、妄想の産物なのか、はたまた二面性があるのか…など、「現実と虚構の境」について明確にする必要がある。魔法についても同様である。この点については、前作の「オヤシロさま」「雛見沢」「御三家」などと類似しており、関連性を読み解くことで作品をより楽しむことができる。
- 推理の分類
- 本作の主要な推理については、大まかに分類すると以下の4つに区分される。
- 作品の多層性の謎について、解き明かすこと。
- 碑文の謎を解き、黄金の在処(黄金郷)を見つけること。
- 魔女への対抗手段を考え、誰も死なない方法を見つけること。
- 密室殺人の謎を解明し、犯人を特定すること。
[編集] ストーリー
時は、1986年10月4日。舞台となるは、大富豪の右代宮(うしろみや)家が領有する伊豆諸島の六軒島。年に一度の親族会議を行う為に、当家の親族達が集結しつつあった。一見和やかに、久しぶりの再会を楽しむ親族たち。
しかし島で待っているのは当主死亡後の財産分割問題という、親族同士に暗雲を呼び込む議題。かつて当主が島に隠れ住んでいるとされる魔女ベアトリーチェから、資金調達の担保の為に授けられたとされる10tの金塊を巡って、長男の横領を疑う親族たち。それに対して親族たちの困窮を見透かすかのように、反撃に出る長男。さらに余命の迫った当主は自らの命だけでなく、親族郎党・資産のすべてを生贄として捧げ、最愛の魔女ベアトリーチェの復活を願っていた。
そして、まるで彼らを閉じ込めるかのように島は台風によって外部から隔絶され、巨大な「密室」と化してしまう。魔法陣が描かれた殺人現場から次々と新たな犠牲者が出ていく中、魔女ベアトリーチェからの手紙が続々と届けられていくのであった…。
[編集] 登場人物
[編集] 右代宮家 当主
- 右代宮 金蔵(うしろみや きんぞう・KINZO)
- 右代宮家当主。元々は右代宮分家の出身だったが、本家が関東大震災で壊滅状態に陥った為、当主に抜擢され自力で右代宮家を立て直した。魔女ベアトリーチェとの契約により、10tもの黄金を授かったと言われている。また、ベアトリーチェに心酔しており、再会を切望している。
- 一年前から余命3ヶ月と宣告されており、先は長くない。しかし医者に止められているにも関わらず、酒を飲み続けている。西洋かぶれが高じて、4人の子に西洋風の名前をつけた。昔は非常に賢明でユーモアに富んだ好男児だったが現在は乱暴で気難しい性格になってしまい、使用人にしか心を開かず書斎に閉じこもって黒魔術などの怪しげな研究や実験をしている。
[編集] 長男一家
- 右代宮 蔵臼(うしろみや くらうす・KRAUSS)
- 金蔵の第1子。金蔵が書斎に引き篭もり怪しい実験を繰り返している今、実質的に彼が当主代行として右代宮本家を管理している。
- 父のように大きな経済的成功を収めようと考えているが、事業活動のほとんどが時代を先取りしすぎた所為で失敗に終わっており、かなりの損失を被っている。現在はリゾート開発に莫大な投資をしており、これからのバブル景気の到来によって絶大な収益を上げると予測している。前述の通り何度も事業で失敗している為、威厳だけでも当主として振舞おうと考え、弟や妹にも高圧的に接している。さらに、弟や妹達に金蔵の遺産を独り占めするのではないかと疑われており、兄妹仲は悪い。
- 右代宮 夏妃(うしろみや なつひ・NATSUHI)
- 蔵臼の妻。非常にプライドが高い上、高潔で義理堅く自尊心も強い。
- 次期当主の妻として、金蔵の孫を一日も早く授かる事を最大の役目として嫁ぎながら、実に12年もの間子供を授かる事が出来ず、その間、非常に辛い境遇に置かれていた事がある。夫が専らビジネスばかりにかまけている為、家の切り盛りや使用人の管理、朱志香の教育まで全てを主導している。しかしその熱心さが災いしてか、現在反抗期の真っ只中である朱志香とは仲が悪い。それでも決して娘を嫌っている訳ではなく、むしろ朱志香には女として幸せになって欲しいと願っている。生まれつきの頭痛持ちでいつも頭痛に悩まされており、その所為かいつも気難しい表情を浮かべている。
