FRONT MISSION3
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ジャンル | ドラマティックシミュレーションRPG |
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対応機種 | プレイステーション |
開発元 | スクウェア |
発売元 | スクウェア |
人数 | 1人 |
メディア | CD-ROM1枚 |
発売日 | 通常版:1999年9月2日 ミレコレ版:2000年9月28日 PSoneBooks版:2002年1月17日 アルティメットヒッツ:2006年10月5日 |
価格 | 通常版:6,800円(税抜) ミレコレ版:3,800円(税抜) PSoneBooks版2,500円(税抜) アルティメットヒッツ:1,500円(税抜) |
対象年齢 | CERO B(12歳以上対象) |
『FRONT MISSION3』(フロントミッション サード)は、1999年スクウェア(現スクウェア・エニックス)より発売されたゲームソフト。正式名称は「front mission 3」。ジャンルはシミュレーションRPG。
目次 |
[編集] 概要
土田俊郎ディレクション、米坂典彦の脚本、山田章博のキャラクターデザイン、葉山宏治と松尾早人の音楽などにより人気を博したフロントミッションシリーズの第3作目(外伝である『GH』『FA』を含めると第5作目)。
2008年現在、FMシリーズ中唯一の「ダブルフィーチャーシナリオ」を採用しており、「アリサ編」と「エマ編」に分岐する。日本国内では、1999年9月2日にプレイステーション(以下PS)用ソフトとして発売された。その後、2000年に「ミレニアムコレクション」、2002年に「PS one Books」、2003年に『フロントミッション ヒストリー』(『1ST』、『2nd』、『3rd』の同梱セット)、2006年に「アルティメットヒッツ」として再販を重ねている。
それぞれパッケージが異なるが、ゲーム内容には変更はない。日本以外で、北米でも発売されている。売上本数は約30万本(日本国内)。キャッチコピーは「さらに深く、速く、リアルに。完成された第三のドラマ。」
[編集] ゲーム内容
“兵器”M.I.D.A.S.と人工的に生み出されたイマジナリーナンバーの人類への逆襲が主題。当時から問題になった遺伝子操作問題や、巨大化してなお旧来と変化の無い国家構造等から“人間の存在とは何か?”という重大な問題を扱っている。
西暦2112年の物語を描いた本作は、第5作『FRONT MISSION5 Scars of the War』のストーリーと関連が深い。また、シリーズ中、最新の時間軸を扱っている(本作の3ヶ月前の物語が『5th』終盤(2112年7月9日アラスカ)。
主人公は19歳の青年であり、横須賀の軍基地で発生した爆発事件に巻き込まれ、世界をも巻き込む陰謀に仲間とともに立ち向かう。
[編集] ゲーム音楽
本作は時代設定が第2作よりも未来であることから、葉山宏治は第2作よりも切なく、かつそれとは逆に爽快な志向で作曲した。この作品の音楽もまた人気が高いが、その中でも松尾早人のオープニング兼最終決戦時の『決戦』はクラシカルかつ壮大なメロディで人気曲である。
松尾早人が作曲した通常戦闘の曲『侵略』は、岩崎英則によりアレンジされ『FMO』での通常戦闘曲や『5th』のサバイバルシミュレーターの曲として使用されていることもあり、シリーズ中かなりの頻度で登場する曲となっている。
[編集] ゲームの特徴・システム
本作は均等な熟練制やスキル修得システムの導入により、シナリオの進行に従って「ラスボスを倒す」という本来の目的以外に、これらのシステムを利用して最強のキャラクターを育てるというやり込み目的で遊ぶこともできる。
戦闘シーンの簡略化がなされたことにより、マップのグラフィックが前作と比べてさらにリアルになっている。人物やヴァンツァー・戦車・ヘリのHP・AP・スキル等を表示するステータスウィンドウのフォーマットも本作で確立され、以降の作品も本作をほぼ踏襲したフォーマットが採用される。
以下に、本作で取り入れられた主なシステムを挙げる。
[編集] ダブルフィーチャー・シナリオ
序盤の何気ない選択肢から、シナリオは「エマ編」と「アリサ編」の二編に分かれ、過程も結論も大いに異なってくる。同行するヒロインが決まるだけでなく、主人公の所属勢力も大別すると「エマ編」ではU.S.N.、「アリサ編」では大漢中といった二大国家勢力のどちらかにつくことになることからも窺い知れる。
よって、一方のシナリオで味方だった人物も、もう一方のシナリオでは敵となって立ちふさがると言うことも多々ある。
[編集] 準フリーパーティ
