河津秋敏
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河津 秋敏(かわづ あきとし、1962年 - )は熊本県出身のゲームクリエイター。熊本県立熊本高等学校卒業、東京工業大学理学部中退。現在、株式会社スクウェア・エニックスエグゼクティブプロデューサー・元取締役・第2開発事業部長。男性。
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[編集] 来歴
1985年、スクウェアに入社(時田貴司と同期)。入社直後、マスターアップ間際の『ハイウェイスター』のデータ作成を手伝う。『ファイナルファンタジー』、『ファイナルファンタジーII』の中核に携わったのち、当時の社長宮本雅史から新発売の携帯ゲーム機ゲームボーイのソフト開発を任される。
宮本は当時爆発的な人気を誇っていたテトリスのようないわゆる「落ちものゲー」の開発を望んでいたという(Gpara.com クリエイターズ・ファイル:自分の信念を貫く事で『サガ』を作り出した河津秋敏氏)。しかし河津は「ユーザーはRPGを望んでいる」と考え、石井浩一もまた同じ意見であった。そこであえてRPGを開発しようと試み、『魔界塔士 Sa・Ga』を世に送り出し、スクウェア初のミリオンヒットを飛ばす。以降『時空の覇者 Sa・Ga3』を除く全てのサガシリーズの開発に関わり、サガシリーズの生みの親として広く知られる。
2002年ゲームデザイナーズ・スタジオの代表に就任。ファイナルファンタジーVIIのプレイステーション参入とデジキューブ設立による独自の物流構築により長く絶縁状態になっていたスクウェアと任天堂との関係を修復し、前任天堂社長山内溥の私設ファンド「ファンドキュー」からの資金提供を受けゲームキューブとゲームボーイアドバンスの連動ソフトファイナルファンタジー・クリスタルクロニクルを開発した。 2004年6月よりスクウェア・エニックスの取締役に就任。引き続き第2開発事業部長を兼務していた。
元々はFFIIIのリメイク企画に大々的に関わっていたが、2005年8月以降から、病気療養中の松野泰己に代わり、エグゼクティブプロデューサーとしてファイナルファンタジーXIIの製作統括の任にピンチヒッターとして当たっていた。現在はファイナルファンタジー・クリスタルクロニクルシリーズの製作指揮とファイナルファンタジーXIIの製作統括の任から引き続いてイヴァリースアライアンス作品の製作統括を行っている。
2007年5月23日に取締役を退任、エグゼクティブ・プロデューサーとして、開発に専念する人事を発表した。
[編集] 人物
- ファンの間からは河津神と呼ばれることもある。但し、ネタや侮蔑ではなく、純粋な尊崇の念を込めてこう呼ぶ傾向が強い。またスタジオベントスタッフのHPにもこのような表記がある。
- 大学の頃からRPGフリークであり、TRPGやボードのシミュレーションゲームをよく触れ込んでいた。当時はまだ日本語訳が出ていない頃で、ルールブックを翻訳しながら遊んでいたという。RPGの基礎を良く知り尽くしていたこの頃の経験が、後にFFやサガシリーズのコアな部分を煮詰めていき、創り上げていくに役立ったものと思われる。
- 『Sa・Ga2 秘宝伝説』攻略本『Sa・Ga2 秘宝伝説 完全クリア編』(ISBN 4-87188-100-8)のインタビューでは、おそらくネタで「1920年11月5日生まれ ヤクーツク出身」という、全くデタラメな経歴が掲載された。
- サガシリーズを始めとした数々のヒット作を生み出した敏腕ゲームクリエイターではあるが、作品に未完成の要素を残す事も数多く、中には現在でも語り草となっているものもあり、何とかしてこれらに触れようとソフトを改造するプレイヤーも生まれた。スタッフ自らがインタビューなどで未完成と答えている事もあり、これはスケジュール管理に厳しい彼の統括方針による所が大きいと推察される。