- 右代宮 朱志香(うしろみや じぇしか・JESSICA)
- 蔵臼・夏妃の娘。戦人と同級生にあたる18歳の高校3年生。ウェーブのかかった髪をポニーテールにして結んでいる。活発な性格で、高校では生徒会長を務めており、バンド活動もしている。蔵臼の次の当主候補者だが、男尊女卑の右代宮家では女性は当主になることができない為、実際は彼女の夫が次期当主となる。
- 反抗期の真っ只中であり、母親である夏妃から令嬢らしい言葉使いを強要された結果、それらの反動で男勝りな性格・言葉使いになっている。そのため夏妃から言葉遣いを指摘されることが多く、親子仲は良くない。また、生まれつき気管支が弱く、突発的に喘息の発作を起こす事がある。
[編集] 長女一家
- 右代宮 絵羽(うしろみや えば・EVA)
- 金蔵の第2子。長い間兄夫婦に子供が授からなかった為、半ば強引に秀吉を婿養子にして右代宮家に留まる。
- 子供っぽい快活な性格だが、陰湿な一面も持ち合わせている。格闘技に長けており足技が得意。兄の蔵臼を敵視しており、ほぼ全ての事柄で対立する。また夏妃に対しても兄の妻である事に加え、右代宮の血を引いていないと見下しているため不仲である。息子の譲治をいずれ当主にしようと考えているため、譲治と使用人である紗音が交際することを良しとしていない。
- 右代宮 秀吉(うしろみや ひでよし・HIDEYOSHI)
- 絵羽の婿養子。戦争で身寄りを全て失い、裸一貫から外食チェーン運営会社の経営で成功を収めた人物。身寄りを亡くしている為か、婿養子として入った右代宮家を新たな家族として素直に親しんでいる。陽気な人柄でしばしば荒れた場を直そうとする大人な人物。小遣いの羽振りも良いらしく従兄妹たちからの受けも上々。
- 印象に残りやすいという理由でオリジナルの関西弁を話すが、関西人の前では恥ずかしいので標準語に戻すらしい。
- 右代宮 譲治(うしろみや じょうじ・GEORGE)
- 絵羽と秀吉の息子。歳は23歳と金蔵の孫の中では唯一成人している。大学に通いつつ秀吉の経営する会社の元で見習いをしており、それなりに父を尊敬している。勤勉で人当たりの良い好青年。
- 戦人とは対照的な性格の持ち主で、ストレートに感情を出す事は少ない。親族の間では成績不良で口も悪い朱志香より成績優秀で好青年の譲治の方が跡継ぎにふさわしいと言われているが、尊敬している父のように自力で出世したいと考えているため跡継ぎに対して特にこだわりはない。使用人の紗音とは以前より交際をしている。
[編集] 次男一家
- 右代宮 留弗夫(うしろみや るどるふ・RUDOLF)
- 金蔵の第3子。前妻の明日夢とは6年前に死別したが、直後に霧江を後妻とした。
- 相当の好色家であるが、現在は霧江に手綱を握られている模様。ある種の胡散臭い隙間産業で財を成しているらしく、その為いつか後ろから刺されるだろうと噂されている。兄の蔵臼との仲は良好ではなく、蔵臼に対しては彼を嫌っている絵羽と共闘する事が多い。
- 右代宮 霧江(うしろみや きりえ・KYRIE)
- 留弗夫の後妻。戦人の義母だが、留弗夫と結婚したのが遅く、戦人が母親と呼ぶ気になれなかった為、彼には「霧江さん」と呼ばれている。が、仲は悪くなくむしろ姉のように慕われている。自分に対して揺ぎ無い自信を持つ、知的で行動力のある女性。「縁寿」という実の娘がいるが、今回の会合では病気のため実家に預けている。夫の手綱を握っており、留弗夫との結婚と同時に彼の女性関係を次々と清算した。
- 過去にゲーム理論に没入していたようで、その筋の本を読みつつ自分なりに解釈してチェス盤をひっくり返すという持論を形成した。
- 右代宮 戦人(うしろみや ばとら・BATTLER)
- 本作における、シリーズを通しての主人公。留弗夫と前妻の息子。18歳でまだ大学生にはなっていない。身長は180cmとかなり大きい。性格は猪突猛進、無鉄砲。しかし、他人の心の痛みが分かる感受性も持ち合わせている。留弗夫譲りの女好きで軟派な面がある。
