LOGO
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LOGO(ロゴ)は、1967年に開発されたプログラミング言語で、特に作図能力に優れている。数学者で発達心理学者のシーモア・パパートによって開発された。語源はギリシャ語の logos (言葉)である。
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[編集] 概要
関数型プログラミング言語のLISPを原型としている。入出力関連のコマンドもポートしている。
コンピュータの使用を通じた児童の思考能力の訓練を目的としており、主に8歳から12歳の児童にも扱い易いよう配慮された豊富なグラフィック関連のコマンドが特徴である。主な使用者は学生、教師が想定された。使用目的としては次のものが挙げられる。
- プログラミング入門
- タートルグラフィック
- 研究と講義
図形の描画は、画面上の絶対座標ではなく、タートル(亀)と呼ばれるカーソルを基準点とした相対座標(回転角度と進行距離で指定)で行うことができる。子供は、自己と一体化しやすいタートルを操作してその軌跡を図形として描いたり色を塗ったりして楽しむ事が簡単に出来る。
コマンドは主に、タートルに対する命令の形で行われる。元々は単純なロボットに対する操作をコンピュータ上で再現した物であるため、ロボット操作との親和性が非常に高い。このロボット(実際の装置としての)は1969年にマサチューセッツ工科大学(MIT)で最初のものが開発されたが、これはLOGOの実行画面上に示されたタートルと、基本概念の上でそう大きく変わるところは無い。現在の実装の多くはロボット制御ができるものが多い。
本来のコマンドは英単語を基本としているが、各国語に移植された結果、様々な言語を元にしたコマンドが開発されている。
[編集] 例:正三角形を画面上に書くプログラム
コマンドで逐次入力しても良い。
英語環境 | 日本語環境 | 意味 |
---|---|---|
forward 100 |
まえへ 100 |
今向いている方向へ100進む |
right 120 |
みぎへ 120 |
向きを右へ120度回転 |
forward 100 |
まえへ 100 |
今向いている方向へ100進む |
right 120 |
みぎへ 120 |
向きを右へ120度回転 |
forward 100 |
まえへ 100 |
今向いている方向へ100進む |
right 120 |
みぎへ 120 |
向きを右へ120度回転 |
これでタートルの移動した軌跡として、正三角形が画面上に出来上がり、タートルの向きも元通りとなる。さらに、以上のプロシジャ(手続き)では[forward 100 right 120]の操作が3回繰り返されていることに気づく。
関数定義・条件式・ループ・数値計算・文字や値の入出力ももちろん可能であり、一定の動作を繰り返させたり、逐次入力によって動作を変更させられる。また、再帰呼び出しを活用してコッホ曲線やヒルベルト曲線、二進木を簡単に描くことができるのもLOGOの大きな特徴である。教育現場では一般的に、子供に思い思いの図形を定義させ、図形に潜んでいる規則性に気づかせるというような指導が行われている。
[編集] 各国での実装
今までに160以上のLogoの実装が作られている。商用のものもあるが、多くは大学等の研究機関で開発された。商用のものでは、当時互換性がなく各々のメーカーが独自の仕様でシェアを競っていた8ビットパソコン(特にホビーパソコン)の分野で、「子供にもLOGOを通してコンピュータプログラムの勉強を」という付加価値により売上増大を期待して、自社製パソコンに移植した製品群も見られる。
- ComseD Logo
- Logo
- 3-D Logo
- Acornsoft Logo
- ACSLogo
- AJLogo
- Amiga Logo
- Apple Logo
- Apple Logo II
- Apple Sprite Logo
- ARLOGO
- Atari Logo
- aUCBLogo
- BBN Logo
- BBN PDP-10 Logo
- Berkeley Logo
- COCO Logo
- Comenius Logo
- Commodore Logo
- Cricket Logo for YoYo
- DFP Logo
- DL Logo
- Dolittle
- ドリトル
- DR Logo
- Drape
- E-Slate Logo
- Edinburgh Logo
- Elica
- ExperLogo
- FindOut
- 日本語による、ベネッセコーポレーション
- FMSLogo
- Fujitsu FM-8 Logo
- ホビーパソコンFM-8(富士通製)向け
- Galapago
- General Turtle 2500
- Geomland
- Ghost
- GLogo
- Graphic Logo
- Harward (PC) Logo
- Helios
- Hiragana Logo
- ひらがなロゴ
- HoneyLogo
- HyperLogo
- IBM Logo
- Imagine
- JavaLogo
- JFLogo
- jLogo
- Krell Logo
- KTurtle
- Ladybug
- LCSI Logo
- LEGO Logo
- レゴ・マインドストームのロボット制御用Logo
- LGS
- LGSW
- Lhogho
- Liogo
- LLOGO
- Logo
- Logo.Net
- Logo fuer den PC
- Logo in Scheme
- Logo Graphico
