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ACOS-2 - Wikipedia

ACOS-2

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ACOS-2(エイコスツー)は日本電気が販売するメインフレーム用のOS:ACOSの一つである。

目次

[編集] 概要

他の2つのOSともども同社のメインフレーム事業草創期にハネウェル社から導入した技術が元となっている。

なお、ACOS-2の兄弟分はACOS-4であり、ACOS-6とは、その構造が大きく異なっている。この理由については、ACOSの項に詳しい経緯が記述されているので参照されたい。なお、ACOS-2は、ハネウェル社が当初から開発していたOSを元に初期版が開発されたOSである。

2005年現在の名称はACOS-2/MP、対象となるハードウェアはi-PX7300Vである。

[編集] メモリ管理方式

[編集] 変遷するメモリ管理方式

初期のACOS-2(および搭載ハードウェア)においては、仮想メモリ機構は採用されておらず、実装しているメモリのみで動作していた。その後、プログラム格納部分とデータ格納部分が1つのプログラム毎に1つづつ与えられる形式のセグメント方式へ経て、ACOS-4と共通なセグメント化ページング方式のメモリ管理へと変更されていった。

現在のACOS-2は、インテル(R)Xeon(R)プロセッサMP上にて、AEF(ACOS-2 architecure Execution Firmware))経由で実行されているが、恐らくセグメント化ページング方式のメモリ管理を継承しているものと思われる。

[編集] 使用文字コード

内部/外部ともに、1バイトを8ビットで扱うEBCDIC-カタカナコードである。ACOS-4とは共通の文字コードであるが、ACOS-6とは異なる。(データ交換を行なうためには、文字コードの変換が必要)

日本語は、JIPS(E)コードと呼ばれるコードを使用する。これはNEC独自のコード体系であり、JIS C 6226 1978の上位下位各バイトに対して『EBCDIC変換』という特殊な変換をして得られる文字体系である。また、ACOS-4もこのJIPS(E)を標準の文字コードとして利用する。

[編集] ファイルシステム

ACOS-2のファイルシステム(ハードディスク上のファイル管理方法)は、UNIXなどで採用されているディレクトリ(階層構造)にはなっておらず、実装しているハードディスクに格納されている全てのファイルが、それぞれのハードディスクごとに存在するVTOCと呼ばれる管理領域に登録される仕組みになっている。
ディレクトリ構造に慣れた方にとっては、ハードディスクごとにrootディレクトリが存在し、その直下に、当該ハードディスクへ記録されている全ファイルが登録されている状態に見えるかもしれない。(実際の記録方式は異なるが)

ファイル名は英字大文字と数字、さらに"@"文字がファイル名の先頭と最後を除く位置に使用できる。ファイル名の最大長は16文字。
なお、"@"文字の直後に特定の文字列を含むファイル名は、含めた特定の文字列ごとに使用目的が対応づけられているファイル(通常、ライブラリファイル)として、ACOS-2に予約されている。(ファイル名に関する仕組みは、ACOS-4とは異なる)

[編集] 標準入力および標準出力

ACOS-2にはACOS-4と同じく、SYSINと呼ばれる標準入力およびSYSOUTと呼ばれる標準出力が装備されている。
ただし、JCLに同梱されている入力データとSYSINからデータを読み込むプログラムとの関連付け方(JCLの記述方法)や、SYSOUTを使用する為のJCLなどの記述方法に違いがある。

1つのプログラムが使用できる標準入力は1つのみ。標準出力も通常1つ。

[編集] 使い勝手の異なる兄弟OS

現在では改善されたと思われるが、同じハネウェル社で当初から開発された技術を元に、日本電気にて開発されたOSであるにも関わらず、小型機用OSであるACOS-2と、中型機(およびそれ以上)用OSであるACOS-4には、いくつか使い勝手の異なる部分があった。(単なる処理能力規模の大小や、想定されている利用目的だけでは説明し難い仕様異差)

  • バッチ(一括処理)型システム(→コンピュータシステム)として使用する際、一括処理を行なう単位の概念が、ACOS-4に比べて1階層多い。(ACOS-2はアクティビティ→ジョブ→ジョブステップの3階層なのに対し、ACOS-4は、ジョブ→ジョブステップの2階層)
  • TSS(タイムシェアリングシステム)の操作作法(端末操作手順など)やオペレータ制御卓の使い勝手(遠隔地からのオペレータ制御卓の操作など)の異差に習熟する必要がある。
    など

この使い勝手の違いは、ACOS-2やACOS-4の開発当初にハネウェル社から供与を受けたコンピュータ関連技術等に、何らかの違差があった為に発生したものと推測される。(参考:→GCOS

ACOS-4が、当初の中型機から大型以上へとハードウェア展開した理由も、ACOS-6との間にある、操作・運用・プログラム作成上の習熟の壁が影響した為と考えられる。(使用文字コードファイルシステムなども根本の骨組みが異なる為、移行を阻む壁の高さは、ACOS-2からACOS-4へ移行する場合より、はるかに高い)

[編集] 歴史

  • ACOS-2
  • ACOS-2/EF (R1.1 - R4.1)
  • ACOS-2/EVP (R1.1 - R5.1)
  • ACOS-2/XP (R1.1(1994年6月末に公開)- R13.1(2001年4月末に公開;2005年3月31日付で保守停止))
  • ACOS-2/MP (R1.1(2000年7月末に公開)- R8.1 第1次強化版(2006年11月末に公開;最新版))

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

[編集] 参照文献・出典元情報に関する補足

本項目(ACOS-2)に関する記述は、外部リンクの項に示した情報以外に、実機に付属していた複数の説明書、および、実機を使用する事により得た情報を元に作成している。(特に、ACOS-4ACOS-6と関連付けて記述している部分)

記述の一部が、現行機種とは異なる古い内容になっている場合があり得る事をご了承願いたい。


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