6弦ベース
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6弦ベースとは、主にエレクトリックベースの一種。
通常のベースが4弦であるのに対し、6本の弦が張ってあることから、そう呼ばれている。
1960年代初頭にフェンダー社が「フェンダーVI」というエレクトリックソリッドギターを発売していた。外観は通常の6弦のエレクトリックギターと変わりないが、ギターよりも太い弦を張り、通常よりも1オクターブ低い音程にチューニングしたもので、ギタリストが違和感なくベースパートを演奏できる事を目的とした、当時のロック/ポップスにおける演奏形態から生まれてきたものである。したがってチューニングはE-A-D-G-B-Eであり現代の6弦ベースとは異なる。しかしこれが6弦ベースのルーツと言える。
この通常より1オクターブ低いギターは、2000年代になりミュージックマン社が同様の製品をリリースしているが、現代ではこれをテナーギター、或いはバリトン・ギターと位置付けており、ベースというよりもギターの1バリエーションとして復活している。
1970年代後半になり、アンソニー・ジャクソンがケン・パーカーやカール・トンプソンなどに6弦ベースの製作を依頼(本人はコントラバス・ギターと呼んでいる)したが、そのいずれも楽器として使えるものではなく、最終的にケン・スミスが制作したものが、世界ではじめてのベースパートを演奏する楽器としての6弦ベースとなった(当時工房にいたヴィニー・フォデラも制作を担当)。
(以下、音の表記の実音は、1オクターブ低いものとする。)近年の6弦ベースは、通常の4弦ベースギターの最低音である「E」弦よりも、5フレット分音が低い「「B」音弦が付加された、5弦ベースのチューニング「Low-B-E-A-D-G」に、さらに1本「High-C」の高音弦を加えた形が主流である。ただし、ギタリスト出身のベーシストの中には、「High-C」を、半音下げて、「High-B」としてチューニングし、演奏する者もいる。
奏法自体は、ピック・ピッキングやフィンガー・ピッキングなどのオーソドックスな奏法については、通常のエレキベースとほぼ同様だが、スラッピングはネックが細い、つまり、弦の間隔が狭いものでは行いにくいため、選定の際にはネックの幅がポイントとなる。