- 大の乗り物嫌いであり、乗り物酔いはしないが何故か墜落事故や海難事故を恐れる。母親を亡くした後喪が明けない内から再婚した父親に反感を抱き、家出し6年間亡き母の実家の世話になっていた。しかし実家の祖父母が相次いで死去した為、6年ぶりに元の家族に戻ってきた。霧江の「チェス盤をひっくり返す」という理論には感銘を受けており、事ある毎にその発想術を使っている。
[編集] 次女一家
- 右代宮 楼座(うしろみや ろうざ・ROSA)
- 金蔵の第4子。他の兄弟とは大きな年の差がある為、親族会議などでの発言力はかなり劣っている。デザイン会社を経営。
- 蔵臼と絵羽・留弗夫の間で板挟みになる事が多く、その度に曖昧に取り繕っている。真里亞に対しては教育熱心で、同様に娘の教育に熱心な夏妃とはささやかではあるが交流がある。様々なストレスを受けているため時々感情的になり、それが原因で娘を叱り過ぎてしまい後悔する事がある。
- 右代宮 真里亞(うしろみや まりあ・MARIA)
- 楼座の娘。9歳。年の割りに言動はかなり幼く、「うーうー」が口癖。非常に素直で、戦人の嘘も平気で信じてしまう。
- 勉強や友人に殆ど関心は無いが、趣味であるオカルトに関する知識はかなり豊富。知識を披露する場合「きひひひひ」という笑い声と共に饒舌になる事が多い。ベアトリーチェの熱心な信奉者で一緒に遊んだ事さえあると言い、ベアトリーチェの存在を否定されると極度に怒る。オカルトや黒魔術が趣味にも係わらず、金蔵との仲は良くない。また、母親の楼座はオカルト趣味や幼児言葉が抜けない事に真剣に頭を抱えている。
[編集] 使用人・主治医
- 紗音(しゃのん・SHANNON)
- ep2の主人公の一人。右代宮家に仕える使用人の一人である少女。16歳。金蔵が莫大な援助を行っている孤児院『福音の家』の出身者。
- 朗らかで優しい性格の為、仕事が入っていない時間は年の近い戦人たちと遊んだりお喋りしたりする事も多い。幼い頃から右代宮家に仕えており、まだ若いが10年も使用人として勤めている。しかしミスをする事が多く、食事の名前や材料を聞かれても答えられない事が多い。譲治とは以前から交際をしており、その期間も短くないようである。
- 嘉音(かのん・KANON)
- 使用人の一人である少年。16歳。紗音同様『福音』の出身者で彼女を姉と慕う。無口、無表情で、紗音と違いあまり戦人たちとは喋らない。
- 右代宮家に使えて3年目。源次には黙々と仕事をする勤務態度が気に入られており、また、金蔵からある程度の信頼を得ている数少ない人物の一人。物心がつく頃から使用人として過ごしてきた為か、生き方というものに対して懐疑的で、自らを「家具」と称する。この呼称は紗音・源次にも認められるが、特に嘉音が顕著に見られる。
- 呂ノ上 源次(ろのうえ げんじ・GENJI)
- 右代宮家に仕える使用人達のリーダー。非常に寡黙かつ無口であるが、金蔵に対する忠誠心も非常に高い。
- 屋敷が建った当初から右代宮家に仕えている最古参の使用人で、金蔵から最も信頼されている人物。逆に蔵臼夫妻からはスパイ扱いされ疎まれている。
- 郷田 俊朗(ごうだ としろう・GOHDA)
- 使用人の一人である料理人。元ホテルのレストランのシェフで、料理の腕前は超一流。大男で筋骨隆々。
- その向上心故、片翼の鷲を許された使用人たち(特に若い紗音や嘉音)に対し彼らに比べて勤続年数が浅いにも係わらず、優位に振る舞おうとする。
- 熊沢 チヨ(くまさわ ちよ・KUMASAWA)
- 右代宮家で家事を手伝うパートタイマー。80歳近い高齢で、何度も退職と復帰を繰り返している。
- お喋り好きで明るい性格だが、面倒な仕事が来ると腰が痛い等の理由でサボるなど、面倒臭がりな一面がある。しかし、夕飯時に紗音がデザートのソースの材料は何かと聞かれて答えられず困っている所に、「それは鯖である」と茶化しながらも助け舟を出すなど、人の立場を察することのできる人物。また、このような鯖を題材とした冗談は熊沢の十八番らしく、一族の間ではこれが親族会議での定番のジョークとなっている。
- 南條 輝正(なんじょう てるまさ・NANJO)
- 金蔵の主治医を務める老紳士。金蔵の友人であり、使用人を除いて面会を許される唯一の人物。