主人公を含む仲間キャラクターをある程度自由に選び、パーティを自由に編成するキャラクターメイキングのシステムが取り入れられている。これがより一層自分で物語を作る雰囲気とキャラクターへの感情移入を増した。
パーティの編成はミッション開始前に行う。最終的に仲間になるのは8人であり、一マップに参戦できるのは最大4人である。ただし、必ずしも4人で戦闘しなければならないわけではなく、主人公一人もしくは主人公抜きでも戦闘をすることも可能。
[編集] 戦闘システム
本作は戦闘システムでも新要素がいくつか見られる。
- ステータス
- 本作では熟練値を採用しており、全25段階(A→A☆→A☆☆→A☆☆☆→B→B☆→…→F☆☆→F☆☆☆→S)存在する。これが低過ぎると戦闘は苦戦し、逆に高過ぎると戦闘終了後の評価が低下しやすくなる。
- なお、ステータスが評価値(後述)と連動するというシステムは本作のみであるが、ヴァンツァーの乗換えや武器の変更によって対処は可能である。
- 一方、APシステムが簡略化され、この点は『4th』『5th』でも継承された。これは先鋭過ぎた『2nd』のAPシステムに対する反省と思われる。
- 評価値
- 本作では膨大な数のステージ(両編合わせて120以上)が存在するが、反面一つ一つは狭く、短くなっていおり、詰め将棋的な楽しみが生まれた。評価値はその一環として生まれた要素で、総ダメージ量 ・敵撃破数などによってプレイヤーの腕前が評価されるシステムである。
- 高評価を重ねるなら、後述のシミュレーターにおいて、出現する敵機に変化が生じる。
- シミュレーター
- 前作『2nd』では敵機の数の問題で仲間を全員育てようとしても出来なかったが、本作では仲間にした全員を平等に強化できるシミュレーターが用意された。
- APシステム・エースポイント
- 後述の改造システムと連動し、属性防御力、命中率、バーニア、ローラーダッシュ、回避率にAPを割り振ることで機体の性能を向上させることが出来る。
- エースポイントは敵のパーツを破壊することによって得られ、パイロットのAPを向上させるポイントである。ただ、前述のシミュレーターがあるため獲得は平易。
- スキル
- 前作よりもスキルの数が大幅に増加すると共に系統別に整理され、以後のシリーズにおけるスキル体系が本作で確立された。本作でのスキルの習得方法はパーツに依存しており、対応する武器を使用、もしくは状態に置くことによってランダムに習得するというものである。ただし、特殊なCOMを装備することによって多少習得率は変化する。
- なお、全パーツに習得可能なスキルは存在するが、それらは全て異なる。前作のスキルチェーンもやや簡略化されたものの存在し、COMの性能とその中でスキルが占める容量を鑑みてセットアップすることが引き続き重要である。
- また、2周目以降の引継ぎにも対応しているため、シナリオ進行そっちのけでスキル修得に熱中でき、やりこみプレイに活用することもできるなど、好評であった。
- 改造システム
- WAPを強化するシステム。本作ではWAPのHP、属性防御力、命中率、バーニア、ローラーダッシュ、回避率が強化できる。このため、前半の機体が後半になっても第一線での使用が可能である。
- このシステムはかなり好評で、同じシステムを採用した『5th』では武器も改造でき、分岐もするようになった。反面、機体の種類がかなり限られる、武器腕が存在しないという欠点が浮上した。
- 射線
- 本作より近距離武器の射程が増大し、障害物や高低差によって命中率が増減することとなった。これにより敵との位置関係や地形を如何に利用するか、という戦術が生まれる。また、本作では障害物の破壊も可能である。移動に関しては通常の歩行とローラーダッシュを切り替えられ、地形に応じた脚パーツの切り替えも重要になった。
- ディスチャージ・バトル・システム(Discharge Battle System)
- 『GH』では主人公のWAPだけであったが、本作では敵のWAP、戦車、ヘリを奪い搭乗することが可能。敵のWAPからパイロットを強制排出もしくは機内のパイロットを倒した後、他の仲間がそのWAPに乗り込み、戦闘終了まで無事だった場合にはそのWAPを入手することができる。本作の主な資金源は捕獲したWAPを売却することであり、重要性は高い。また、捕獲することでしか入手できないWAPも存在する。
- 対人戦
- 本作では対WAP用兵器を装備した生身の兵士も敵ユニットとして登場する他、敵、味方パイロット共に一律にHPが設定されており、機体から降りた場合も一つのユニットとして扱われる。
- 『FA』でも、歩兵が敵ユニットとして登場したが、ほぼ数に入れる必要など無かった。反面、システム上の都合ではあるが、本作の人間は回避率が高く、必ず先攻を取り、数発ではあるがWAP用火器の直撃(!)を受けても、戦闘不能にならない、ハンドガンでもステータス異常をおこすなど、WAPにとって相応の脅威となっている。倒された人間がなぜかWAP同様の爆発を起こすのはご愛嬌か。
