補陀落
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補陀落(ふだらく、名称については後述)は、観音菩薩の住処、あるいは降り立つとされる山である。補陀落山とも称す。
目次 |
[編集] 名称
「補陀落」は、サンスクリット語(梵語)の「ポタラカ」、「ポータラカ」(Potalaka)の音訳である。『華厳経』入法界品や『千手経』、『陀羅尼集経』2など、多数の経論に見られる。
- 他の音写:補陀洛迦、普陀落、普陀洛など多数
- 漢訳:光明山、海鳥山、小花樹山など
[編集] 概要
伝説によると、インドのはるか南方の海上にあり、八角の形状をした山であるといわれる。興福寺の南円堂の円形はこれを模している。
玄奘は『大唐西域記』で、インドの南島に実在すると記しており、その場所を特定しようとする試みや研究もある。観音信仰が隆盛になると、その霊地として「補陀落」の名称が各地で広まった。特に中国では現在の浙江省にある舟山群島を補陀落として観音信仰が遠隔地にまで広がった。
また、日本でも熊野や日光が補陀落になぞらえられ、信仰を集めた。なお、日光という地名は、補陀落~二荒(ふたら)~二荒(にこう)~日光となったという説もある。中世には、観音信仰に基づき、熊野灘や足摺岬などから小船に乗って補陀落を目指す、「補陀落渡海」が盛んに行われた。
なお、チベットも観音信仰の地として知られるが、ラサにあるポタラ宮の名も、「補陀落」と同じく、サンスクリット語の「ポタラカ」に由来する。
[編集] 山号
以下のような寺院が、補陀落山または補陀洛山(ふだらくさん、ほだらくさん)を山号として戴く。
- 那古寺 - 千葉県館山市 の真言宗寺院。坂東三十三箇所の第33番札所。
- 六波羅蜜寺 - 京都府京都市東山区にある真言宗寺院。西国三十三箇所第17番札所。
- 総持寺 (茨木市) - 大阪府茨木市にある真言宗寺院。西国三十三箇所第22番札所、摂津国八十八箇所第47番札所。
- 観音院 - 鳥取県鳥取市にある天台宗寺院。
- 志度寺 - 香川県さぬき市の真言宗寺院。四国八十八箇所の第86番札所。
- 長尾寺 - 香川県さぬき市の天台宗寺院。四国八十八箇所霊場の第87番札所。
- 旧千燈寺跡 - 大分県国東市の天台宗寺院跡。千燈寺は近隣に移転し現存する。
補陀落(洛)山を寺号とする寺院もある。