Peco
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Peco(ピィコ、ピコまたはペコ)はイギリスの鉄道模型メーカー。
社名の読みは「ピコ」が一番近いが、同業他社でドイツに「Piko(ピコ)」があることから区別するため、また機芸出版社発行「Nゲージマガジン」の記事では「ピィコ」と表記されていたため、「ピィコ」と発音・表記することが多い。以下、この項では「ピィコ」で統一する。
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[編集] 概説
主に線路を供給しているが、ストラクチャーも扱っている。Zゲージから1番ゲージまで幅広くラインアップされている。
[編集] Nゲージ用
[編集] フレキシブルレール
Nゲージでは道床付レールが一般的であるが、レイアウトやジオラマなどでは、自由にカーブが設定できるフレキシブルレールを使用することも多い。しかし、国内メーカーから市販されているレールのほとんどは木枕木であり、幹線などで主流のPC枕木の製品は、KATO(関水金属)の「ユニトラック」、TOMIXの複線レールしかなく、いずれも道床付レールである。
ピィコからはPC枕木のフレキシブルレールも製品化されており、日本国内でも入手が容易(後述の関連項目の通り、出版社が日本総代理店のため、書籍も扱う模型店なら取り寄せ可能)なことから、日本でも多くの愛用者がいる。『鉄道模型趣味』や『Nゲージマガジン』の編集部執筆の記事で、Nゲージの車両がPC枕木のレールに乗せてあるのも、ピィコ製のレールである。
固定方法も特徴的で、通常は木やコルクの道床などに釘で固定するが、ピィコでは自社のレールに適合したスポンジ道床を製品化している。接着剤で固定する方法が推奨されているが、レール交換の際には道床ごとの交換になることもあり、この点では面倒であることから、他社のレールと同様に釘で固定しているユーザーも多い。走行音はスポンジの吸音効果により静かに感じられる。
特筆すべきものとしては「ピィコNファイン」と呼ばれる製品がある。枕木パーツの掘りこみを深くすることでレールの背の高さを低く見せるようになっているもので、枕木上に見えるレールの高さが1mm程度低くなっている(たかが1mmと思われそうであるが、実物換算では15-16cmである)。レール断面を見ると、通常のレールが逆T字形になっているところが「土」という字に近いものになっている。レール自体の高さは変わらず、ジョイナーもそのまま利用可能。このレールだけで敷設している限りは実感的に見えるが、他のレールと接続する際には、道床高さの調整が必要である。また、線路終端などでは、実物のレールからかけ離れているレール断面が見えると実感的でなくなるので、ある程度の調整や多種のレールとの併用も検討することになる。なお、「ピィコNファイン」はNゲージだけの製品である(HOゲージより縮尺の大きいスケールではレールの高さは目立たないため)。
[編集] 分岐器
分岐器は選択式となっており、トングレールが向けている側の線路(分岐側)にしか通電されない(国内メーカーではKATOユニトラック・TOMIXが同じ方式である)。道床なしの分岐器では分岐側でなくても通電されるものが多く(国内メーカーでもKATOの道床なし分岐器はそうなっている)、絶縁ジョイナーなどを使用して「ギャップ」と呼ばれる通電境界を設定する必要があるが、ピィコではリバース配線など、どうしても電気的に分離しなければならない場合以外は、ギャップの設定は不要である。 トングレール部分が左右で独立しており、壊れやすいので、扱いには若干注意を要する(車両走行だけなら問題はない)。
[編集] ストラクチャー
基本的にはヨーロッパ各国向けのものが多いが、ホーム側壁パーツは、日本型車両向けのレイアウトでも利用可能である。これは、ホーム側面部分のみを発売しているもので、曲げやすい素材を使用しているのでS字に曲がったホームを再現するのに適している。レンガ積みからコンクリート製のものまであり、レールと同様にレイアウトのシチュエーションによって選択することになる。ホーム上面についてはプラ板から自分で切り出して作成する。交換や補修の際にホーム全体を撤去しなくてはならなくなるという欠点は、スポンジ道床と同様である。
[編集] 車両パーツ
2軸貨車用の足回りキットが発売されている。キットに含まれるのは台枠部分・車輪(プラスチック)・軸受・アーノルトカプラー・ウエイトのみ。台枠長さは35mm程度(バッファを除いた寸法)で、かなり小型の車両になる。カプラーはスプリングを使用しない方式で、他の方式のカプラーにするには、少し工夫が必要になる。
[編集] 関連項目
- 機芸出版社 - 鉄道模型雑誌の出版社だが、ピィコの日本総代理店でもある。
- Peco Publications - ピィコの公式サイト(英語)