認知
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- 心理学・言語学・脳科学・認知科学・情報科学などにおける認知とは、人間などが外界にある対象を知覚した上で、それが何であるかを判断したり解釈したりする過程のことをいう。感覚や知覚とならぶ深層の心理を表現し、外界にある対象を知覚し、経験や知識、記憶、形成された概念に基づいた思考、考察.推理などに基づいてそれを解釈する、知る、理解する、または知識を得る心理過程、情報処理のプロセスで認知科学では、人間の知的な働きをその応用側から、工学や医学、哲学、心理学、芸術学などの分野または学際分野から総合的に明らかにしようとする。また認知距離という人間が対象となる空間や人間などを認知することができる、人間が日分自身を起点として認知している空間や事象の地理的、心理的な広がりである認知領域内部の事物に対する距離がある。
- 認知は「統覚」と「連合」の二段階にわかれた処理である。統覚は、風景などの知覚から形を取り出す働きであり、その形が何であるのかを判断する働きが連合である。認知の障害が失認であり、見えたり聞こえたりすることはできてもそれが何であるか理解できない(連合の障害と統覚の障害とでは症状には差異がある)。見たものが認知できない視覚失認のほか、相貌失認・手指失認など様々な症状があり得る。
- 日本の民法における認知(にんち)とは、嫡出でない子について、その父又は母が血縁上の親子関係の存在を認める旨の観念の表示をすることをいう(民法779条)。法律上、当然には親子関係が認められない場合について、親子関係を認める効果がある(以下、詳述する)。
- 一般会話における「認知症」の略称。
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[編集] 民法学での認知
民法での規定上は、父・母からのいずれによる認知も想定されているが、現在の判例は、母子関係は、原則として母の認知をまたず、分娩の事実によって当然に発生するとしており(最高裁昭和37年4月27日判決民集16巻7号1247頁)、認知は父子関係においてのみ問題となると考えられていた。
しかし、近時の人工生殖技術の進歩により、分娩を経ない場合の「母」が観念されうるようになり、代理母における母子関係などの新たな問題が生じていることから、向井亜紀の出産などの報道(2004年1月)を通じて、日本国内の世論の関心を集めた。現在、この問題に関する立法作業が進められている。
[編集] 届出・遺言による認知
認知は、戸籍法の定めるところにより届出又は遺言によってすることができる(民法781条、届出につき戸籍法60条、61条)。
嫡出でない子につき、父から、これを嫡出子とする出生届がされ、又は嫡出でない子としての出生届がされた場合において、右各出生届が戸籍事務管掌者によって受理されたときは、その各届は、認知届としての効力を有する[1]。
胎児でも父は認知でき、死亡した子でも父母は認知できるが、死亡している場合はその子に直系卑属がいることが条件となる。よって、その子が出生から数年で死亡している場合は、その子に直系卑属はいないので、認知することができない(民法783条)。
成年の子は、その承諾がなければ、これを認知することができない(民法782条)。
[編集] 強制認知(認知の訴え)
子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。ただし、父又は母の死亡の日から3年を経過したときは、この限りでない(民法787条)。