誰も知らない
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誰も知らない Nobody Knows | |
監督 | 是枝裕和 |
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製作総指揮 | 是枝裕和 |
製作 | 是枝裕和 |
脚本 | 是枝裕和 |
出演者 | 柳楽優弥 北浦愛 木村飛影 清水萌々子 YOU |
音楽 | ゴンチチ タテタカコ『宝石』 |
撮影 | 山崎裕 |
編集 | 是枝裕和 |
配給 | シネカノン |
公開 | 2004年8月7日 |
上映時間 | 141分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
allcinema | |
IMDb | |
『誰も知らない Nobody Knows』(だれもしらない ノーバディノウズ)は2004年8月7日に公開された是枝裕和監督の日本映画である。
目次 |
[編集] 解説
1988年に発生した巣鴨子供置き去り事件を題材として、是枝裕和監督が15年の構想の末、満を持して映像化した作品である。母の失踪後、過酷な状況の中幼い弟妹の面倒を見る長男の姿を通じて家族や周辺の社会のあり方を聴衆に問いかけた。日本国内においては、主演の柳楽優弥が2004年度のカンヌ国際映画祭において史上最年少及び日本人として初めての最優秀主演男優賞を獲得したことで大きな話題を呼んだ。また、キネマ旬報やフランダース国際映画祭において最優秀作品賞を獲得するなど、国内外の映画賞を多数獲得。2004年度の日本映画における最も高い評価を得た作品の一つである。しかし、本作における母親や長男の性格は、題材となった巣鴨子供置き去り事件のそれらとは必ずしも一致しているというわけではない。
[編集] スタッフ
[編集] キャスト
[編集] あらすじ
とある2DKのアパートに、スーツケースを抱えた母親・けい子と息子の明が引越ししてくる。アパートの大家には「主人が長期出張中の母子2人だ」と挨拶をするが、実はけい子には明以外の子供が3人もおり、スーツケースの中には次男の茂、次女のゆきが入っていた。
長女の京子も人目をはばかり、こっそり家にたどり着く。子供4人の母子家庭…事実を告白すれば家を追い出されかねないと、嘘を付くのはけい子の考え出した苦肉の策であった。けい子は、大家にも周辺住民にも事が明らかにならないように子供たちに厳しく注意する。子供たちはそれぞれ父親が違い、出生届けすら出されておらず、学校に通ったことさえない。しばらくは母が百貨店でパートタイマーとして働き、明が弟妹達の世話をするという暮らしが続いた。一見異様に見えるこの家族もささやかながら幸せな生活を送っていた。しかし、新たな男ができたけい子は「自分にも幸せになる権利がある」と主張し、わずかな現金と、明へのメモを残したまま忽然とその姿を消してしまう。そしてお金は底を付き始め…。
[編集] 受賞
- カンヌ国際映画祭
- 最優秀主演男優賞
- フランダース国際映画祭
- グランプリ
- シカゴ国際映画祭
- 金のプラーク賞
- 第78回キネマ旬報ベスト・テン
- 日本映画ベスト・ワン
- 読者選出日本映画ベスト・ワン
- 読者選出日本映画監督賞:是枝裕和
- 助演女優賞:(YOU)
- 新人男優賞:(柳楽優弥)
- 第47回ブルーリボン賞
- 作品賞
- 監督賞:(是枝裕和)
[編集] その他
主演の柳楽は撮影時期、思春期であったため、撮影した1年で身長が146cmから163cmまで伸び、声変わりをしている。演じた役名の「明」は柳楽が考えた名である。
『誰も知らない』は受賞には不利と言われる映画祭の最初の方(2日目)に上映された。にも関わらず受賞した理由は2004年の審査委員長だったクエンティン・タランティーノのコメント「個人的には、彼の表情が一番印象深かった。毎日多くの映画を見たが、最後まで印象に残ったのは彼の顔だった」に凝縮されている。
記者会見時の「え?これ(トロフィー)持って帰っていいんですか?」という発言は普通の中学生ということを印象づける言葉だったが、結局トロフィーはすぐに手元には来なかった(現在どこにあるのか不明だが、2007年NHKの番組内でトロフィーを披露している)。
カンヌ滞在中、自分が表紙になった雑誌を見て「皆で表紙になりたいです」と言っており、カンヌ受賞も「皆を代表してとった」という認識でいる。「『誰も知らない』が何も取らないより取れた方がいいから」という理由で受賞を「嬉しい」と言ったり、学校では聞かれない限りその話はしないなど謙虚な発言が目立っていた。柳楽のポスターは現地で「あのポスターをくれないか」と大人気だった。
YOUと柳楽はその後、2006年にダイハツ工業「ミラ」のCMで母と子として再共演を果たしている。