霧氷
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霧氷(むひょう)は、氷点下の環境で、空気中の過冷却水滴もしくは水蒸気が、樹木その他の地物に衝突して凍結もしくは昇華することでできる、白色~無色透明の氷層の総称。いわば自然現象としての着氷現象。普通、樹氷・粗氷・樹霜の3つに分類される。
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[編集] 分類
[編集] 樹氷
樹氷(じゅひょう)は、冬山などで、過冷却水滴からなる濃霧が強風によって樹木などの地物に衝突し、その衝撃で凍結・付着した氷層。一般的には、氷層を付着させた樹木そのものを指して樹氷と呼ぶこともある。
気温-5℃以下の環境で生じる。粒状構造。風上側へ向かって羽毛状に成長する。この様を俗に「海老の尻尾」などと呼ぶ。気泡を多く含むために不透明で、白色を呈する。
日本では蔵王の樹氷林が有名で観光資源にもなっており、樹木が完全に樹氷や雪によって覆われたものは「スノーモンスター」とも呼ばれる。他に伊吹山や富士山のものがよく知られる。黄砂が到達し始める春先には、冬季に白色だった樹氷林がやや黄色味を帯びる。
[編集] 粗氷
粗氷(そひょう)は、過冷却水滴からなる霧が、樹枝などの地物に衝突して凍結した半透明~透明の付着氷。樹氷よりも気温の高い環境で生ずる。層状構造。樹氷よりも組織が大きめである。
日本では雲仙岳の粗氷林が有名だが、寒い地方では平地でも普通に見られる。
[編集] 樹霜
樹霜(じゅそう)は、空気中の水蒸気が昇華して樹枝などの地物に付着した樹枝状ないし針状の結晶。いわゆる霜。過冷却水滴が凝固してできる樹氷や粗氷とは区別される。