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JR西日本285系電車 - Wikipedia

JR西日本285系電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

JR西日本・JR東海285系電車
JR西日本・東海285系電車(東海道本線 早川~根府川間にて撮影)
JR西日本・東海285系電車
(東海道本線 早川~根府川間にて撮影)
起動加速度 1.8km/h/s
営業最高速度 130km/h
編成定員 6(A寝)+124(B寝)+28(普)= 158人
全長 21,670 (21,300)mm
全幅 2,945mm
全高 4,090mm
編成重量 305 t
軌間 1,067mm
電気方式 直流1,500V
編成出力 220kW×8=1,760kW
歯車比 1:6.53
駆動装置 WN平行カルダン駆動方式
電動機 かご形三相誘導電動機 (WMT102A)
制御装置 VVVFインバータ制御パルス幅変調
ブレーキ方式 発電ブレーキ回生ブレーキ併用
電気指令式空気ブレーキ(滑走防止・
応荷重・遅れ込め制御)、抑速ブレーキ
保安装置 ATS-P、ATS-SW、列車防護無線装置
備考
第42回(1999年
ブルーリボン賞受賞車両

■Templateノート 解説)鉄道PJ

285系電車(285けいでんしゃ)は西日本旅客鉄道(JR西日本)と東海旅客鉄道(JR東海)が共同開発した、動力分散方式直流寝台電車日本国有鉄道(国鉄)時代の581・583系電車以来31年ぶりの寝台電車となる。サンライズエクスプレス愛称があり、使用列車に「サンライズ」を冠する。

JR西日本の所有車両は0番台、JR東海の所有車両は3000番台で、両者は一部電動車 (M) の床下機器構成が異なる。本項ではJR東海所有の3000番台についても述べる。

目次

[編集] 概要

1998年平成10年)に川崎重工業近畿車輛日本車輌製造の3社で7両編成5本(35両)が製造された。基本設計は剣持勇デザイン研究所、内装はミサワホームが担当した。1998年にグッドデザイン金賞、1998年ブルネル奨励賞を受賞。第42回(1999年)鉄道友の会ブルーリボン賞受賞。

スピードアップを図るため、583系以来の電車方式を採用した。MT比2M5Tの7両編成を組み、電動車である3号車と5号車を除く5両が2階建て付随車 (T) である。設備は、1~2人用の個室寝台を中心とした構成で、簡易寝台(指定席扱い)の「ノビノビ座席」も用意されている。設備を寝台/座席兼用として昼夜兼行の効率的な運用を狙った581・583系と異なり、本系列は寝台(夜行)専用の設計となっている。営業最高速度130km/hは寝台列車としては日本最速である。

機器は、IGBT素子VVVFインバータ制御三菱電機東芝日立製作所製)を採用し、電動車に機器類を集中させたJR西日本の方式をベースとしている。また、予讃線愛媛県乗り入れ対策(狭小トンネル対策)もされており、シングルアーム型のパンタグラフを電動車に1基装備し、増設の準備工事もされている。ただし、JR東海の狭小トンネル対策車(身延線乗り入れ可能車)にある◆マークは入っていない。台車ヨーダンパ付きボルスタレス台車が採用されている。

外装は、をイメージした従来のブルートレインと異なり、夜明けをイメージしたベージュと赤の塗り分けとなり、両色の境に金線が配されている。また、先頭車前面と側面の数箇所に昇る太陽をイメージした「SUNRISE EXPRESS」のロゴマークが表示されている。警笛は、AW-5型空気笛に加え、681系電車と同じく「ド・ミ・ソ・ド#」の音階を奏でるミュージックホーンを備える。

