輪形動物
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?輪形動物 | |||||||||
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Philodina sp. |
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分類 | |||||||||
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英名 | |||||||||
Rotifer | |||||||||
綱 | |||||||||
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輪形動物は、いわゆるワムシ類と総称される動物の分類群である。
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[編集] 概説
輪形動物門は、ワムシと呼ばれる水中の微小動物からなる動物群である。主として淡水に生息し、若干の海産種や陸生種がある。多くは1 mm に満たず、たいていは100-500 μm 程度の大きさである。浮遊生活か、藻類や沈殿物の表面を匍匐して暮らしている。一部に固着性の種がある。世界で約3,000種が知られる。
単為生殖をする種が多く、雄が常時出現する例は少ない。雄が全く見られない群もある。なお、雄は雌よりはるかに小さく、形態も単純で消化管等も持たない。以下の構造等の記述は主として雌に関するものである。
[編集] 外部形態
壷型の胴体と、後方に伸びる尾部を持ち、頭にある繊毛を使って運動する。全体としては左右相称で、腹背の区別はあるが、さほどはっきりしない例もある。
体の先端部は幅広く、ここには繊毛が円をなして配置し、繊毛冠(Corona)を形成する。この繊毛は摂食にも運動にも使われる。この部分は形態的にははっきりしない場合もあるが、頭部と言われる。眼点や特殊な感覚器を備える例もある。
頭部に続く部分は胴部で、円筒形から壷型、内臓の大部分がここに収まる。体表はキチン質の表皮に覆われる。がっしりとした被甲に覆われる例も多い。
それに続く尾部は、いくつかの節に分かれて、よく伸縮する。先端に二本の指と爪があり、また粘液腺などを持って体を支えるのに使われる。匍匐性の種では胴と同じくらいの幅と長さを持ち、節があるものもあるが、体節とは認められていない。また、この付近に卵をぶら下げて活動するものがよくある。
多くのものは付属肢を持たないが、ミジンコワムシは二対の付属肢があり、それを使って泳ぐ。また、可動の棘を持つものもある。ミツウデワムシは胴部前方に一対、後方に一本の棘があり、この前方の一対を大きく動かして撥ねるように泳ぐ。
[編集] 内部構造
消化系は直線的。繊毛冠の中央に口が開き、胴部の前端付近に咽頭部がある。この部分は厚い筋肉に覆われ、石灰質の咀嚼板が組合わさって咀嚼器を構成している。 それに続いて胃と腸があり、肛門は胴部の後端にある。フクロワムシは腸と肛門を欠く。
胴部の内部を広く占める体腔内は、消化系の表面に上皮層を欠くので偽体腔である。また、縦に走る筋肉がよく発達し、これによって体を伸び縮みさせ、よく運動する。
神経系としては咀嚼嚢の背面に脳神経節があり、ここから全身に末梢神経が走る。 排出系は原腎管を左右一対持ち、その末端は肛門につながる膀胱に開く。生殖巣は消化器の腹側にあり、やはり肛門に口を開く。なお、雄ではこの位置に陰茎がある。
[編集] 生態
基本的には水中動物であり、陸で見られるものも、特に湿った状態の時に出現する。繊毛を動かしてデトリタスなどを集めて食べているものが多いが、植物の汁を吸うもの、捕食性で原生動物や他のワムシ類などを捕らえるものも知られる。寄生性のものも知られている。
多くは自由生活で、浮遊性のものもあれば、基質上をはい回ることの多いものもある。繊毛を動かして泳ぐか、尾部で基質表面に付着し、尾を動かして運動する。ヒルガタワムシは頭部と尾部を使い、ヒルやシャクトリムシのように這う。
固着性の種もあり、それらは基質表面に棲管を作り、そこに体をいれ、伸び出して管の口から繊毛冠を広げる。その仲間で変わっているのはテマリワムシで、多数個体が互いに尾の先端でくっつき合い、それが寒天質に包まれてくす玉のような群体となり、水中を回転しながらただよう。
[編集] 生活環
