蒼海訣戰
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『蒼海訣戰』(そうかいけっせん)は、納都花丸の少年漫画作品である。
目次 |
[編集] 概要
「Comic REX」( 一迅社)2006年1月号より連載中。仮想戦記の体裁を取った学園物語である。明治日本風の世界が舞台で、設定に司馬遼太郎「坂の上の雲」や佐藤大輔「皇国の守護者」等の影響も見られる。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
[編集] あらすじ
舞台は明治日本風の架空の国、津州(つしま)皇国。獣のような耳と尻尾を持つ被差別民・追那(おいな)人に生まれた主人公は、幼少時に三笠家に引き取られる。 やがて彼は、内乱の英雄である義兄にあこがれ、水軍志官寮に入学する。そして、友人との出会いや差別を乗り越える中で成長してゆく。
[編集] 登場人物
[編集] 主要人物
- 三笠真清(みかさ さねきよ)
- 猫のような耳と尻尾を持つ被差別民族『追那人』の少年。幼い頃に三笠家の養子となり、陸軍騎兵大尉である義兄・光清に憧れて水軍志官寮へ志願する。15歳。名前の由来は三笠 (戦艦)か。
- 水志寮首席入学であるにも関わらず、出自による差別から、実力通りの評価を得られず時には心ない中傷に傷つくことも。だが同室の15期次席生徒の初瀬や担任教官である吉野という理解者を得て、周囲に悶着を買われながらも強く成長していく。
- 他人の気持ちに強くシンクロしてしまうという精神感応じみた能力を持ち、本人はその力がどういったものなのか理解していなかったが、与志原の花魁である翔鶴によってそれが「カムイピリ(リは小文字)マ」と呼ばれる追那人特有の能力である事を知る。また、真清の力は人一倍強い「カムイサシミ」であるらしく、その事から真清に「耳と尻尾を失わないように気をつけろ」と忠告する。
- 普通の生徒とは違い頭の耳により制帽を被ることが出来ず、代わりに兄から貰ったハチマキを巻いている。「真清」の名は三笠家に引き取られた時に改名したものらしく、本来の名はサネクというらしい。
- 初瀬忠信(はつせ ただのぶ)
- 15期次席生徒にして真清のルームメイト。あけっぴろげで裏表がなく、追那人である真清に対して純粋な興味を持ち、良き友人同士となる。かつては水志寮幼年部と名高かった巧玉舎の出身。15歳。名前の由来は初瀬 (戦艦)か
- 楽天的なようでいて『首席』と『次席』という肩書きには密かに重みを置いており、首席の役割であるクラスのまとめ役の仕事を代わってほしいと言った真清を諭している。興奮すると熊本弁になり、よく「すごか!」と言う。
- 家族構成は祖母と兄と弟の四人家族。戦死した水軍士官の父がいる。
- 八島文行(やしま ふみゆき)
- 水志寮14期首席である真清達の先輩で、金髪と青い瞳を持つ民族『汐見(しおみ)人』。一号生徒首席の証である、水志寮に代々継がれる特別な竹刀『水志正宗』を常に持ち歩いている。名前の由来は八島 (戦艦)か。
- 真清と同じように差別の目に晒されながら生きてきたが、彼自身は真清と違い、秋津人に心許せる間柄の者がいなかった為に、その胸には秋津人への敵意がくすぶっている。常に冷たく人を寄せつけない雰囲気を放っているものの、世話焼きな部分もある。その為、冷徹に言いながらも真清を支える。真清や忠信を含む生徒達の知らない所で、教官である大島(後述)から十数回に及ぶ謂れのない暴行を受けていることも秋津人への不信に拍車をかけていたが、その大島が敵視している筈の自分を命がけで火災から救い出したことなどから、その心境にも変化が生じ始める。
- 三笠光清(みかさ みつきよ)
- 真清の義兄である陸軍騎兵大尉。3年前の内乱で戦功を立てた、「内見矢(うつのみや)の三笠」なる字を持つ英雄でもある。翔鶴曰く『やがて国の中枢に立つであろう器』であるらしく、真清にとっても良き軍人の手本である。血の繋がらない真清のことを『弟』と公言して憚らないが、翔鶴の誘いは『追那の女は抱かない』と拒んでいる。
- レヒトブルグへの公費留学が決定し、残していく真清の強さを信じて旅たつ。
- 壱与(いよ)
- 津州皇國の皇帝。2年前に14歳で即位した百五代姫巫女(ひゃくごだいひみこ)の皇女で、現在は16歳。ドジっ子であるが、先代の皇帝(壱与の母)の頃から勤めている官僚から頼りないと思われてるのではないか、と思っており、自分を責める事がよくある。
[編集] 水志寮
- 吉野聡一郎(よしの そういちろう)
- 真清達の担当教官である水軍統率科大尉。差別の目に苦しみながらも前へ進む真清を温かく見守る。砲弾の暴発事故による負傷で、視力が弱まり眼鏡をかけている。名前の由来は吉野 (防護巡洋艦)か
- 富士清輔(ふじ きよすけ)
- 水志寮14期次席にして八島のルームメイト。名前の由来は富士 (戦艦)か。
