PhysX
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PhysX(フィジックス)とは物理演算に特化したSDKライブラリまたは専用チップの総称。開発元は米カリフォルニア州に本拠を置くAGEIA社。プレイステーション3にライブラリの一部が供給されている。
日夜進化を続けるコンピュータゲームにおける、浮動小数点演算などの物理演算をCPU、GPUから肩代わりする事で動作スピードの上昇を目指したもの。このチップを導入する事で現在のパフォーマンスでは不可能に近い「爆発によって飛び散った破片を毎回ランダムに演算する」等の複雑な描写を、動画の読み出しではなく、実際にその場で演算して描写することが可能になるとされている。
一部ゲーム(FPSなど)ではPhysXボードに対応したゲームが出始めているが、依然としてごく少数である。一方で、開発ツールであるPhysX SDKは1万人以上のアクティブユーザーを抱え、PhysXソフトウェアライブラリは家庭用・PC用ゲームの双方に渡って140タイトルで採用されるなど、開発側からの注目は大きい。
2008年2月4日に、グラフィックボード・GeForceシリーズを開発するNVIDIAがAGEIAを買収したことにより、PhysXとGeForceシリーズと統合が発表された[1]。
[編集] 問題点
PhsXの発表当初、以下のような問題があった。
- 現在のところ、導入しても対応しているゲームの挙動に影響があるだけでパソコン自体のパフォーマンス向上には関係ないこと
- ゲームが対応していなければPhysXチップの導入には意味が無いこと
- 知名度が低いこと
- 知名度が低い結果、ゲームはPhysXに「対応している」以上のことができないこと
- たとえば、PhysXによって爆発の破片によるダメージ判定なども出来るが、それはネット対戦などにおいては全てのプレーヤーがPhysXを導入していなければ対応が難しい(ローエンドマシンでは難しい等ではなく、導入しているかが問題になる為、ハードルが高い)
- その結果ますますPhysXの知名度が上昇しないという悪循環が起きている。
しかしこれらの問題の多くは、ゲーム用GPUで大きなシェアを持つNVIDIAのGeForceシリーズの8シリーズ以降の製品でPhysXを内蔵することで解決したため、これからに期待される技術である。