- 金蔵とはよくチェスをするようで、仲良くなったきっかけもチェスである。短気な金蔵に長い間付き合っている所から、そのおおらかな人柄が窺える。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
[編集] 魔女
- ベアトリーチェ(Beatrice)
- 右代宮家で魔女と呼ばれている存在。千年を生きた黄金・無限の魔女にして、右代宮家顧問錬金術師。1人を“無限に”殺す力を持つ。「お茶会」にて初めてその姿を現す。一人称は「妾」。既に人間の域を逸脱しており、悪魔のように人間に召喚されては対価と引き換えにその力を貸し与えているという。六軒島の広大な未開の森の主とも言われ、外界から隔絶された六軒島に不穏な気配を漂わせている。
- その性格は弱い者虐めが大好きで、魔女たちの中でも一際残忍である事が知られている。また、興奮すると普段の貴婦人然とした様子から一変し、極めて感情的な態度をとる。だがその一方で紗音と譲治の恋愛の手助けをしたり、自分に心酔する金蔵を思いやったりするなど厚情な一面を見せることもある。好きなものは紅茶とアイスクリームで、嫌いなものは退屈と、自分を否定する者。その実態は「ニンゲンの誰かじゃなく、この世界のルールが擬人化した存在」とされているが、Ep2では同時に自らが登場人物となり六軒島に降り立つ。そこで彼女は、黄金の蝶、山羊の従者、煉獄の七杭(七姉妹)などを操り、常識では考えられない方法で殺人事件を起こした。非常に強力な力を持つ魔女だがある種の様式美に拘る為、ラムダデルタの見解ではその行動には無駄が多いらしい。ちなみにラムダデルタは彼女を「軽くて広い弾幕」、またはジャンケンの「グー」と称した。
- なお、金蔵が溺愛している「ベアトリーチェ」と、お茶会にて登場する「ベアトリーチェ」はその描写の違いから別物であるという見方もあり、本編の肖像画の人物と同一人物なのか、そもそも存在するのか否かは現状では一切不明である。
- 煉獄の七姉妹(れんごくのななしまい)
- ベアトリーチェの上級従者。強力な力を持ち自らの意思でも行動できるが、術者の命令には逆らえない。本来の姿である煉獄の七杭に姿を変えると、より一層の力が発揮される。それぞれ七つの大罪に該当する悪魔の名前と対応する性質を持つ。
[編集] 裏お茶会の魔女
- シナリオを1つクリアする毎に出現する、「裏お茶会」に登場する人物。これらの人物は基本的に本編に出ることはなく、「裏お茶会」のみの登場となる。
- ベルンカステル(Bernkastel)
- 千年を生きたカケラ・奇跡の魔女。起こりうる事象の可能性が“ゼロでない限り”必ず成就させる力を持つ。
- 裏お茶会にて登場し、ベアトリーチェの目を盗んでプレイヤーに助言を与える。運命や可能性を視覚化できる世界に住まうといい、人間の運命を鑑賞し、時に干渉する。ベアトリーチェを「ベアト」と呼ぶ。外見は前作『ひぐらしのなく頃に』のメインキャラ古手梨花ほぼそのもの(細部に違いはみられる)であり、名前から『ひぐらし』冒頭の謎の詩の執筆者「Frederica Bernkastel」と何らかの関係があると思われる。(『ひぐらし』の賽殺し編では、同じ時を繰り返し生きる古手梨花の精神と、本来の古手梨花とを区別する為に、自らをベルンカステルと名付けている)好きなものはワインと辛い物で、嫌いなものは退屈と学ばない者。彼女の力はベアトリーチェとは相性が悪いので、戦っても勝機はないようである。だが本人曰く「必ず屈服させる」とのこと。
- ラムダデルタ(Lambdadelta)
- 千年を生きた絶対の魔女。1人を“必ず”殺す力を持つ。
