養老サイダー
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養老サイダー(ようろうサイダー)とは、かつて岐阜県養老郡養老町に存在した、サイダー(地サイダー)。株式会社養老サイダーが製造していた。
明治時代から昭和時代前期にかけて人気が高く、昭和初期には三ツ矢サイダーと双璧をなしていた。
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[編集] 特徴
- 養老サイダーは通常の大手清涼飲料水メーカーの製造するサイダーより、味に深みがあったという。この理由は大きく3点が考えられる。
- 養老の滝(水がお酒になった親孝行の「養老孝子伝説」など故事がある。この地を行幸した元正天皇は『醴泉は、美泉なり。もって老を養うべし。蓋し水の精なればなり。天下に大赦して、霊亀三年を改め養老元年と成すべし』との詔を出し「養老」に改元したという。)で有名な名水菊水泉の水を直接取水をし、その水を使用している。この水は通常の鉱泉水とは成分に違いがあり、カルシウムとマグネシウムとナトリウムの比率が10:5:1という配合である。
- 使用する砂糖が純度99.9%のグラニュー糖である。
- このグラニュー糖にクエン酸とビタミンCを加え、2時間という長時間煮こんでシロップを作る。(大手清涼飲料水メーカーの場合、数分しか煮ない。)非常に手の込んだ製造方法である。
[編集] 所在地
- 岐阜県養老郡養老町養老公園1291-1
[編集] 沿革
- 1890年(明治23年):日比野鉱泉所(後の養老サイダー)創業。伊吹サイダー製造開始。
- 1900年(明治33年):より良質の水を求めた結果、菊水泉が優れていることが判明し、工場を養老へ移転。伊吹サイダーを養老サイダーに改称。
- 1999年(平成11年):4代目社長の急逝の為、後継者問題が発生。又、職人の高齢化、施設の老朽化が深刻となる。
- 2000年(平成12年)12月:養老サイダーの製造を中止。ミネラルウォーターの「養老の滝・菊水泉」のみの製造となる。
- 2006年(平成18年)12月:「養老サイダー」製造中止、「養老霊水」のみの製造となる。
[編集] 養老サイダーの後継者
- 養老サイダーは製造中止となり、株式会社養老サイダーも廃業した為、養老サイダーは幻のサイダーとなってしまった。同じ養老町にある株式会社浦野鉱泉所が養老山麓サイダーを発売しているが、オリジナルの養老サイダーとはまったく関係ない商品である。
- しかし、製造に手間隙が非常にかかるため、養老山麓サイダーも製造数は少なく、養老の滝の売店、名神高速道路の養老サービスエリア、養老町及び近隣市町村の一部のスーパーマーケット等でしか手に入れられない。インターネットによる購入も可能であるが、入手困難。