多くの種が単為生殖をする。それらは条件のいい間は夏卵と言われる殻の薄い卵を産み、この卵はすぐに孵化して雌となり、これを繰り返す。条件が悪化するなどの場合には減数分裂が行われて雄が生まれ、受精によって生じた卵は休眠卵となる。休眠卵は乾燥にも耐え、条件がよくなれば孵化する。なお、ヒルガタワムシ類では雄は全く知られていない。他方、ウミヒルガタワムシでは雄が常時存在することが知られる。
なお、単為生殖を繰り返す期間に、殻の角が伸びるなど形態が世代を繰り返す間に変化する例があり、周期的体型輪廻(Cyclomorphosis)と言われる。
[編集] 利害
特に害をなす局面はない。
野外ではさまざまな水域で生息密度も高く、小魚等の重要な餌になっている。また、デトリタス食のものは水の浄化にも効果が高いと言われる。特にシオミズツボワムシは人工培養も行われており、アルテミアよりも小さな生き餌として、養魚場等では重宝される。
[編集] 系統
偽体腔を持つとされ、かつて袋型動物とされたこともある。その中では小型であること、繊毛で運動する点で腹毛動物に似ている。原腎管を持つ点では扁形動物と共通点がある。
その体制をトロコフォアと対比させる説が唱えられたこともある。
[編集] 分類
すべてを輪型動物綱にまとめ、伝統的には生殖器によって三群に分けるが、あまり安定した体系はないようである。以下に旧来の分類体系を示す。
輪虫綱 Rotatoria
- ウミヒルガタワムシ綱 Seisonidea:首がある。寄生性。雌雄とも常在。
- セイソン目 Seisonales
- セイソン科 Seisonidae:Seison
- セイソン目 Seisonales
- ヒルガタワムシ綱 Bdelloidea(二生殖巣綱 Digononta):体は細長く、節があり、ヒルのように運動。雄は知られていない。
- ヒルガタワムシ目 Bdelloidea
- ヒルガタワムシ科 Philodidae:ヒルガタワムシ Rotaria・ヤドカリワムシ Mniobia・Dissotrocha・Philodina・Macrotrochela
- ヒルガタワムシ目 Bdelloidea
- 単生殖巣目 Monogononta:卵巣は1。雄は退化的。
- ハナビワムシ目 Collothecaceae
- ハナビワムシ科 Collithecidae:ハナビワムシ Collotheca・ハナカザリワムシ Stephanoceros
- マルサヤワムシ目 Flosulariaceae
- マルサヤワムシ科 Flosculariidae:マルサヤワムシ Floscularia・ハナフサワムシ Lacinularia・ワツミワムシ Limnias・テマリワムシ Conochilus・テマリワムシモドキ Conochiloides
- ワムシ目(遊泳目) Ploima
- ミツウデワムシ科 Filiniidae:ミツウデワムシ Filinia
- ミジンコワムシ科:ミジンコワムシ Hexartha
- ヒラタワムシ科 Testudinellidae:ヒラタワムシ Testudinella・Pompholyx
- コガタワムシ科 Notommatidae:コガタワムシ Notommata・カシラワムシ Cephalodella
- ドロワムシ科 Synchaetidae:ドロワムシ Synchaeta・ハネウデワムシ Polyarthra
- スジワムシ科 Ploesomatidae:スジワムシ Ploesoma
- フタエワムシ科:フタエワムシ Chromogaster・トクリワムシ Gastropus
- ネズミワムシ科 Trichocercidae:ネズミワムシ Trichocerca
- フクロワムシ科 Asplanchnidae:フクロワムシ Asplanchna
- ツボワムシ科 Brachionidae:ツボワムシ Brachionus・オケワムシ Platyas・カメノコウワムシ Keratella・シマワムシ Notholca・トゲナガワムシ Kellicottia・ミズワムシ Epiphanes・ハオリワムシ Euchlanis・フタエワムシ Dipleuchlanis・ウサギワムシ Lepadella・ツノサヤワムシ Mytilina・オニワムシ Trichotria・オオトゲワムシ Macrochaetus・チビワムシ Colurella・ツキガタワムシ Lecane
- ハナビワムシ目 Collothecaceae
[編集] 参考文献
- 白山義久編集;岩槻邦男・馬渡峻輔監修『無脊椎動物の多様性と系統』(2000)裳華房
- 水野 彦『日本淡水プランクトン図鑑』(1964)保育社
- 椎野季雄,『水産無脊椎動物学』,1969,培風館
- 岡田要,『新日本動物図鑑』,1976,図鑑の北隆館