- Ep2の裏お茶会にて登場。「努力の結実」を象徴する存在であり、人間たちからも大変崇められているらしい。誰の努力を報うかは気まぐれだが、一度力を発揮すると圧倒的なパワーで全てを瞬時にねじ伏せることができる実力の持ち主。しかしやや猪突猛進気味な所が欠点で、そこをベルンカステルに付け込まれ単騎にて敗れたことがある。しかしベルンカステル当人は彼女を非常に苦手としており、「二度と戦うのはごめん」とのこと。また、「ラムダデルタの力はベアトリーチェと相性が良く、ベアトリーチェの“無限”を殺せる」とも語っている。彼女自身は比較的ベアトリーチェに協力的だが、ベルンカステル同様プレイヤーに助言をくれる。ベルンカステルのことを「ベルン」と呼ぶ。外見は『ひぐらし』における古手梨花最大の敵、鷹野三四の幼少期である田無美代子を思わせるが、内面はほとんど別物である。(「をーっほっほっほ」という高笑いが特徴的。
- 名前はギリシア文字の「ラムダ{(λ)=30}+{デルタ(δ)=4}」から。
[編集] その他
- 右代宮 縁寿(うしろみや えんじぇ・ANGE?)
- 霧江の娘で、戦人の妹。
- 現在のところ、第一話冒頭の絵羽・秀吉・霧江の会話の中のみに登場。親族会議の日は体調不良の為、霧江の実家に預けられていた。霧江によると病弱で、いつも季節の変わり目に風邪をひくらしい。右代宮の血を引いているかは不明。
- 右代宮 明日夢(うしろみや あすむ・ASUMU)
- 留弗夫の前妻。6年前に他界したが思いやりの心を持った人物だったらしく、それは息子である戦人にも受け継がれている。
- 眞音(まのん)・恋音(れのん)・瑠音(るのん)
- 右代宮家に仕える使用人で、紗音・嘉音に同じく「福音の家」出身。シフトの関係で親族会議の日は出勤していない。
[編集] 六軒島
- 六軒島 (ろっけんじま)
- 伊豆諸島の中に含まれる、全周10キロ程度の小さな島。最近になり近隣の新島には飛行機が離着陸するようになったらしく、そこから漁船で30分ほどの距離にある。飛行機が離着陸する以前は、6時間ほどの船旅を経る必要があった。島全体が右代宮家が所有している私有地である為、右代宮家とその関係者以外でこの島を訪れる者はいない。
- 船着場と屋敷以外には施設はなく、浜辺と森林などは開発されずに残っている。船着場から本館までの道のりは、かなり曲がりくねった長い坂道になっている。六軒島の大部分を占める広大な森には魔女ベアトリーチェが住んでおり島を支配していると言われ、使用人たちから畏れられている。
- 右代官家 本館
- 本館は、地上3階・地下1階の本格的な洋館である。1階の玄関前には、魔女ベアトリーチェの肖像画があり、黄金の隠し場所とされる碑文が記されている。当主の書斎近辺は実験による悪臭がたちこめる事もあり、親族たちの不評を買っている。また、書斎のドアノブには魔除けがなされている。
- 渡来庵
- 通称「ゲストハウス」と呼ばれており、本館の隣に建造されている。元々は蔵臼が高級リゾートホテルとして開業しようとしていたが、事業計画の凍結により現在では客人用の宿泊施設として使用されている。親族らの宿泊の際には主にこのゲストハウスが利用されており、概ね好評のようである。
- 肖像画の碑文
- 右代官家の本館1階にある玄関広間には、魔女ベアトリーチェの巨大な肖像画が2年前より掲げられている。その下の碑文には、黄金の隠し場所とされる暗号文が刻まれている。この碑文を解読した者が現れた場合にはベアトリーチェの権利は放棄され、それまでに奪われた命も蘇るらしい。
- 魔女の貴賓室
- 金蔵により、立ち入り厳禁とされている客室。誰も使用することはない為、金蔵の愛する魔女ベアトリーチェの為の部屋だと言われている。その為、当主と同格の扱いとして常に清掃がされている。
- バラ庭園
- 本館前の傾斜にはかなり大規模なバラ庭園が造られており、使用人たちによって管理されている。元々は素朴な庭園だったが、蔵臼のリゾート化計画に伴い見事なものへと変革した。同じ種類のバラではなく、様々な種類のバラで彩られている。
- 鎮守の社
- 船で六軒島に至る際に見える、鳥居と祠。祠の中には、「鏡」が納められており、ベアトリーチェの力を封じているらしい。夏に紫色の雷により岩礁ごと社が破壊された為、現在は無くなっている。
- 太古の昔には、六軒島は「小豆島」と呼ばれて畏れられていた。その名の由来は「悪食島」であり、暗礁が多くて海難事故が絶えず、悪霊が住み着いて人々の魂を食らっていると思われていた。そこに旅の修験者が社を作り、鎮魂をしたことで収まったらしい。
