UX/4800
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UX/4800とは、NECの自社UNIXワークステーション(EWS4800)/サーバ(UP4800)のOSのこと。 1994年にEWS-UX及びUP-UXの統合OSとして設定され、NEC製UNIXの新たなブランド名として使用された。 当時としては、いち早く取り組んだ64Bit対応や他UNIXにまで影響を与えた32BitカーネルのAP空間比率の調整機能など先進的な機能を提供していた。
[編集] 経緯
EWS-UX/UP-UXの統合という発展的な発表であったが、Windows系ワークステーションによるEWS4800シリーズの急速な売り上げ低下に伴う開発リソースの統合化/リストラクチャリングであった。そのため、実態としてはUP-UXの継承であり、EWS-UXの破棄を意味していた。
元々オフコンやACOS-2及びN5200など小型サーバ系に強いというNECの特性上、UX/4800は国産UNIXの最大ブランドとなっていたが、当時収束したUNIX戦争とその後のWindowsのシェアアップにより激化し始めていた商用UNIX生存競争の結果としての縮退であり、国産UNIXの斜陽化の現れであったようだ。
当時の国産UNIXは、UX/4800を筆頭に富士通のUXP/DSなどほとんどがSVR4をベースにしており、同ベースで当時としては価格性能比が高く、UNIX文化の中心的存在であったSUNのSolarisに置き換えられ、急速に勢いを失っていく。
まるで、国産UNIXの生みの親であったΣプロジェクトが、その国産UNIXから見放されたときと同じように。
この1年程前までに、日立/富士通は自社サーバと同列に外資ベンダのUNIXサーバをOEMで扱うようになっていたが、NEC自体もUP4800の性能向上を維持するには開発費の増大が見込まれたため機能強化が先細りとなり、翌96年にHPのOEMを発表している。
その後、UX/4800及びUP4800の機能強化は細々と続けられたが、最終的に2002年のHP-UX互換ライブラリの提供、R12000の対応以降、完全機能凍結された。それは事実上、NEC及び国産ベンダの商用UNIXの完全自社開発からの撤退であった。
その後、急速に採用数が減って、2008年現在、ほぼ絶滅状態である。
ただし、このOSで育ったエンジニアがオープンソースプロジェクトにてRubyやStrutsなどの開発で主力を務めており、国内のソフトウェア産業に与えた影響は大きい。
[編集] バリエーション
- UX/4800
- 32bit版。従来のEWS-UX/V(Rel4.2MP)とUP-UX/V(Rel4.2MP)を統合したもの
- UX/4800(64)
- 64bit版。R10000およびそれ以降のプロセッサを搭載したシステムでのみ動作