遺失物
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遺失物(いしつぶつ)とは、所有者が意図的にではなくうっかり落としたり、置き忘れたものをいう。誤って占有した他人の物、他人の置き去った物及び逸走した家畜は、準遺失物という。一般的には、忘れ物、落し物といい、遺失物を拾った者を拾得者(しゅうとくしゃ)、拾われた物を拾得物(しゅうとくぶつ)という。なお、所有者から盗まれたものは遺失物とはならない。
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[編集] 日本における法的処理
遺失物法では、拾得者は、速やかに、拾得をした物件を遺失者に返還するか、又は警察署長に提出しなければならないと定められている。ただし、法令の規定によりその所持が禁止されている物に該当する物件及び犯罪の犯人が占有していたと認められる物件は、速やかに、これを警察署長に提出しなければならない。施設において物件(埋蔵物を除く。)の拾得をした拾得者(当該施設の施設占有者を除く。)は、前項の規定にかかわらず、速やかに、当該物件を当該施設の施設占有者に交付しなければならない(改正遺失物法第4条第1項、第2項)。
警察署長は、遺失者が判明したときは提出を受けた物件をその者に返還するが、提出を受けた物件の遺失者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、物件の種類及び特徴、拾得日時、場所を公告しなければならない。 公告は、基本的に3ヶ月(埋蔵物については6ヶ月)当該警察署の掲示板で行われる(その間に遺失者が出た場合は返還される)(改正遺失物法第7条第1項、第2項、第4項)。
遺失物は、公告をした後3ヶ月以内にその所有者が判明しないときは、これを拾得した者がその所有権を取得する(民法第240条)。これを遺失物拾得による原始取得という。なお、傘、衣類、自転車などの日用品に限っては、2週間以内に売却されることになる。
物件(誤って占有した他人の物を除く。)の返還を受ける遺失者は、当該物件の価格(遺失物法第9条第1項若しくは第2項又は第20条第1項若しくは第2項の規定により売却された物件にあっては、当該売却による代金の額)の100分の5以上100分の20以下に相当する額の報労金を拾得者に支払わなければならない。また、遺失者は、当該物件の交付を受けた施設占有者があるときは、同項の規定にかかわらず、拾得者及び当該施設占有者に対し、それぞれ同項に規定する額の2分の1の額の報労金を支払わなければならない。ただし、国、地方公共団体、独立行政法人、地方独立行政法人はこの報労金の請求はできないこととなっている(改正遺失物法第28条)。
そのほか、詳細については遺失物法に規定されている。