- 開かずの礼拝堂
- 本館から少し離れた位置にあり、数分ほど森を歩いた場所にある。かなり古い建物であり、一族は金蔵から礼拝堂に近寄ることを固く禁じられている。入り口には施錠されており、鍵は一つだけしかない。
[編集] 舞台のモデル
六軒島は伊豆諸島新島の近海にあるとされている。しかし実際の主な舞台である右代宮家の邸宅は、主に東京都周辺の諸建築から取材されている。
まず、オープニング他で登場するゲストハウスの外観は、東京都北区の旧古河庭園にある洋館である。設計はジョサイア・コンドル博士。予約すれば館内にも入ることができ、洋館前のバラ庭園など見所も多い。
また、本家の屋敷は目黒区の駒場公園にある旧前田侯爵邸洋館の画像が多く用いられている。土日祝日限定で公開されている館内も保存状態が良く、そのままゲームで利用されている。
[編集] TIPS
- ベアトリーチェの黄金伝説
- 右代宮家当主の金蔵が魔女ベアトリーチェから貸し与えられたという、10tの金塊。金蔵はこの黄金を担保にして莫大な資金を調達し、成功を収めていったという。最高純度の純金インゴットは、鋳造には高度な技術力が必要とされる。鋳造元・銀行名などの刻印がなく、右代官家の家紋のみが刻まれている。
- ウィンチェスターライフル
- 西部劇などによく登場するライフル銃。数種類のタイプがありレバーアクションが特徴的だが、構造的に脆弱であるため一部のタイプを除き、威力の小さい拳銃弾しか発射できない。テレビで大ヒットしたある西部劇のドラマで登場した、銃身と銃床を極端にカットしたカスタムタイプが有名であり、作中に登場するのもこのタイプである。
- ただし、このカスタムはライフル銃としての利点である射程・命中精度・装弾数を著しく低くしている為、実用銃としての性能は低く、護身用というよりは装飾銃として扱われている。
- 煉獄の七杭
- 七つの大罪を象徴する、七対の魔力を持つ杭。術者の命令に従い、望む獲物の望む部位に正確に打ち込まれる。また、威力は命中部位によってコントロール可能。非常に強力な武器だが、七つの大罪を犯さない者や強い魔力耐性を持つ者は、攻撃対象に指定できない。
- 黄金の蝶
- ベアトリーチェの化身であるとも言われる、謎の発光をする蝶。夜間の見回りをしている使用人が遭遇することがあるらしく、畏れられている。
- 親族の序列
- 右代宮家では血縁の順序により序列が決まっており、それに従ってテーブルの席が決められている。序列は当主である金蔵がトップで、以下、金蔵の子、金蔵の孫、子の配偶者と続く。同一ランクの中では、金蔵の子4人の長幼に準拠する。
- 現在の序列は、上位の者から順に金蔵、蔵臼、絵羽、留弗夫、楼座、朱志香、譲治、戦人、真里亞、夏妃、秀吉、霧江 となっている。本来楼座の夫が座るべき席には、金蔵の主治医である南條が座っている。
- 片翼の鷲
- 右代宮家において、限られた者だけに着用を許されている鷲の模様。右代宮姓の中では、金蔵から真里亞までが何らかの形で身に纏っている。源次・紗音・嘉音については、使用人でありながらも金蔵の厚い信頼を受け、例外的に片翼の鷲を許されている。各人それぞれ、翼のある部位・模様・枚数などが異なっている。
- 六軒島大量殺人事件
- 1986年10月4~5日にかけて、六軒島で起こったとされる右代宮一族惨殺事件。世の好事家たちからは、「魔女伝説連続殺人事件」とも呼ばれる。
[編集] 思考理論
- チェス盤をひっくり返す
- ゲーム理論を愛好している霧江が、よく使っている言葉。「ちゃぶ台をひっくり返す」のひっくり返すではなく、180度回転させて相手側と自分側を入れ替えると言う意味での「ひっくり返す」である。チェス盤をひっくり返してみる(=相手側に立って考える)と、自分側からは思いもよらなかった事が分かるというもので、彼女の昔からの口癖である。主人公である戦人も、この理論に感銘を受けており、劇中にて論理を展開している。
