地サイダー
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地サイダー(じさいだー)は、日本各地で主に中小・零細企業が製造・販売しているサイダー類(炭酸飲料)を称する。地酒、地ビール、地ウイスキーに呼応した名称。「分野調整法(中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律)の精神」に基づき、ラムネ同様古くからある飲料の地域文化を絶やさないように大手企業が進出を控え、法律の精神によりその自主規制の下に生産されている。そのため、全国規模で流通する製品とは区別するためにこの呼称が用いられる。
特徴としては、
- 「分野調整法」に基づき大手企業が進出を控えている分野で生産。
- 上記法律に基づき地元でしか販売していない(生産数量や瓶回収ルートの確保を兼ねている)
- 地元の零細業者が細々と生産している
- 1933年から72年まで出荷していた三ツ矢サイダーの古い瓶を流用している。(価格面で古瓶が使いやすいため)
- 中心価格帯は1瓶350ミリリットル前後で150円から250円。
などがあげられる。
現在では、流通量の希少性やかつて飲んでいた地方出身者の懐古によって注目を集めており、各種サイトの開設やインターネット販売、コンビニ等による地域限定販売(県単位)などが行われ、新たに「地サイダー」として商品開発されている例(雲仙・島原の天然水に特産品のレモンを用いた「温泉(うんぜん)レモネード」(雲仙旅館ホテル協同組合))もある。
その一方、それまで取り扱っていた駄菓子屋の消滅、コンビニエンスストアの普及による大手流通商社に取引がないことや、後継者問題、再利用する古瓶の確保ができない等で、製造中止や廃業などに追い込まれている例も徐々に出てきており、業界内では保護に向けた施策が行われつつある。
(※なお、前途の三ツ矢サイダーはアサヒ飲料が全国規模で流通・販売している製品である)
[編集] 主な地サイダー
- 北海道「コアップガラナ」
- 青森「朝日サイダー」「小関サイダー」「三島シトロン・三島バナナサイダー」「キングサイダー」「津軽さくらサイダー」「さとうくんサイダー」「NKAサイダー・りんごジュース」「ラムネジャパン」
- 秋田「ニテコサイダー」(ニテコ清水という湧水を用いる)
- 岩手「光泉サイダー」:岩手県久慈市/株式会社 佐幸本店
- 山形「パインサイダー」(※「パイン」と付いていても、無果汁)
- 宮城「金華サイダー」
- 福島「元祖磐梯サイダー/株式会社 鈴長椎野」
- 神奈川「オリツルサイダー」「湘南サイダー」
- 岐阜「養老サイダー」
- 和歌山「熊野サイダー/有限会社 熊野鼓動」
- 兵庫「ありまサイダー」
- 愛知「オリオンサイダー」
- 福井「さわやかサイダー」
- 広島「マルゴサイダー」
- 佐賀「スワンサイダー」
- 長崎「バンザイサイダー」(株式会社 長崎県酒販)
- 大分「かぼすスカッシュ」
- 宮崎「はちみつ日向夏ドリンク」
他多数