客室窓は色ガラスを使用しているが、カーテンを閉めないと外側から室内が丸見えである。

[編集] 編成及び車両概要

編成
  • I編成 7両編成5本35両
    • I1〜I3(JR西日本 0番台 3本21両)
    • I4〜I5(JR東海 3000番台 2本14両)
285系電車編成図
号車
出雲市駅高松駅方面基準)
車両形式 設定寝台・席種
2階 1階 車端部
1号車・8号車 クハネ285形
(0/3000番台)
1人用個室B寝台「シングル」 1人用個室B寝台「シングル」 1〜2人用個室B寝台「シングルツイン」
2号車・9号車 サハネ285形
(200/3200番台)
1人用個室B寝台「シングル」 1人用個室B寝台「シングル」 1〜2人用個室B寝台「シングルツイン」バリアフリー対応室
3号車・10号車 モハネ285形
(0/3000番台)
1人用個室B寝台「ソロ」 シャワー室・ミニラウンジ自動販売機
4号車・11号車 サロハネ285形
(0/3000番台)
1人用個室A寝台「シングルデラックス」 2人用個室B寝台「サンライズツイン」 「シングルデラックス」利用者専用シャワー室
5号車・12号車 モハネ285形
(200/3200番台)
普通座席「ノビノビ座席」 1人用個室B寝台「シングル」・自動販売機
6号車・13号車 サハネ285形
(0/3000番台)
1人用個室B寝台「シングル」 1人用個室B寝台「シングル」 1〜2人用個室B寝台「シングルツイン」
7号車・14号車 クハネ285形
(0/3000番台)
1人用個室B寝台「シングル」 1人用個室B寝台「シングル」 1〜2人用個室B寝台「シングルツイン」
ノビノビ座席の様子
ノビノビ座席の様子
  • 本系列の最大の特徴は、編成中の多くの車両を2階建て車両とすることにより、頭上スペースを十分に確保した個室寝台を中心として構成したことである。この特徴を活用した結果、寝台のほとんどを個室B寝台「シングル」が占めている。これは従来の開放型A寝台とほぼ同じ占有面積と広い頭上空間を備えかつ個室としたもので、通常の開放型B寝台や個室「ソロ」よりも1,050円高額であるが、開放型A寝台と比べると2,190〜3,150円安い料金となっており、他の寝台列車と比べてより進化した内容とも言えることから、繁忙期には寝台券が売り切れるほどの人気を呼んでいる。ただし、床面積は開放型A寝台と同等ではあるものの、扉の内側には靴を脱ぐためのスペースがあることもあって、寝台幅自体は従来のB寝台と同じ70cmである。また、床が露出しているのはこの部分だけであり、個室内空間が広いにも関わらず荷棚の類がまったくないので(寝台横に10cm程度の幅の台があるほか、壁に同じく幅10cm程度の細いテーブル状のものがあるのみ)、旅行などで大きめの荷物を持ち込む際には注意が必要である。
  • 平屋構造となる号車(後述)とシャワー等のため余地がない4号車を除き、各車両の車端部には個室B寝台「シングルツイン」が設置されている。これは通常の2段式B寝台の上下一組を丸ごと仕切って個室にしたような構造を持つもので、通常は一人用(9,170円)として下段のみ寝台として使用するが、予約時に補助ベッド代(5,250円)を支払うことによって上段も使うことができるようになり、一人用としても二人用としても使用可能なことから一見矛盾するような「シングルツイン」という呼び名がつけられた。また、上段ベッドを跳ね上げ、下段ベッドの中央部を外すと、下段部分にテーブルと2人分の座席を使用できる。同じ設備が「トワイライトエクスプレス」や「あかつき」(廃止)にも存在する。
  • 4号車にある個室A寝台「シングルデラックス」についても、個室B寝台同様グレードアップが図られている。2階建てでかつ通路を除く車体幅すべてを使用するという空間的余裕を生かし、日本の個室寝台車ではほかに類を見ない大型の机を備えており、レール方向に配置された寝台の幅も最大級で、枕元には横になったまま見られる衛星放送対応の液晶TVが装備されている(ただし、当然ながらトンネル内など遮蔽物のある区間ではTV番組の視聴はできない)。シャワーについては同じ車両内にA寝台専用のシャワールームがあり、ここで使用するシャワーカードが車内改札の際に1枚渡される(代金は寝台料金に含まれる)。洗面所やトイレ、シャワーといった水廻り設備は他の個室と共用であるものの、ビジネスホテルに迫る設備と従来よりも広い室内空間を確保しながら、寝台料金は従来の「シングルデラックス」と同じ値段に据え置かれており、同一の料金で列車ごとに各種の設備が存在する「シングルデラックス」の中でも最も豪華なものになっている(室内空間の広さでは「北斗星」などの「ロイヤル」に匹敵し、テーブルや床の広さはそれを上回る)。
  • 3・5号車は、電動車であることから電装品を床下に搭載する。そのため、2階建てではなく通常の平屋構造で、パンタグラフを搭載することから屋根が低い。この車両については車端部のみを「シングル」とし、従来のB寝台個室と同等のスペースを備えた「ソロ」(3号車。車両中央に通路がありかつ上段へ登る階段が個室内にあるタイプで、「あかつき」(廃止)のものに類似)や、後述の「ノビノビ座席」(5号車)用車両として製造されている。パンタグラフはシングルアーム式が1基搭載されているが、増設の準備工事がなされている(ただし、当面増設予定はない)。屋根上には、発電ブレーキ用の抵抗器も搭載されている。
  • ノビノビ座席は、普通車座席指定席扱いであるが、2段構造のカーペット敷きとなっており、1人1畳分程度のスペースで区分されている(頭が来る部分の左右に隣と仕切る壁がある)。リーズナブルな料金で利用できる上に座席車と違って横になって寝た状態で移動できるため人気が高く、繁忙期には指定券が売り切れることも多い。ただし、これも「シングル」と同様に荷棚の類がまったくないので注意。

[編集] 車両運用

0番台は米子支社出雲鉄道部出雲車両支部電報略号:米イモ)、3000番台は東海鉄道事業本部大垣車両区(海カキ)の配置である。ただし、3000番台は運用上の都合から出雲鉄道部出雲車両支部に常駐し、実際の車両管理もJR西日本に委託されている。

2007年現在、東京高松間「サンライズ瀬戸」(多客期は松山に延長されることがある)および東京〜出雲市間「サンライズ出雲」で運用されている。両列車は、東京〜岡山間は併結運転となる。東京に到着した車両は、日中は田町車両センターに留置されている。併結区間では上下列車とも「サンライズ瀬戸」編成が常に前に位置し、出雲市→東京→高松(松山)→東京→出雲市のサイクルで運用されている(瀬戸大橋の強風のために「サンライズ瀬戸」号が運休になると翌日の「サンライズ出雲」が運休になったり、その逆のパターンが発生したりするのは、このためである)。

また、多客時には、予備編成を活用して東京〜広島間に「サンライズゆめ」が単独で運転される(ただし、予備編成が1本しかない関係で上り・下りの同時運行はできない)。

JR西日本車とJR東海車は、試験のため、電源車を併結した上で電気機関車に牽引させて関門トンネルを通過し、交流電化区間である九州乗り入れを果たしている(『鉄道ジャーナル』1998年10月号による)。これはあくまでも試験を目的としたものであって、この方法を用いて九州方面への直通列車を設定する予定は現時点ではなく、また581・583系時代に存在しなかったIGBT素子によるVVVFインバータ制御などの技術革新から新しい交直流型の寝台電車の製造も可能ではあるが、現在のところその計画もない。

[編集] 関連商品

関水金属 (KATO) よりNゲージ鉄道模型が発売されている。

[編集] 関連項目

[編集] 外部サイト


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