- 春日義仁(かすが よしひと)
- 水志寮15期生徒。名前の由来は春日 (装甲巡洋艦)か。
- 大島(おおしま)
- 水志寮の教官。追那人や汐見人を劣等民族として公然と差別し、秋津人以外が軍人になることに反対している。教官としての職務には忠実で、普段は目の敵にしている八島を火災から救い出した。名前の由来は大島 (砲艦)か。
- 高千穂(たかちほ)
- 水志寮の寮長。吉野が一号生徒首席当時の教官。名前の由来は高千穂 (防護巡洋艦)か。
[編集] 津州皇国
- おりん
- 幟門の陸軍研究所で働いている追那人の少女。戦災孤児だったが、加古に拾われる。追那名はカリンパニ(桜花)。
- 翔鶴(しょうかく)
- 与志原佐乃土屋のお職(花魁)。真清と同じく追那人で、彼に「カムイピリマ」など追那人の能力の事を教える。光清を「光サマ」と呼び、彼に惹かれている。名前の由来は翔鶴 (空母)か。
- 追那名はホプニサロルン(飛び立つ鶴)。
- 加古(かこ)
- 幟門の陸軍研究所で働く研究者。G動力について研究している。名前の由来は加古か。
- 衣笠古鷹(きぬがさ ふるたか)
- 皇民新聞の記者。レヒトブルグに向かう際に光清と偶然を装って知り合う。光清に対しては特派員と称しているが、彼の動向を監視している。
- 鈴谷保(すずや たもつ)
- 陸軍上等兵で光清の従卒。
- 神成五十鈴(かんなり いすず)
- 汐見人の少女。志井原(しいばる)の村主(よのぬし)の娘で、八島の幼馴染。病弱で心臓を患っている。津州皇国の内乱に巻き込まれて父を失う。戦災で焼けてしまった古文書を記憶を頼りに復元しようとしている。八島を「文さん」と呼び、手紙のやり取りをしている。
- 五十鈴の父
- 志井原の村主。八島が帝都の学校で学べるよう尽力するが、志井原が内乱の戦火に巻き込まれた際、村人を避難させるために戦場となった村に戻りそのまま還らなかった。
- 草垣(くさがき)
- 民族研究の権威。同郷の吉野の紹介で八島が持ち込んだ五十鈴の汐見民謡の記録に興味を示す。
[編集] 楠徐
- 張操江(ちょうそうこう)
- 楠叙人の少女。抗津組織『癸酉党』に属し、担蓮を楠叙に奪回するために戦っている。本名は操江(みさえ)で父親は津州人。兄の平遠の方針に背き、津州軍への実力行使に出る。名前の由来は操江 (砲艦)か。
- 張平遠(ちょうへいえん)
- 癸酉党の党首で、操江の異父兄。実力行使は時期尚早と考えている。真清を同志に誘うが、断られた。味方になるのを拒んだとはいえ、真清を捨て石にしようとするという非情な一面もある。名前の由来は平遠 (装甲巡洋艦)か。
- 陳広丙(ちんこうへい)
- 武器の密売商人。名前の由来は広丙 (巡洋艦)か。
[編集] その他
- クラーラ
- レヒトブルクの、光清と衣笠の下宿先で働いている女性。光清のことが気になっているが、衣笠の光清への不穏な行動に気づき不安に思っている。
- フードを被った男
- 陳広丙を訪ねていた男。カムイピリマらしき特殊能力を持ち、真清のカムイピリマを妨害(当人は「支配」と称した)することすらできる。真清を知っているらしく、「父親似」と評した。「津州皇国に復讐する者」と名乗る。
[編集] 用語
- 津州皇国(つしまこうこく)
- 主な舞台となる国。明治時代の日本をモチーフとしているが、少数民族への差別や迫害は恣意的に描写が抑えられている。
- 追那人(おいなじん)
- 猫のような耳と尻尾を持つ人種。アイヌ民族をモチーフとしている。
- 汐見人(しおみじん)
- 金髪碧眼が特長の人種で、津州皇国の人口の1割強を占める。琉球人をモチーフとしている[要出典]。秋津人と見た目が異なるため追那人同様差別対象になる。
- 秋津人
- 津州皇国の人口の8割を占める主要民族。名称のモチーフは津州と共に秋津洲か。
- 水軍志官寮
- 通称水志寮。津州水軍の士官を養成する学校。新入生は二号生となるので二年制と思われる。皇都の月待(つきじ)にある。
- 水志正宗
- 水志寮伝統の竹刀。一号生徒首席が持つ。
- 巧玉舎(こうぎょくしゃ)
- かつては水志寮幼年部とまで言われた学校。水志寮十五期は巧玉舎出身者が『9割にまで減った』とあり、それ以前はほぼ全員だったであろうと思われる。
- 坦蓮(ターレン)港
- 津楠戦争後に津州に割譲されたリャオトン半島(モチーフはそのまま遼東半島か)の軍港。そのため市街地の住民の7割は楠叙人であり、一部は抗津運動を行っている。モチーフは大連か。
- 禮國(レヒトブルク)
- 光清の留学先。北大陸の中央部に位置する立憲君主制国家で、列強の一つ。津州陸軍は禮國陸軍を手本としている。モチーフはドイツ帝国か。
- 楠叙朝(なんじょちょう)
- 津州と資源を巡り津楠戦争を戦った。戦後、リャオトン半島を津州に割譲。モチーフは清朝か。
- カムイピリマ
- リは小文字
- カムイサシミ