- Logo Learner
- Logo nyelv
- Logo PLUS
- Logo Turtle Graphics
- Logo++
- Logo-in-Scheme
- Logo3D
- Logob1
- Logob2
- LogoChip Logo
- LogoS
- Logotron
- LogoWriter
- 現在はロゴライターWin 4、LCSI Logoの日本語版
- LSL Logo
- LSRHS Logo
- LXLogo
- Mach Turtle Logo
- MacLogo
- MacStarLogo
- MegaLogo
- Microworlds
- マイクロワールド
- Microworlds Ex
- マイクロワールド、LCSI Logoの日本語版、現行製品、FCマネージメント
- Microworlds Ex Robotics
- Microworlds JR
- Microworlds Pro
- Mini Logo
- MIT Logo
- MIT PDP-11 Logo
- MonoLOGO
- MSWLogo
- MSX Logo
- Multi-Logo
- Music Logo
- NetLogo
- Object Logo
- Open Logo
- OpenStarLogo
- Palm Logo
- Pascal Logo
- PLOGO
- PC Logo
- PCW Logo
- PGS
- PIC Logo
- P_Logo
- Papy Logo
- PowerLOGO
- PowerMath Logo
- ProLOGO
- Pure Golo
- PyLogo
- Quick Logo
- QLogo
- Rabbit Logo
- rLogo
- RLS
- RM Nimbus Logo
- Scheme Logo
- Screen Turtle 2
- SeeLogo
- SharpLOGO
- Sinclair Logo
- SmartLOGO
- Sprite Logo
- StarLogo
- StarLogo for YoYo
- StarLogoT
- StarLogo TNG
- SuperLogo
- Terrapin Logo
- Terrapin Graphics
- TGS
- TI Logo
- TinyLogo
- TKTSLogo
- TLC Logo
- TopLogo++
- Tortue
- Trend Logo
- Turtle
- TurtleTracks
- TurtleTracks.net
- UCBLogo
- Visual Logo
- VLogo
- VRMath
- Waterloo Logo
- Web Turtle
- Win-Logo
- WinLogo
- XLogo
- XLogo
- xLogo
- Yellow Brick Logo
- YoYo
- Zlogo
これらの実装にはお互いに完全な互換性はない。これらはいろいろなアイディアや技術によって実装された。例えば、以下の部分には独自の変更が加えられたものがみられる。
- 音楽とグラフィックス
- 並列処理
- オブジェクト指向
オブジェクト指向がタートルに起源を持つことはよく知られている。また、シミュレーション用の言語として複数のタートルを同時に扱うことができるNetLogo,StarLogoはよく使われる。学習者の学習環境として思考の表現方としての使用には、SqueakのeToys、MITのScratch、カーネギー・メロン大学のAlice、そしてElicaはその可能性を競い合っている。
[編集] 関連項目
- SMC-777 - 同言語環境(DR LOGO)が標準でサポートされていた。
- N88-BASIC - NECの初期のパソコンにはタートルグラフィック機能を実装したBASICがついていた。
- UCSD Pascal - LOGOと同様に教育用として開発された言語で、タートルグラフィック機能が実装されていた。
- 知育玩具 - 遊びを通して教育ないし知能をトレーニングする玩具。LOGOも広義の知育玩具である。
[編集] 外部リンク
- Logo Foundation - ロゴ情報の基本である。英語
- ロゴ情報室 - Windows環境で動作するLOGOプラットフォーム「ロゴ坊」がフリーウェアで提供されている。
- MSWLogo, An Educational programming language - MSWLogo配布ページ
- ComeniusLogo - ComeniusLogo配布ページ
- ドリトル - 学習環境ドリトルの情報サイト
- ソフィア大学Elica - ソフィア大学Elicaは最も活発なサイトである。
- HyperLogo - HyperLogo配布ページ
- Imagine - Imagine配布ページ
- Logo-in-Schme - Logo-in-Schme配布ページ
- マイクロワールド - LCSI Logoの日本語版、現行製品、FCマネージメントのサイト
- NetLogo - ノースウェスタン大学NetLogoのサイト。教育用、シミュレーションモデリング用
- PLOGO - フランス製のLogo配布ページ
- rLogo - rLogo配布ページ
- StarLogo - MITのStarLogo配布ページ、教育用、シミュレーションモデリング用
- TerrapinLogo - TerrapinLogoのサイト
- TinyLogo - Palm用Logo
- UCBLogo - カルフォルニア大学バークレー校のLogo
- Win-Logo - Win-Logo配布ページ
- xLogo - xLogo配布ページ