- 前提条件として、相手の立場・状況や性格・能力、さらにはゲームの勝利条件が明らかでなければならない。また、互いに最善のリスク回避をすることを前提に理論を展開する事から、相手が最善手を指さない相手の場合には、この理論はまったく成り立たない。
- 作中に何度も登場する事から、本作品を推理する上では、かなり重要な論理思考ではないかと推察されている。
- 悪魔の証明
- 悪魔がいることは目撃者などがいることで証明することは出来るが、いないことを証明するのは絶対に不可能だということ。ep1では戦人が一度使用しただけだったが、ep2では比較的よく登場する理論。
[編集] 漫画
本編の漫画版は、「ガンガンパワード」(スクウェア・エニックス)Vol.10(2007年12月発売号)よりep1を連載中。また、月刊Gファンタジー8月号(2008年7月発売号)よりep2を連載予定。
[編集] 本編の漫画化作品
- うみねこのなく頃に episode1 - Legend of the golden witch(作画:夏海ケイ ガンガンパワード連載中)
- うみねこのなく頃に episode2 - Turn of the golden witch(作画:鈴木次郎 月刊Gファンタジー連載予定)
[編集] 4コマ漫画
- うみねこびより。~六軒島へようこそ!!~(作画:楓月誠 まんが4コマKINGSぱれっとLite連載中)
[編集] コミックアンソロジー
アンソロジー うみねこのなく頃に(宙出版)
- ~the first case~ 2007年10月24日初版 ISBN 9784776723356
- ~the second case~ 2007年12月25日初版 ISBN 9784776723776
- ~the third case~ 2008年3月24日初版 ISBN 9784776724711
4コマ うみねこのなく頃に(マジキュー)
- 2007年10月25日初版 ISBN 9784757738140
- 2007年12月25日初版 ISBN 9784757739130
[編集] 関連書籍
- うみねこのなく頃に Episode1 真相解明読本
- 双葉社 2007年11月23日初版 ISBN 9784575164688
[編集] スタッフ
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[編集] オープニング曲
- オープニングテーマ うみねこのなく頃に
- 作編曲 - 志方あきこ
- 作詞 - みとせのりこ
- ヴォーカル&コーラス - 志方あきこ by the courtesy of HATS UNLIMITED, INC.
- レコーディング&ミキシングエンジニア - 南直行
- アコースティックギター - ジュラ
- ブズーキ、アイリッシュブズーキ - 田代耕一郎
- ヴァイオリン - 大貫聖子
- エレキギター - 伊藤浩紀
- パーカッション、マリンバ - 大石真理恵
- ベース - 大野弘毅
- リコーダー、ティンホイッスル - 安井敬
- スタジオ
- BS&T RECORDING & REHERSAL STUDIO
- Rabbit Hole Studio
- SOUND INN STUDIO
[編集] 作品
- 1. episode1 - Legend of the golden witch
- (2007年夏・コミックマーケット72発表)
- 戦人の視点で、登場する人物全員の説明と、ストーリー全体の流れなどが描かれている。登場人物の中でも、特に「真里亞」にスポットが当てられており、彼女の人格の変化などが注目すべき点である。
- 2. episode2 - Turn of the golden witch
- (2007年冬・コミックマーケット73発表)
- 序盤は、紗音の視点で話が進んでいき、譲治との過去なども描かれている。紗音・嘉音・楼座にスポットが当てられており、魔女に出会った人物が変化していく様子などが、注目すべき点である。
[編集] 脚注
- ^ 「ひぐらしのなく頃に」制作ロングインタビュー第5弾(とらのあな Web Site)