Mk19 自動擲弾銃
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Mk19 自動擲弾銃(じどうてきだんじゅう)は、ベルト給弾方式の自動擲弾発射器(グレネードマシンガン)である。ベトナム戦争以来運用されている。
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[編集] 概要
Mk19は、40mm擲弾を最大で毎分300-400発の連射速度で発射し、持続連射速度は毎分40発程度の性能である。本体重量は33kg。最大射距離は2200mだが、有効射程は1600m、照準は1500mまでの目盛となっている。75m未満の射距離では、射手みずからが被害にあう可能性がある。銃口のフラッシュハイダーの効果と発射ガスの少なさから、射撃位置の秘匿性に優れている。AN/TVS-5夜間照準具の使用で、夜間でも射撃可能である。
使用される弾薬は40×53mm擲弾であり、M203 グレネードランチャーの40×46mmとの互換性はない。M203は技術的には「低速度」擲弾に分類され、主に対人用の榴弾を射撃する。Mk19は「中速度」であり、対人・対装甲両用の多目的榴弾を射撃する。
主な使用弾薬はM430多目的榴弾である。この弾薬の危害範囲は、弾着地点から半径5m以内の人員を殺害、半径15m以内ならば負傷する。直撃ならば約5cmの装甲を貫通でき、歩兵戦闘車や装甲兵員輸送車に有効な打撃を与えられる。集団で行動する歩兵に対して特に有効である。弾薬は32発から48発をまとめて一つの金属容器に収納し、その重量は20kgから30kgである。
Mk19は、Mk18手動多目的擲弾銃の後継装備品である。
[編集] 構造
作動原理はブローバック・オープンボルト方式で、レバーを倒すと弾薬は機械的に薬室へ給弾される。引き金を引くと、ボルトが閉鎖して撃針が開放され撃発、弾丸が射出される。発射ガス圧を受けたボルトが後退して排莢と装填を行う。 この作動方式は、まれに射手を事故に巻き込むことがある。弾詰まりを起こした場合、射手は薬室から弾丸を抜き出すが、このときにボルトが閉鎖してしまうと弾丸が炸裂する場合があり、近隣の人員を死傷させる。
生産は、ジェネラル・ダイナミクスおよびサコー・ディフェンスが行っている。
[編集] 運用
元々はアメリカ海軍がベトナム戦争時に、メコン川の哨戒艦艇に搭載したものであるが、改修を重ねてアメリカ陸軍でも運用されるようになった。射撃は通常1個班で行い、三脚または車載銃架に搭載される。主な搭載例は、海軍の哨戒艦艇およびハンヴィー、ストライカー装甲車、ジープなど多数にわたる。陸軍では12.7mm重機関銃M2と選択されて使用される。
イスラエル国防軍も採用しており、歩兵および機械化部隊が運用している。
スウェーデンは、Grsp 40mm自動擲弾銃としてMk19のライセンス生産を行っている
ベトナム戦争ほか、湾岸戦争(1991年)およびソマリア内戦(1993年)でもアメリカ軍が使用している。現在、イラク戦争でも運用中である。