- 自身のゲーム全般に深く関わるため、名目上のクレジットと実際に行なった仕事は必ずしも一致しないので注意が必要である。例えば『サガ フロンティア2』などはプロデューサーという事になっているが、シナリオも一人でほとんど全てを書いており、開発中に全体の完成像を知っているのは河津だけだったと言われる(付け加えるなら、スクウェア社の幹部も兼任していた筈である)。これもスタッフに先入観を持たせない彼の製作方針によるもの(しかしスケジュール的に負担が大きく、スタッフからの評判はあまり芳しくなかったらしい)。
- シリーズ紹介から『時空の覇者 Sa・Ga3』が無視されることがあるため(『アンリミテッド:サガ』制作発表Flashなど)、河津が直接携わった作品ではない『時空の覇者 Sa・Ga3』の抹殺を図ったものと見る向きもある。しかし河津個人の積極的な悪意や恣意が働いての事とする根拠はない。
- 「FFでインフラ調整できるから、自由にサガのようなゲームを作れる」「2度とFFのナンバリングには関わるとは思ってなかった」等と語っているが、実はFFVIII発売当時はXIかXIIに関わる予定があった。そして結果的にFFXIIのピンチヒッターにあたったが、「火のついたFF12のスタジオに水を刺す、消防士のような仕事に不満はないか?」と海外インタビュアーに皮肉られ「仕事には様々なセクションが存在する」と渋い顔で会話を濁した。
- FFIIIの導師を猫耳姿にしたのは河津の発案であると言われている。
- サガフロンティアのディスクには河津自身によるメッセージの入ったファイルが存在している。
- 意図的なものとは言えないが、プレイヤーの中では独特のプレイスタイルやテキストが半ばネタのように扱われる事も多い。『魔界塔士Sa・Ga』の最終ボスがチェーンソーで一撃死、『ロマンシング サ・ガ』でのアイスソード強奪イベント、『ロマンシング サ・ガ3』で主人公を罠にハメておきながら平然と「私が町長です」とのたまうキャラクター等が有名。
[編集] 主な関連作品
- ファイナルファンタジー(ゲームデザイン、シナリオ)
- ファイナルファンタジーII(ゲームデザイン)
- 魔界塔士 Sa・Ga(ディレクター、シナリオ)
- Sa・Ga2 秘宝伝説(ディレクター、シナリオ)
- ロマンシング サ・ガ(ディレクター、シナリオ、システムデザイン、バトルデザイン)
- ロマンシング サ・ガ2(ディレクター、ゲームデザイン、シナリオ)
- ロマンシング サ・ガ3(ディレクター)
- サガ フロンティア(ディレクター)
- サガ フロンティア2(プロデューサー、シナリオ)
- レーシングラグーン(プロデューサー)
- 聖剣伝説 LEGEND OF MANA(プロデューサー)
- はたらくチョコボ(プロデューサー)
- ワイルドカード(ディレクター、ゲームデザイン)
- ブルーウィングブリッツ(プロデューサー)
- FF:U 〜ファイナルファンタジー:アンリミテッド〜<アニメーション作品>(ベースコンセプトプランニング)
- アンリミテッド:サガ(製作総指揮)
- ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル(プロデューサー)
- ロマンシング サガ -ミンストレルソング-(製作総指揮)
- コード・エイジ コマンダーズ(エグゼクティブプロデューサー)
- ファイナルファンタジーXII(エグゼクティブプロデューサー)
- ファイナルファンタジーXII レヴァナント・ウイング(エグゼクティブプロデューサー)
- ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争(エグゼクティブプロデューサー)
- ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リング・オブ・フェイト(エグゼクティブプロデューサー)
- ファイナルファンタジータクティクス A2 封穴のグリモア(エグゼクティブプロデューサー)
- 小さな王様と約束の国 ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル(エグゼクティブプロデューサー)
- ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル クリスタルベアラー(エグゼクティブプロデューサー)
- ラスト レムナント(エグゼクティブプロデューサー)