UP-UX
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UP-UXとは、NEC製サーバUP4800用UNIX-OSのことである。
[編集] 歴史
グラフィック用ワークステーションのCAD/CAM分野への拡大と同時期、UNIXによるインターネット環境が整いつつあり、BSD系の特化を行ったSVR4系UNIXが要求されていた。 また、各種企業内システムにおいて、高価な汎用機やミニコンをオープン化といわれたUNIX機による代換え(オルタネイトと呼ばれた)する事を目指し、1980年代後半から現在のLinuxサーバまでの連綿とした流れにおいて、一時期、国産UNIXとしての主役を務めた。
古舘伊知郎による「四方八方、4800シリーズ」などのコマーシャルもあり、郵政省や通産省などの主要官庁系システムにも採用され、「NECのオープン化の旗印」とされていた。そのため、国産UNIXといえばNECのUNIXという時期もあった程である。
当時、SONY及び住友電工、DECなどとMIPSアーキテクチャのCPUによるバイナリ互換協定(ABIの共通化を図るMIPS-ABIやOCMPなど)を結び、さらにシェアを広げようとしていたが、途中で協定の主役の一人であるDECがAlphaチップを発表し、脱落した。さらに、1993年頃から商用UNIX間の生存競争が激しくなり、NECのワークステーション用UNIX-OSとの統合(実態はEWS-UXの廃止・UP-UXの存続)と開発者や体制のリソース集約が行われ、UX/4800という名称に変更された。
その後、性能向上を維持するには開発費の増大が見込まれたため機能強化が先細りとなり、最終的にはHP互換ライブラリの提供によるHP-OEM化への切り替えを実施後、機能凍結となり、急速に採用数が減って現在はほぼ絶滅状態である。
ただし、このOSで育ったエンジニアがオープンソースプロジェクトにてRubyやStrutsなどの開発で主力を務めており、国内のソフトウェア産業に与えた影響は大きい。