青の洞門
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青の洞門(あおのどうもん)は、大分県中津市本耶馬渓町にある耶馬渓の山国川に面してそそり立つ競秀峰の裾にある洞門(隧道、トンネル)である。大分県指定史跡。全長は約342m。1763年(宝暦13年)4月完成といわれている。
[編集] 概略
諸国遍歴の旅の途中ここに立ち寄った禅海和尚は、断崖絶壁に鎖のみで結ばれた難所で通行人が命を落とすのを見て、ここにトンネルを掘り安全な道を作ろうと、托鉢勧進によって掘削の資金を集め、石工たちを雇って「ノミと槌だけで30年かけて掘り抜いた」といわれている。この逸話を元にして書かれたのが菊池寛の『恩讐の彼方に』であり、「青の洞門」はこの小説の中で命名されたものである。
現在は、自動車を通過させるため(旧国道212号)、完成当時よりかなり変形しているが一部にノミの跡が残っている。地形の関係上車幅が狭く、信号を使った交通整理(片側交互通行)が行われている。
開通後、禅海が通行人から通行料を徴収したという話が伝わっており、この洞門は日本最古の有料道路とも言われている。
1950年(昭和25年)に耶馬日田英彦山国定公園に指定。晩秋の紅葉時期は特に観光客が多い。