- ステータス異常
- 本作から、次のステータス異常が新たに登場した。
- 「強制排出」
- 機体からパイロットを無理矢理降ろしてしまう状態異常で、炎熱属性の攻撃やイジェクトパンチ等のスキルを使うと生じやすい。
[編集] 天網
『2nd』に登場したネットワークの発展形。前作の企業・国家等のフォーラムを閲覧する機能に加え、作中の登場人物からメールが送られてくるなどの新機能を有する。これにより、能動的なプレイが可能になり、明かされる設定や裏話がシナリオに一抹の華を添える。
ちなみにメールアドレスや、情報を閲覧するのに必要なパスワードなどは法則に従って生成されているようだが、それを解明する難度はかなり高く、一度のプレイで全てを見るのは不可能と言えるほどである。これらにより、スパイ、もしくは作中の言うスペンダー気分を味わうことが出来るとして好評であった。
また、ネットワーク上からショップを呼び出せたり、シミュレーターでの訓練を行うことも出来る(矛盾は気にしてはならない)。なお、「天網」とは老子の言葉「天網恢恢疎而不漏」に由来すると思われる。
[編集] 主要人物
詳細はフロントミッションの登場人物を参照
[編集] その他
- 作中、とあるところで前作「FRONT MISSION2」の宣伝を見ることが出来る。他、作中でスクウェアのメールアドレスが隠しで存在するなど遊び要素は非常に強い。
- 本作の主人公である武村和輝の色のイメージは、設定資料集に書かれているが、優しさや清らかさを表す「白」と強さや熱情を表す「赤」の2つであり、前者は「エマ編」で、後者は「アリサ編」で強調されており、多くの登場人物が持つ二面性とダブルフィーチャーシナリオを象徴しているといえる。
- この作品には、第1作目の「FRONT MISSION」と対比・比較できる場面が多く存在し、オープニングの二本鎖DNAがそれを暗示している。
[編集] 評価
作品内容に対しては、重層的に練り上げられたストーリー展開がフロントミッションシリーズの新たな地平を開いたと評する意見もある。これはダブルフィーチャーシナリオにより『2nd』以上に単なる二分的な善悪に基づかない深い人物像が描かれているためであろう。
前作に比べフォーマットは格段に進歩しており、特に懸案事項とされたローディング時間は著しく向上している。また、簡素でありながら奥深い戦闘システムによりスムーズに進むストーリー、それを伴い、ストレス無く進む環境を獲得した。また、世界設定の補完を行う仮想ネットワーク「天網」は前作と比べ娯楽性も加わるなど、さらなる改良を加えられている。
ただし、一民間人である主人公が高度に軍事的政治的な陰謀に、ありえないほど強く関与していくなど、シナリオ展開の強引さに辟易させられる者も多い。また、提示された近未来像が従来のミリタリー色が濃くリアリティを重視した世界観を打ち壊している点が、1作目よりシリーズをプレイしている本作のファン達を失望させた事とも関連している。『GH』同様、「一兵士が全てを解決してはならない」というフロントミッションの命題を破綻させているとの批判も存在するように、主人公が単なる救世主に見えてしまうなど、シリーズ中では異色の作品となっている。
一方、『1ST』の殻を破るという開発スタッフの考えがあるので、遅かれ早かれこのような物語も派生する日は必然だったという意見もある。
[編集] スタッフ
[編集] 関連商品
発売から数ヶ月間、コトブキヤからアクションフィギュアとしてゼニスレヴ、107式強盾、メレディンM1、ドレーグM2C、グリレゼクス、瞬王1型(製品名はI.N部隊専用ヴァンツァー)、冷河1型が発売・販売されており、ステッカーやテレホンカードもスクウェアから発売・販売された。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- フロントミッションシリーズ公式サイト
- 天網/Worldwide Network System- ファンサイト/設定資料サイト/ネットワーク再現サイト
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正史 | 1ST - 2nd - 3rd - 4th - 5th - HISTORY |
2089 | 2089(BOM) - 2089-II |
派生 | GH - FA - FMO |
WAP企業 | JM/L - LE - サカタ/イグチ - 霧島 - DA - ヴィンス - シュネッケ - センダー - トロー - バザルト - ドミトーリ - 上海/鉄武帝 |
用語解説 | 登場人物 - WAP - アフリカ紛争 - ハフマン島 - BD-B - フェンリル - IN - M.I.D.A.S. |